観てきました、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』。
この予告編を見るだけでお腹いっぱい。すごすぎる。
声優もシャーリーズセロンとかマシューマコノヒーというハリウッドスター。
gaga.ne.jp
僕は昔から人形アニメが好きで、その発端はおそらく小学生の時にやっていた「シンドバッド黄金の航海」とか「アルゴ探検隊の大冒険」などの作品をよく見ていたからだろう。
もはや伝説的なアニメーター、レイハリーハウゼンの真骨頂。今見ても圧巻。
まあここから語り始めるのは人類の起源を語るようなものなので今回は割愛しますが、公開当時すぐに打ち切られた「ナイトメアビフォアクリスマス」も劇場で見たし、ヤン・シュワンクマイエルの作品集とかをレンタル(買うほどではなかった)して見たりしていた。そして、『コララインとボタンの魔女』も当然見に行き、かなり当時はハマったものだ。
コララインや変な人形アニメ「おやすみ、くまちゃん」についてはこちらで。
このアニメの制作会社はライカスタジオといって近年の人形アニメはほとんどがココの独擅場となっている。ライカはコンスタントに作品を世に送り出していてその最新作が「KUBO」なのだ。そしてその技術は世界最高峰といっていいだろう。
今回の主人公はなんと日本人の少年!しかも舞台は中世~近世の日本をモチーフにしている。よくこんな企画が通ったね。普通なら中国市場を意識してその手のストーリーを作る時代だというのに、サムライって。
監督でありライカのCEOのトラヴィス・ナイト(次回作はなんとバンブルビー!)は大の日本びいきでこの企画が実現したらしい。かなり綿密な考証を行ったらしく、外人の解釈する変な日本観がない。むしろ日本人が知っているよ日本よりも日本的な映画となっている。傑作。
注意!ここからネタバレありますよ!
冒頭、クボの母が荒海を小舟で漂う描写からしてすごい。これがほとんどコマ撮りだという驚異的な映像。葛飾北斎の富嶽三十六景・神奈川沖浪裏を彷彿とさせる場面である。
この母は三味線を引くことで魔法を使えるという設定になっている。荒海の中ようやく陸地についた母は隻眼の赤ん坊、クボを抱きしめる。
数年後クボは母から受け継いだ魔力で、三味線を弾きながら折り紙細工を操り、村で物語を語りながら日銭を稼いでいる。
あれ?この映画のサブタイトル、「二本の弦の秘密」なんだけど、三味線の弦は三本だよね。一体どういうことだろう。しかし、その謎は映画の最後で解るようになっていた。
彼の見事な芸は街中の人々の注目の的で、皆が最後までその物語を聞きたがるのだが、からは最後までそれを語ることはしない。なぜならその物語は母親からつねづね聞かされていたものなのだが、その話は彼自身の生い立ちに関する物語であり、しかもその物語は現在も続いており、終わりがまだ来ていないからなのだ。
母は一日のほとんどを呆けて過ごしているが、ほんのわずかな時間だけ我を取り戻すことがあり、クボはその時間だけに幸せを感じている。
クボの母は「月の帝」の娘で(それゆえ魔力がある)殺すはずだった人間の侍の「ハンゾウ」と恋に落ち、父を裏切った過去があったのだ。激怒した月の帝は幼いクボの片目を奪ったという。
夜に魔力を増す月の魔物たちから逃れるためにクボは夜間の外出を禁じられていたが、死者の例と話すことができるという灯篭流しに参加したことで闇の魔物=彼の叔母たちに見つかり、母は「三つの武具を見つけなさい」と言い残し彼を逃がすために命を落とす。
母の魔力によって逃がされたクボが目を覚ますとそこには一頭のサルが自分の名前を呼んでいる。母が最後の力を振り絞って人形に命を吹き込んだというのだ。
僕は予告編を見たときこのサルはてっきり年老いており、クボを訓練する役割かと思っていたらさにあらず、メスであった。生きるためクボに厳しく接するサルだがふとクボの姿を見失った彼女は必死に彼をさらった影を追う。その先にはなんと呪いをかけられ記憶を失ったという巨大なクワガタの姿をした人物がいた。彼はどうやらクボの父ハンゾウに仕えていたらしく、旅の仲間に加わる。
ここからロープレのごとく三つの武具探しが始まるのだ。それぞれの武具を手に入れるには試練が待ち構えており、まず最初の「折れずの刀」は巨大な骸骨が守っているのだった。この骸骨なんと5mほどもある人形を制作したらしくストップモーションアニメ史上最大だとのこと。スゴイね。この骸骨も歌川国芳の有名な浮世絵からインスパイアされたらしい。
旅をしているうちにサルとクワガタとクボは擬似家族のような関係になっていく。特にクボは父親を知らないだけに、クワガタとサルと摂る食事はこの上なく楽しいものとなる。しかし追っ手の妹たちや湖の底の怪物たちは安寧の時を彼に与えてはくれない。サルは負傷しながらもクボを命懸けで助ける。
闇の魔物である妹とサルが戦うシーンは迫力満点である。吹き荒れる嵐の中、縦横無尽に飛び回るサルと魔物の対決はこれが人形アニメであるのだということを全く気付かせないほど滑らかな動きなのだ。この一連の制作シーンはYOUTUBEで確認することができる。気の遠くなるような作業の積み重ねだ。
こういうのっていつまでも見ちゃうよね。すでに海外版のブルーレイは発売されており、アマゾンで手に入るのだけど、どうしようかな。
思いのほか長くなってしまったので続きはまた明日。疲れちった。
僕の物語は、こちら。