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ダンス・ソサエティを久しぶりに聴いた

 高校生の頃、小遣いをやりくりしては何とかレコードを買っていた。

 今はお手軽にYOTUBEやサブスクであらゆる音楽が聴ける世の中、40年前の僕らは雑誌や数少ない音楽番組だけが情報源で、そのあやふやな情報だけでレコードを買ったものだ。そういう一枚がこのダンス・ソサエティの「HEAVEN IS WAITING」だった。

評価は高め

 あの頃の僕は主にイギリスの流行りものを中心に聴いていた。デュラン・デュランを中学の時に聴いて衝撃を受け、そこからジャパン方面へシフトし、高校へ入ると友人の影響でソフト・セル、キュアーといったバンドを聴いていた。そして洋楽好きの友人の間ではどれだけレアなイギリスのバンドを知っているか自慢みたいなのがあって、みんんな新しいバンドを発掘するのに躍起になっていた。オルタード・イメージとかトークトーク、ブルー・ズーといったサブストリーム的なバンドをそこでは発見したのだけれど、主な情報源はやはり「ミュージック・ライフ」あたりだったろうか。

 

 巻末に載っていた新譜レヴューを見てはよし、今度これ買おうあれ買おうなどと勉強もせずに考えていた僕だったがある時ダンス・ソサエティなるバンドのデビューアルバムのレビューが載っていたのだ。内容は忘れてしまったが、曰くポジティブ・パンクの雄で、要はこれからはポジパンがくるから要チェック!みたいな感じだったと思う。

 

 ポジティブとはいえ、僕はまだその頃パンクがどんなジャンルの音楽かは良くわかっておらず、何か凶悪なオーラが漂っているのではないかと勝手にビビっていた。そんでもって以前友人の家で聴かされたローズ・オブ・ニュー・チャーチがギター全開のパンクサウンドで、今思えばそんなに激しくはないのだが当時の僕としてはまだそういう音楽に免疫がなくあんまり好みじゃないなあと感じていたのだ。

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 だから先入観としてものすごくブルータルでラウドな音が出てくるのではないかとニューウェーブ小僧の僕は考えていたわけだ。今はどんなに凶悪なデスメタルグラインドコアも余裕で聴けるようになったよ。

 

 怖いもの見たさで買ったレコードに針を落とした瞬間、どんなに爆発的なサウンドが出てくるのかと少しドキドキしながら待っていると、流れてきたのは硬質なベースの暗いフレーズだった。そこに合わせてスティーブのけだるいヴォーカルが「うぉんちゅーかみんさいど・・・」と絡んでくる。あれあれ、なんか違うぞと思っていたら、タントンタタタン!と渾身の力でたたいたと思われるスネアが入ってきてなにやら重くおどろおどろしい曲が始まったのだ。しかしサビでは美しいピアノもフューチャーされ、パンクというよりはゴシック/ニューウェーブに近い音が展開されていたのだ。

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 それでも強めのスネアの音に圧倒されて「はえー、これがポジパンかー」などとアホのような感想を持った僕だったが、二曲目以降はシーケンサーを使ったデジタルな曲が中心で、悪くはないのだけれどあまり乗れなかったよ。タイトル曲の「HEAVEN IS WAITING」のギターはバウハウスみたいでおぉっ、と思ったっけ。

 しかし2500円という大枚はたいて買ったレコードなのでしばらくは無理やり聴いたりしていたのだが、大体一曲目聴いておしまい、になっていた。

 

 でも高校生の頃に聴いていた音楽って折に触れて聴きたくなるじゃないですか。そうしてさっき久しぶりに聴いたら結構いいじゃん!曲も「あーこんな曲あったな!」みたいな感じで目を閉じるとあのころの光景が浮かんでくるぜ。

 

 YOUTUBEでこういうの見ると芋づる式にあのころのバンドが出てくるんだよなー

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