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ミニ・ボンネットストライプ貼れるかな

僕の愛車、ミニ・クロスオーバーR60。

 2年ほど前にこの車を福井県で購入し、かねてからボンネットにストライプを入れたいと思いつつも手間と値段でぐずぐずしていたのだけれど、ついに本日チャレンジ!

 楽天で以下の商品を購入し、車をカスタムするぜ!

BMW MINI アクセサリー R60 CROSSOVER ボンネット ストライプ セット

価格:20526円
(2023/9/24 15:59時点)
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 さてその前に、僕はこの車を買ったとき、業者に頼んで貼ってもらおうかとも思ったのだけれど、工賃込みで7万円という見積もりが到着。なんでそんなに高い?もっと安くネットであるでしょ!と思い、検索した結果、中国製の3千円のものを発見直ちに購入したのだけれど・・・。

               届いたのはこんなん

 

 ぐるぐる巻きで10センチ四方くらいの箱に梱包され、開けてみればご覧の様子。しかもどう見てもただのデカいシールで、こんなんを買ったばかりの車に貼るなど思いもよらない代物。ああ、やっぱり安物買いはしない方がいいね。捨てた!

 


 しかしBMW純正のものは2万円!なぜそんなにするのだろう・・・。どうしようかな、お金に少し余裕ができたら買おうと思いつつ、2年経ってしまった。そんでこの度ついに思い立って、買いましたよ!

                       じゃーん

    

     

やはり純正は梱包からして違う。そうして本物のストライプはこのような状態で収まっておりました。

    

 

 ちなみに説明書はありません。ではこれをどうやって貼るのかというと、普通にYOTUBEで貼り方をレクチャーしてくれている方がいるので、その通りにやるのです。

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  便利な世の中だ。

 天気の良い日を選んで朝八時半から作業を開始。まずはフクピカで車をきれいにし、水アカフクピカでさらに汚れを落とし、最後に「シリコンオフ」で油分を取り除き、準備完了。

          

 他には200CCの水に中性洗剤を数滴たらしたもの、700円くらいで購入したゴムへらを準備。

 

 

 まずはシートをはがす前に当たりをつける。メジャーでエンブレムからの距離を測って正確に左右対称に配置し、マスキングテープで貼る位置を確定。ペンで印合わせを忘れずに。

 

 

 作業が完了したら、今度はシートをはがし、裏面にしゅしゅしゅと水を吹きかけ、ボンネット側にもスプレーする。そうして印に合わせて貼り合わせる。ここがドキドキしたのだけれども、思いの他簡単にできて拍子抜け。ゴムへらでしっかり水抜きをする。

  

 

      同じように反対側も貼り、完了したらあとは乾燥を待つ。

      

 

 数時間かかると思いきや、割とすぐに乾いた様子。30分くらい?でははがしていくよ!垂直に引っ張らず、水平に引っ張ります。結構簡単にはがれるよ!

      

 

                できた!

 

 

 いやこんなに簡単にできるんだったら、もっと早く貼っときゃよかった。まあなにか新しい作業をするのは大変そうな気がするんですよ。でも自己満足。あと貼るよりはがすのが大変とのことです。

 

 

        カッコイイ!娘とドライブに行ってきます!     

   

 

 買った当時のいきさつはこちら


書きたいことは結構あるけど気力が追い付かない

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クラッシク・カー・ディーラーズ、濱田製作所他

 僕はテレビはほとんど見ないのだけれど、することないとすぐにYOUTUBEを見てしまう、YOTUBERになりたいと思っている小学生よりも実際的にYOUTUBE馬鹿であります。

 

 要は暇つぶしなわけで、とにかくすぐ見てしまうわけなんですよ。そうしてGoogleの宣伝とか出てきて腹を立てているという。生産性ないね。

 まあそれは良いとして、やはり好みの動画を見ているとAIが賢く僕の趣向を理解して、こんなんどうですか、と提供してくれるわけ。「中年と中古車」や「お笑いバックドロップ」(テリー伊藤が中古車を紹介しまくる)などの中古車系動画をよく見ていたら、ある時この番組が出てきて一気にハマってしまった!

        名車再生!クラッシクカー・ディーラーズ

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  中古車ディーラーのマイクがくたびれた名車を探して買いたたき、超優秀なメカニック、エドがそれをレストアし売りさばく、というシンプルな構成。

 CS系の番組だったようだけれど、最近頻繁に更新されていて、新しい動画が上がるたびにかぶりつきで見てしまう。

 いわゆるビフォー・アフターものなんだけど、毎回車のチョイスが絶妙で、さらにはマイクのタレント性とエドの確かな腕もあり、あっという間に40分が過ぎてしまう。

 イギリスの車番組には「トップギア」からの「グランド・ツアー」というお化け番組があるけれど、こちらの方が毒が少なく、こぢんまりとして好き。

 おんぼろの名車をエドが一生懸命修理して見事に仕上げる様は感動的ですらある。見ているうちに自動車の仕組みにも詳しくなれるという側面もあり、車好きにはたまらない番組である。なお、人気の高いエドは初代のメカニックで二代目はアント、三代目はエルヴィスとなり、それぞれの番組が見られるんだけどやっぱりエドが面白いんだよなあ。再生数も結構多くて根強いファンがいると思われます。この間なんか突然8時間耐久日本車シリーズとかやって一部の視聴者の度肝を抜いた。

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 昔の正月テレ東時代劇12時間ぶっ通しじゃないんだから!まあ見たんだけどさ。

そうそう、この番組は吹替なんだけど、マイクの声を当てていた佐久田侑氏がすばらしい仕事をしています。残念なことに氏は二年前にお亡くなりになっており、最新の番組は別の方が声を当てており、ちょっと違和感あり。とはいえ車好きでなくても楽しめる素晴らしい内容です。

 

 次は最近発見した宮崎ローカルの番組、「こちら祇園二丁目濱田製作所」。

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 濱田詩朗というミュージシャンの方がホストとなり、かなりマニアックなバンドマンあるあるを追究する番組。上掲の回ではほぼ学生のノリで各自が青春を共に過ごしたギターリフを披露しているのだけれども、結局みんなラウドネスになるという、同年代のバンド人間として非常に得心のいく流れとなっております。

 大学生の頃、友人の家にたむろして、酒を飲みながら生音でギターとかベースとかをシャカシャカ弾いていたのを思い出すと感無量ですな。

 そんで番外編としてこちらもあるのだけれど、結局ラウドネスで笑う。

ラウドネスを知らないアシスタントの人がおいてけぼり

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 他にも素人ミュージシャンが自慢のエフェクターボードを持ち寄って披露する回が異様に充実しており、俺ここまでの根性はねえなあと感心させられますよ。 

 ちなみにこの番組の前身として「JUNK TV」なる番組もあり、そちらも似たようなテイストなのだけれども、かなりの暇つぶしになります。

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 この回は昔懐かし、カセットテープのMTRを使ってレコーディングを試みております。一発勝負の演奏、ピンポン録音など、その昔宅録をしていた人間にとってはそういやこんなこと繰り返してたなあとこれまた懐かし要素満載。まあ、かなりニッチな内容ですが、わかる人にとっては非常に面白いです。

 

 ザックという方の旅チャンネルが面白い。

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 臨場感あふれる取り方と、臆せずいろいろな場所へ切り込んでいくひょうひょうとした感じがなんだか本当に現地に行った感じになってつい見てしまう。いろいろな国に行かれているのだけれど、インドがダントツで面白い。インド人、ほぼナンとか食べてないのがこの動画でよくわかります。

 

 こんな感じで毎日動画を見ては何十年後かであろう臨終に近づいている僕です。

 

 見るばかりで生産性もないのでこうやってブログも書いてます

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ダンス・ソサエティを久しぶりに聴いた

 高校生の頃、小遣いをやりくりしては何とかレコードを買っていた。

 今はお手軽にYOTUBEやサブスクであらゆる音楽が聴ける世の中、40年前の僕らは雑誌や数少ない音楽番組だけが情報源で、そのあやふやな情報だけでレコードを買ったものだ。そういう一枚がこのダンス・ソサエティの「HEAVEN IS WAITING」だった。

評価は高め

 あの頃の僕は主にイギリスの流行りものを中心に聴いていた。デュラン・デュランを中学の時に聴いて衝撃を受け、そこからジャパン方面へシフトし、高校へ入ると友人の影響でソフト・セル、キュアーといったバンドを聴いていた。そして洋楽好きの友人の間ではどれだけレアなイギリスのバンドを知っているか自慢みたいなのがあって、みんんな新しいバンドを発掘するのに躍起になっていた。オルタード・イメージとかトークトーク、ブルー・ズーといったサブストリーム的なバンドをそこでは発見したのだけれど、主な情報源はやはり「ミュージック・ライフ」あたりだったろうか。

 

 巻末に載っていた新譜レヴューを見てはよし、今度これ買おうあれ買おうなどと勉強もせずに考えていた僕だったがある時ダンス・ソサエティなるバンドのデビューアルバムのレビューが載っていたのだ。内容は忘れてしまったが、曰くポジティブ・パンクの雄で、要はこれからはポジパンがくるから要チェック!みたいな感じだったと思う。

 

 ポジティブとはいえ、僕はまだその頃パンクがどんなジャンルの音楽かは良くわかっておらず、何か凶悪なオーラが漂っているのではないかと勝手にビビっていた。そんでもって以前友人の家で聴かされたローズ・オブ・ニュー・チャーチがギター全開のパンクサウンドで、今思えばそんなに激しくはないのだが当時の僕としてはまだそういう音楽に免疫がなくあんまり好みじゃないなあと感じていたのだ。

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 だから先入観としてものすごくブルータルでラウドな音が出てくるのではないかとニューウェーブ小僧の僕は考えていたわけだ。今はどんなに凶悪なデスメタルグラインドコアも余裕で聴けるようになったよ。

 

 怖いもの見たさで買ったレコードに針を落とした瞬間、どんなに爆発的なサウンドが出てくるのかと少しドキドキしながら待っていると、流れてきたのは硬質なベースの暗いフレーズだった。そこに合わせてスティーブのけだるいヴォーカルが「うぉんちゅーかみんさいど・・・」と絡んでくる。あれあれ、なんか違うぞと思っていたら、タントンタタタン!と渾身の力でたたいたと思われるスネアが入ってきてなにやら重くおどろおどろしい曲が始まったのだ。しかしサビでは美しいピアノもフューチャーされ、パンクというよりはゴシック/ニューウェーブに近い音が展開されていたのだ。

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 それでも強めのスネアの音に圧倒されて「はえー、これがポジパンかー」などとアホのような感想を持った僕だったが、二曲目以降はシーケンサーを使ったデジタルな曲が中心で、悪くはないのだけれどあまり乗れなかったよ。タイトル曲の「HEAVEN IS WAITING」のギターはバウハウスみたいでおぉっ、と思ったっけ。

 しかし2500円という大枚はたいて買ったレコードなのでしばらくは無理やり聴いたりしていたのだが、大体一曲目聴いておしまい、になっていた。

 

 でも高校生の頃に聴いていた音楽って折に触れて聴きたくなるじゃないですか。そうしてさっき久しぶりに聴いたら結構いいじゃん!曲も「あーこんな曲あったな!」みたいな感じで目を閉じるとあのころの光景が浮かんでくるぜ。

 

 YOUTUBEでこういうの見ると芋づる式にあのころのバンドが出てくるんだよなー

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「スタープレックス」「ビット・プレイヤー」そして「皆殺し映画通信」

 SF作品「スタープレックス」と「ビット・プレイヤー」の2冊読了。

冒頭に日本独自の企画だろうか、スタープレックス号の図解がある

 「スタープレックス」は王道の宇宙もので、ショートカットと呼ばれる建造者不明のゲート(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに出てくるワープの入口みたいなものか?)が発見されたことで飛躍的に宇宙を航行できるようになった未来。建造者不明のテクノロジーを使って外宇宙へ行くという設定はフレデリック・ポールの「ゲイトウェイ」でもあったなー。ゲイトウェイは、ヒーチーと呼ばれた異星人が残した設備を使って行先不明の旅に出るのだがそれがどのくらいかかるか、どこへ行くのかが全く分からないという恐怖と隣り合わせであったが、こちらは巨大な宇宙船がある程度の危険をあらかじめ確かめたうえでの探査となるので筋書きも当然変わってくるのだけれど。

 

 地球人以外にも3種族の異なる知的生命体が存在し、そのうちの地球族を含めたイヴ族(球体でサイドにホイールと触手が付いている)とヴォルフガード族(巨大な体躯で腕が四本あり、怪物的な見た目。地球人とは性格的に折り合いが悪い)の3種族は共同で出資し、巨大な宇宙船スタープレックスを完成させショートカットを使って知的生命探査を行っている。船長のキースは中年でミドルエイジクライシス真っ最中。生物学者でスタープレックスに同乗している妻のリサに不満は無いが、若い女性乗組員リアンのことが少々気にかかる。

 そんな中年のモヤモヤを絡めながら、一方で非常に大きなスケールで話が展開する。ストーリー展開に驚きはないが、安心して読み進められた佳作。

 

初イーガンがこれ

 「ビット・プレイヤー」はイーガンの短編集。僕は最近全巻をキンドルで揃えた「バーナード嬢曰く。

に登場する女子高生がイーガンの話をしょっちゅうしているので、読みたいと思っていたところにこの本をブックオフで発見!「バーナード嬢~」ではその難解さに言及されていたが、この短編集は読みやすく、最新のSF作品として読むことができた。

 一話目『七色覚』では視覚最先端医療の手術を行った子供たちが違法なダウンロードソフトによって世界の在り方がまるで違う様子で見えるようになる。その感覚の違いを上手にストーリーに落とし込んだ佳作。我々は可視光線の中で生活しているが、それ以外の生物、例えば昆虫などにとっての世界の捉え方は変わってくるはず。昔、埴谷雄高のエッセイに、数種の世界の見え方の違う生物同士が同一の物体について物語るとき、それはまるで違った世界が浮きあがってくるだろうという趣旨のことが書かれていたが、まさにそれを思い出した。最終話の「孤児惑星」なんかは最新宇宙SFの醍醐味を味わえて、やっぱSF面白いよなあと。

 

 kindle unlimitedは実際はアンリミテッドではなくある程度のリミットがあるのだが、それでも月額千円ということを考えれば本のサブスクリプションとしてはかなり有用だ。先の「バーナード嬢曰く。」は全巻購入しても1400円くらいだったので思わず買ってしまった。読書欲を非常にそそられるよい作品です。なんかアニメ化までされててびっくりなんだけど、あの独特の画風を再現はできていないようで・・・。

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 そうそう、第6巻において、カフカの「父の気がかり」という3ページくらいしかない短編に出てくるオドラデクという星形の謎の生き物に関しての話があり、あーそういやそんな話があったな、と思って読み返したところ寓意に満ちすぎていてよくわからない話だった。

 ちなみにその話が載っている「カフカ短編集」には個人的にカフカの短編としては最高傑作と思っている「流刑地にて」が収録されている。

 とある地位のある旅行者が植民地(どこかははっきりとしないが、モロッコとかそういうあたりか)で一人の将校を紹介される。その将校は先代の司令官が開発したという特殊な処刑機械を維持することに憑りつかれており、その旅行者が口添えしてくれることを期待して処刑場面に立ち会ってもらうのだが・・・。まあ青空文庫とかでも読めるのでぜひ一読をお勧めします。なにその終わり方!というまさに不条理文学と呼ぶにふさわしい内容です。高校一年生の娘に読ませると「もうこれで読書感想文書くわ」と言っていた。

 

 そうしてアンリミテッドで柳下毅一郎氏の「皆殺し映画通信」全巻が読めることを発見し、順次読み進めているのだけれどこれがまた頗る面白いのだ。

キンドルアンリミテッドなら全巻無料

 柳下氏は特殊翻訳家を名乗っているが、他にも映画評論家や殺人犯研究者としての側面をもった方でもあり、「映画秘宝」初期のころから氏の本を読んでいる僕です。そして僕のブログでしょっちゅう紹介する映画批評チャンネル「ブラックホール」では毎週その該博な知識と知見で、てらさわホーク氏、高橋ヨシキ氏と共に映画を語っておられる。

スピルバーグのシリーズはすごすぎ

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 昔僕は氏の「世界殺人鬼百選」を本屋に予約して親に気持ち悪がられたりしたっけ。

でも今はプレミアがついてるぜ!ちなみに「ガース柳下」名義

 

 この「皆殺し映画通信」、毎年公開される膨大な邦画の中には何故、誰のために作られたのかという作品が目白押しである。氏はそういう本格映画ファンからは見向きもされないような映画を自腹で鑑賞し、時には地方遠征までするのである。そして豊かな見識に裏打ちされたレポートを届けてくれる。きっと実際に観たらつまらな過ぎて、意味不明過ぎて途中で観るのを止めてしまうような作品が多いのだが氏の筆致によりこの上なく面白いものに思えてくるから不思議だ。そしてそこに浮き上がる邦画の闇に「映画の死」を憂えるのである。

 もちろんそういった作品だけではなく、大ヒット作品や、幸福の科学関連の映画なども紹介されており、世には色々な映画があるものだな、と感心することしきり。邦画にある種の気持ち悪さを感じている人にとって、なるほどと思わされる論考が詰まっております。たとえばこんな映画があったことなど知らなんだ。

もう予告編からしてヤバイ


 とにかくこの本はどの巻から、どのページから読んでも面白いし、読み始めたらなかなかやめられない。文章も非常に読みやすく面白いので何か軽いものが読みたいと思ったときに最適の本です。

 

 まあ実際にはどの映画も見ないですけど

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クライムズ・オブ・ザ・フューチャーみた

 デイビッド・クローネンバーグが久しぶりにぐちゃどろ方面へ帰ってきた!

巨匠の風格漂うクローネンバーグ監督の最新作「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」は内臓映画(というジャンルがあるとすれば)の頂点とも言える作品だった。 


 予告編で相変わらずの独特のガジェットが登場し、クローネンバーグ作品を知らない人からすればなんじゃこりゃというものだが、30年来のファンとしてはあのころのクローネンバーグが帰ってきた!という感じですよ。

もうサムネイルからし

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 ここ最近は端正な作品が多く「ヒストリー・オブ・バイオレンス」以来彼の作品を鑑賞していなかったんだけど、今回はこちらも気合十分で鑑賞に臨みました。

 相変わらずの低予算感が感じられるが俳優は地味に豪華。クローネンバーグ作品の常連であるヴィゴ・モーテンセンが主演でそのパートナーにはボンドガール のレア・セドゥ。彼女、「フレンチ・ディスパッチ」にもすごい役で出てたな。  

 

 

              注意!ネタばれあり!

 

 

 冒頭、海辺で遊ぶ10歳前後の少年が登場。背後には横倒しに座礁した貨物船。ディストピアですかね・・・。海辺の家の窓辺から母親に「変なものを食べちゃだめよ」と注意される。

 その夜、少年は歯磨きを終えた後、洗面所で座り込みプラスチックのゴミ箱をバリバリと食ってるじゃないか!その様子を絶望的なまなざしで見つめる母親。そして彼女は息子が眠りについた後、枕を少年の上にかぶせ殺害する・・・。

 まったくもって意味不明の冒頭部分、相変わらずすごいな、クローネンバーグ。 

 

 いつとは知れぬ近未来、人間は内なる進化を始めていた。感染症は克服され、痛みの感覚が無くなり、それゆえにナイフで傷を付けてもへいちゃら。であるからして肉体改造 が容易になっているのだが、中でもそれをパフォーマンスとして行っている人間が出てくる。身体を傷つけることがアートと同一になっているのだ。 

 

 ただ、クローネンバーグの未来なのでブレードランナーのような街並みや、最新のテクノロジーなどはほぼ出てこない。そもそも、パソコンやスマホの類は一切登場せず資料 の保存は全てが紙!建物も廃墟のようなボロボロなものばかり。そして時折響く「ブブ」というハエの羽音。唯一未来感があったのは指輪型のビデオカメラなんだけど、同時にこの世界の人々は撮影をするときには八ミリカメラのようなこれまた古臭い機械を使っても撮影するのだ。ネット環境がないも同然の世界観。

 

 時代に逆行も甚だしいね。これ、「イグジステンツ」とかでもそうだったんだけど、

 彼の作品ではピカピカの実験室や機械は登場しない。かといってアジア風のサイバーパンク描写も出てこない。近未来と言えばブレードランナー風という描写に対するアンチテーゼか。まあ予算が無いというのもあるのでしょうが、街の全景 や建物の様子はほぼ描写されず、出てきたとしてもボロボロのビルや部屋ばかり。むしろ大時代的な建物や人々の様子 であり、この辺りはロケ地がアテネということにも拠るのだろう。

 

 主人公ソール・テンサーは「加速進化症候群」なる症状があり、体の中に常に新しい臓器が出現する。それは何の機能もない臓器なのだが、それをパートナーであるカプリースが体内にある状態でその臓器にタトゥーを施し、パフォーマンスとして人々の前でそれを取り出すのだ。それはアートなのである。

 

 そうしてその取り出した臓器は登録物として扱われ、NVU(ニューヴァイスユニット)なる組織の下部組織、「臓器登録所」へと預けるのだ。その臓器登録所の佇まいもなんだか貧相で、おんぼろビルの汚い一室である。そこには所長のウィペットと若い女性の助手ティムリンだけが働いている。各所で言われているのだが、このティムリン役のクリステン・スチュワートが非常にいいですな。最初は地味な印象なのだが、後半その存在感を増し、最終的には結末に大きな影響を与える人物になる。

 

 そうそう、キャストに久しぶりにスコット・スピードマンの名前を発見し、どこで出てくるかなと思いながら見ていたんだけど、最初所長役のウィペットと勘違いし、うわあスコット無茶苦茶年老いた!腹も出てしまった!「アンダーワールド」の頃の精悍な役からは考えられないと思っていたら、とある組織のリーダーのラング役がそうだった。

 ラングは冒頭のプラスチック食い少年の父親であり、有毒物質のチョコレートバーを食べられるように自らの体を改造したのだ。そしてその息子はなんと生まれつきそのプラスチックを食物としているのだった。彼はその死体をソールに解剖してもらい、新人類の存在を公にすることを望んでいるのだ。

 映画の最後にその少年の解剖ショーが来るのだが、もちろん作り物とはいえこういうの苦手な人たくさんいるだろうね。カンヌ映画祭で途中退出者続出!という煽りはこのあたりですかね。

 

 映画の中ではしょっちゅう内臓が出てきたり腹を切り裂いたりしているのだけれど、不思議と生々しさはないのです。なんというか80~90年代ホラーの作り物感が感じられてある種のユーモラスな雰囲気がある。最近のリアルスプラッタホラーとは違う感じなんだけど、そう思うのは僕だけか。

 

 こうしていろいろ書いたところでこの特殊な作品の魅力は伝わらないと思います。ぜひ劇場で見ていただきたいですね。先週公開されたばかりだけど、多分すぐ終わっちゃう気がするなあ。そんでもってパンフレットも売り切れてしまうのではないか。というのも僕が観たシネコンでは僕がラストパンフ!公開一週間も経たないうちに売り切れかよ。いやギリ買えてよかった。1200円と高めだが、かなり凝った装丁で、記事も充実しておりました。

 パンフにカバーがついている!寄稿者も高橋ヨシキ氏など「わかっている」人達が終結

 

       

 

そんでもってこちらのブラックホールチャンネルでも特集。なんとインタビュー企画でクローネンバーグ本人が登場!すげえ!同時にクローネンバーグのフィルモグラフィーも紹介されています。

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以前書いたヴィデオドロームの記事はこちら

 

さあ!最近映画代も高いけど、ぜひ映画館へどうぞ。

 

クローネンバーグって80歳

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シェイン・エンバリーがいない!

 つうか、日本全国亜熱帯みたいな今ですが、その中でもほぼ熱帯じゃないかと思える北関東。こないだなんか空気が熱くなりすぎて気候が訳分からなくなり、結果大量の雹が降って、車に少なからぬダメージが与えられ少々ブルーです。

 さて一昔前なら何かちょっとしたことがあるとブログに綴っていた僕だけど、暑さと仕事が繁忙期ということで毎日気力が衰えており、もう8月かよ!ホント衰えたなあ。そんなどうでもいい中年の夏のつれづれ。

 だらだらとYOTUBEを見ていたら、最新のナパーム・デスのライブがあったので見てみるとあれ?なんかおかしい!

                         

 ベースがシェイン・エンバリーじゃない!

 つってもシェイン・エンバリーって誰だよ!という方が殆どだと思いますので、この人です。

 この人はとにかくグラインド・コアというエクストリームミュージックのジャンルにおいて非常に重要な人物で、なんかこの手のバンドを10個くらいかけもちしてるのだ。その中でもメインはナパーム・デスのベースで、その豪快なプレイスタイルはバンドのサウンドの要である。

グローブほどもある手でゴワゴワとした音をたたき出すシェイン!カッコいい!しかるに、そのシェインが先のライヴにいないのだ!まさかの脱退?僕はすぐに検索したが、日本語のサイトではその動向が全くつかめなかった。そこで、直接彼のサイトにアクセス。

 しかし其処にある情報は彼が歩んだ35年のグラインドコア人生の集大成ともいえる自伝が発売されたとか、子供の写真とか・・・いやあなた今何してるんですか!

 海外のサイトを見ても良くわからないので、今度はYOTUBEのコメントを見てみる。当然僕と同じ疑問をもった人々は多く、何回も

Where Shane???

Where is Embury??????

というコメントが見受けられた。シェイン人気高い。そんでそれに対する返信を見たところ、

On tour with brujeria

という返信を発見。

なんのことやらわからないと思いますので説明すると、シェインは数多くのバンドを掛け持ちし、その中でもBRUJERIAという凶悪な中南米系のバンドをやっており、そのツアーとバッティングしていた模様。ナパームデスよりブルへリアを優先か・・・まあ、ブッキングのタイミングがどうしようもなく、こうなったらしい。

ここでシェインベース弾いてますね

 

 これで一安心だ・・・って、みなさん、ここまで読んでくれました?まったく興味のないシェインとかブルへリアの話大丈夫ですか?

 

 全然違うジャンルですが、おとぼけビーバーが最近好き。

 

 カッコイイ!各メンバーの技量が水準高いが、特にドラム!ハードコアパンクグラインドコアか。海外で特に評価が高い彼女たち、日本でもブレイクなるか。京都弁の歌詞もサウンドにマッチして心地よい。3曲目の「ケータイ見てしまいましたあいつめっちゃマッチングしてました」を高速ビートに載せて歌うなんて最高。

  

 センス・テクニックを含め、今までにないガールズバンドだと思います。この感じ何かに似ているな・・・と思ったら、そうだ!ギターウルフだと思ったよ。使っているギターもSGだしね。

演奏は彼女たちのほうがかなり上手。でもスピリット的に同じものを感じました。じぇっとじぇねれいしょん!

 つうかやっぱこのバンドすごいな。セイジ兄貴のマーシャルツマミオール10は伊達じゃないな。

 

他にもいろいろ書くことあるけどもう疲れちゃった

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From Enslavement To Obliteration

From Enslavement To Obliteration

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パブリック・エネミーのパンツ

先日ゾゾユーズドでこのようなパンツを買ったのです。

                                       

表はベージュで裏は黒というトリッキーなチノパンなのだが、これを購入した決め手はよく見るとこのようなプリントがされていたからなのです。

    

 まあタイトルに書いているので何なんですが、往年の人気ヒップホップバンド、パブリック・エネミーのマークなんですよ。チノパンにプリントって一昔前のラルフローレンのパクリじゃないかとも思うのだけど、どうせ誰もそんなこと気にしないか。

 

 それにしたって今日本でどのくらいの人がパブリック・エネミー聴いてるんすかね。そもそも知名度はかなり低いのではないか。40代以上の洋楽好きの方ならわかるか。

 僕が彼らを聴くようになったのは多分アンスラックスのスコット・イアンがパブリック・エネミー好きを公言していたからだろうな。

 スラッシュメタル四天王の一翼として突っ走っていた彼らは初期の頃こそメタル然としたルックスだったものの(ほぼ全員迷彩ズボンにライダースジャケットみたいな恰好)、三枚目のアルバム「アマングザリヴィング」あたりからはバミューダにTシャツといったメタルバンドにしてはかなりカジュアルな格好で演奏をしていたのだ(主にギターのスコットとドラムのチャーリーだけど)。

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そうして彼らはお遊びでメタルとラップを融合させた「アイム・ザ・マン」をリリース。この曲はちょっとした衝撃だった。今でこそラップメタルなんて当たり前だけれど、ゴリゴリのギターサウンドにラップを乗せたのは彼らが嚆矢ではないのか。

              ノット!ノット!俺は男だ!

                 

 ここでもスコットはパブリック・エネミーのTシャツを着用している。この辺から僕と友人界隈ではパブリック・エネミーに対する興味が沸き上がり、いつものように新宿のレコファンで3rdアルバムにして大傑作の「ブラック・プラネット」を購入したのだ。

     このCDどこに行ったか分からなくなっていて30分くらいかかって発見

      

 パンツ購入きっかけで久しぶりにこのアルバムを聴いたけど、やっぱカッコいいな!特に冒頭のインストからブラザース・ゴナ・ワーク・イット・アウトへの流れは素晴らしい。

    いかにも意地悪そうな警官に職質されるチャックD。後ろのフレイヴァーもいい顔している

   

 このアルバムにハマったので他のアルバムも揃え、一時期かなりの頻度でパブリック・エネミーを聴いていたっけ。ヒップホップでありながらも、DJのターミネータXが作るトラックはロックスピリットが感じられた。1stの曲なんかスレイヤーの曲とかサンプリングしていた。あれ、それはビースティ・ボーイズだっけ?

 僕はジャンルレスに音楽を聴きますが、やはりヒップホップはちょいと敷居が高かった。パブリック・エネミーのほかにもサード・ベースとかサイプレス・ヒルとか、名前も忘れてしまったラップ系のCDをいくつか持っていたが結局のところ彼らとビースティくらいしかこのジャンルは手を伸ばさなかった。ああそうだ、バスタライムスは好きだったな。

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 パブリック・エネミーはメンバーが変わりながらも今もやっているようです。チャックDとフレイバーがメインMCだがフレイバーはその素行上何度もクビになっているそうな。そんで当時から謎だったのはパブリックエネミーって結構メンバーいるのよ。

       アルバムの裏ジャケにはこんだけ人がいる。世界征服を計画中

     

中ジャケはこう

   

特に謎なのは、写真右側のS1Wという人たちで、この人たちは音楽的貢献とかしていたのだろうか?主にライヴステージ上で軍服を着て隊列を組んで歩くのが仕事だったようなのだが、政治的主張として機能していたのだろうか。


 最終的にはアンスラックスとパブリックエネミーは「ブリング・ザ・ノイズ」のメタルバージョンというとんでもないコラボを実現し、ここにラップとメタルの融合極まれり!

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 この曲がきっかけでその後メタルバンドとラップアーティストがコラボした「ジャッジメントナイト」という歴史的アルバムが誕生。

Judgement Night

Judgement Night

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             特にスレイヤーとアイスTのコラボはすごかった。

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 この曲友人たちとバンドでコピーしたなー。アイスTは自分でメタルバンド、ボディカウントを作って活動してたっけ。それも好きだったなあ。

 

 さて件のパンツにはパブリックエネミーのアイコンの他、彼らの代表曲名がプリントされている。

 

 

 「Fight the power」とかってそういえばスパイク・リーの映画「ドゥザライトシング」でかかってたな。かなり昔に見たが、なんか最後で主人公の黒人青年が薄給でこき使われているピザ屋にイスを投げ込んで暴動のきっかけを起こすんだけど、ピザ屋のイタリア人のおっさんがなんか不憫だったなあ。

 あ、そういえば冒頭でも触れましたが、英語でこんなふうにテキストが書かれているパンツって昔からあったんだけど、高校生当時友人がそういうパンツに憧れて、自分でジーパンにマジックで落書きをしてセルフカスタムをしていたのだ。

 しかしながらその友人はあまり英語力がなかったので書いたフレーズが「BOOK」とか「BOY」とかしょうもない単語ばかりですごい笑った記憶あり。「本」じゃないでしょ。

 

    ちなみにパブリック・エネミーパンツ、履いた感じはなかなか良いです。

        

 

ドンビリーヴザハイプ!

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