セパルトゥラが知名度を上げ始めたのは二十数年前の「ARISE」リリース前後だろう。彼らの名前を初めて見たのは多分「BURRN!」だと思う(当時はメタルの情報があまりなかったので)。とにかくブラジル出身のスラッシュメタルバンドが傑作を作った!みたいな触れ込みで紹介されていたのだ。
その頃僕は大学生だったか、卒業後フラフラしていた頃だったか覚えていないけれど、とにかく新しい音楽を聴きたくて早速その「ARISE」を手に入れたのです。
このジャケット、懐かしい
最初はメタルお約束の不気味な効果音を経て、突然景気のいいリフが飛び出しスタスタと期待を裏切らない素晴らしいスラッシュメタルが始まった!
2コーラス目の最初の歌詞が空耳アワーで「蟻、食べちゃダメ」と紹介されていて笑った
当時は今ほど情報もなく、僕やその仲間たちはこぞって色々なB級スラッシュメタルを聴いていたが、結構ハズレのバンドも多かった。そんな中、彼らは大当たり!ブラジル出身という先入観を見事はねのけて世界が認めていったのだ。
まあ、実はこのアルバムも聴かない曲がそこそこあるんだけれど、トータルで見れば非常に完成度の高い内容だと思う。ヨーロッパやアメリカのバンドとはどこか違うサウンド。やはりブラジルの血が彼らをしてこの作品を作らしめたとしか思えない。
セパルトゥラを気に入った僕はすぐに映像作品を手に入れた。当時はVHS。
ああ!これこれ!まだ買える(買わないけれど)
このビデオはすごかった。バンドの勢いが半端じゃないのだな。売れ始めた勢いと彼らのエネルギーがちょうどいい感じで沸き立っているのだ。
一曲目のオリジナルインストからして無茶苦茶カッコいい!
とにかくVo・Gのマックスのパフォーマンステンションが高い!そもそも最初の「ARISE」なんてギター弾いてんの?ていうくらい雑な弾き方。多分これ、後で音付けたのではないか?
このライヴからは「ARISE」の曲以外も結構やっているのだが、そちらの曲がとにかくカッコいいのですよ。特に後半の「TROOPS OF DOOM」がものすごく良かった。テンポチェンジの時に「ワン・ツー・スリー・フォー!」ではなく「ウノ・ドス・トレ・カトロ!」とスペイン語で言うのもカッコいい(これライブインバルセロナなので)。そして最後の「BENEATH THE REMAINS」でさらにヒートアップ!この曲はよく練られたスラッシュメタルソングだと思う。特にサビ部分の「ビニッスザリメイン!」と叫ぶと同時にすべての楽器が「ダダッダダダ!」とリズムを刻む所がこの曲の要!このアレンジはやはりこの時期のマックスの天才の現れだ。
このビデオをほぼ毎日見ていた僕はすぐにアルバム「BENEATHE THE REMAINS」を買ったよ。
リマスター出てるんだよねー
Beneath The Remains -Remaster-
- アーティスト: Sepultura
- 出版社/メーカー: Roadrunner
- 発売日: 1997/10/20
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音は「ARISE」よりも迫力がなかったが、曲はこちらの方がよりスラッシュ度が高くて僕は好きだった。当時、多分新宿アルタだと思うんだけど何故かこのジャケットをプリントしたキャップが売っていて、迷うことなく購買。あんまりかぶりすぎてボロボロになって泣く泣く捨てた。今売ってないのかな・・・
とりあえず楽天で検索したら、中古Tがこの値段で驚いた
90年代 ヘインズ Hanes SEPULTURA セパルトゥラ ARISE バンドTシャツ USA製 メンズL /war0001 【中古】 【180518】 価格:27,000円 |
ロックTのプレミア、話には聞いていたけれどすごいね。この手のTシャツたくさん持っていたのになあ、全部どこかにいったなあ。
さて、セパルトゥラは「ARISE」をヒットさせた後、「カオスAD」、「ルーツ」というアルバムを出すのだが
CHAOS A.D. (EXPANDED EDITION) [2CD]
- アーティスト: SEPULTURA
- 出版社/メーカー: ATLANTIC
- 発売日: 2017/10/06
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- アーティスト: セパルトゥラ,マックス・カバレラ,カーリンホス・ブラウン,アンドレアス・キッサー,ディー・ロウ
- 出版社/メーカー: ロードランナー・ジャパン
- 発売日: 2001/03/28
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ブラジリアンなフレーバーを曲にまぶしてみたり、スローダウンしてモダンへヴィネス/ニューメタル方面へと舵を切って、僕は嫌いじゃないけれど、やはり「ARISE」あたりよりは愛着が持てないのだな・・・。
その後方向性の違いだかどうか知らないけれど、バンドの司令塔のマックスが脱退し、「SOULFLY」を立ち上げ、よりニューメタル方面へと突き進む。
まあしばらく何枚かは聴いたけれど、あんまり刺さらなかった
それよりもマックスが時折気まぐれにやるサイドプロジェクトの方が良かった。
このネイルボムなんかはハードコア寄りで結構当時僕の周りのメタル好きはよく聴いていた。
こんなに昔のアルバムだったのか
今聴いてもやっぱりかっこいいよね
ネイルボムを聴いて思い出して笑うのは、このアルバムの一曲目を、僕がいつも一緒にやっているバンドのヴォーカリスト(通称モモ)がコピーバンドで歌ったんですよ。
その男、モモのイメージを持っていただくために一応貼っておきますね。
歌っている男がモモ。レッチリのマイナーソングを僕の趣味でやった時のやつ
そんで、そのライヴの打ち上げを新宿でやって、結構遅くまで飲んだのかな、いよいよ終電近くになって帰ろうということになった。
ちなみにこのモモという男は酔うと無茶をするタイプの男で翌日一切記憶がないというタチの悪い良い方をする、愛すべき友人だ。そうして酔っ払ったモモと僕はそのほかの友人何人かと一緒に新宿三丁目あたりから地下街を通ってJR方面へ向かっていた。
時間も時間なので人通りもほとんどなく、昼間の喧騒が嘘のような新宿地下通路でモモはひとり気分が良かったのか、突如「ででーでででーでででーででー!」とネイルボムの一曲目のリフをギターを弾く真似をしながら大声で歌いだした(彼は実際にはギターを弾けない)。僕らよりも二十メートルくらいをひとり歩いていたモモが大声でそのリフを歌いだしたので、ああ、いつものアレね、といった感じで笑いながら僕らは彼を暖かい眼差しで見守っていた。
そうしてモモはしばらく一人、ででーでででーでと歌っていたがその彼の歩くすぐ先にはひとりのくたびれた感じのサラリーマンがいたのです。
おい、ウソでしょ、ひょっとして、と思うと同時にモモはそのサラリーマンの横へふらふらと歩いていき、彼に触れるか触れないかくらいの距離、耳元大声で
ででーでででーででデーでデー!ででーでででーでー!
と絶叫!
あのう、今これを書きながら僕部屋でひとりで笑ってます。
多分僕のつたない表現力ではあのマッドさと面白さは伝わっていないと思うのですが、あの絵を思い出すと何度でも笑ってしまう。サラリーマンの人は、嫌そうに体を傾けて足早に去っていった。
いい迷惑だよね、こんな狂った男に新宿の夜遅くででーで攻撃を喰らったんだから。
いやこんなに長い記事になるとは思っていなかったのですが、表題に戻ると、最近マックスと弟のイゴール(ドラム担当)がこんなことやってたのです。
どうして外人は年をとると太るのだろう。あとマックスの衣装がヒドイ
セパ時代のビデオを観たあとにこれを見ると、老いは否めないよなー。なんかギターのピッキングにも元気がない。それはともかく、この2枚に限定してライヴをやるということは、彼らもまた初期の傑作としてこの作品を捉えているのでしょう。
何歳になろうがメタル!