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ライトシャーロキアンなるかみ、「エレメンタリー」にドハマり

 シャーロック・ホームズに最初に興味を持ったのは、高校生の頃、NHKで不定期に放送していたBBC制作のジェレミー・ブレットが主演し、露口茂氏が声を当てていたこのドラマだ。

               字幕版ですが

    

 露口氏の渋い声がまたうまくマッチしていたのを覚えている。「ワトソン君!」と呼ぶ声が非常に凛々しく、当時高校生だった僕も何かの折に、意味なく虚空に向かって「ワトソン君!」と口に出して真似をしていたっけ。ださ。

 

 さて、数年前に娘がホームズの本を次から次へと読んでいるのを見てなんだか急にその作品が見たくなり、アマゾンで安く売っているDVDを片っ端から購入。娘と一緒に数本見たが、いかんせんあの声ではなく字幕版で違和感バリバリ。やっぱり僕にとってBBCのホームズはあの声が最もしっくりくるのです。

 

 このドラマでシャーロキアンとしての下地が作られた僕は、二十代の暇な時期に全てのホームズの作品を読破した。読破したつうても、そんなに作品が大量にあるわけではないのですぐに読み終わってしまったのだけれど、その中で僕が一番好きな作品は「バスカヴィル家の犬」だ。

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 ホームズの物語は基本短編が多い(長編は4冊のみ)のだけれど、これは長編でいかにもイギリスの田舎の旧家の因縁や政略結婚が絡んだゴシックな物語になっている。まあ光る犬とかのトリックは今読むと多少ショボいし、映像作品の犬もチープな特撮で怖さはない。

  

 ロバートダウニーJrの新解釈ホームズも見たが、なんだかマッチョでハリウッド然としたアクション映画みたいになっていてホームズの推理力を堪能できず次作の「シャドウ・ゲーム」はいまだ観ていない。

               プライムで観られるはずだけど

     

 ベネディクト・カンバーバッチ主演の現代版があって、絶対面白いんだろうけれども有料であるからして観ていない。

    

 

 また、ミス・シャーロックなんてのもあったけど、変化球的な作品としてイアンマッケランが93歳!のホームズ演じたこちらもある。ボケ防止のために効くという山椒を探しに、原爆投下後の広島へ行って真田広之と灰の街をウロウロするという謎エピソードがある。

               プライムで観られます

    

とにかく、かようにホームズは形を変え、今の時代でも十分通用するキャラクターとして生きている。

 

      そうして最近僕はアマゾンでこのドラマを発見した。

                 ようやく本題

    

 

 これも現代版ホームズという点ではカンバーバッチのものと趣向は同じなのだろうが、舞台をニューヨークに移し、ワトソンを女性にしたという点で異なる。

 

 ホームズは麻薬常習者で、その更生をサポートするためにワトソンが登場する。あまり知られていないと思うけれど、原作でもホームズはコカインをはじめとする薬物を常用しており、ワトソンがそれを見て心配したりやめさせようとしたりする描写があるのだ。この「エレメンタリー」は薬物中毒者としてのホームズにより重点が置かれており、それがワトソンの存在理由にもなっている。また各種のタトゥーを入れておりドイル版のホームズとは程遠い趣味も持ち合わせている。

 主演のジョニー・リー・ミラー(元アンジェリーナ・ジョリーの夫!)はこのエキセントリックかつ神経質で傲慢な現代のホームズというキャラを好演しており、回を追うごとにますます深みを増している。

 その立ち居振る舞いから手の些細な動きまでおそらくかなり入念に役作りをしていると思われる。ホームズが事件に没頭すると暴走機関車のように行動するところや、博覧強記(パゴッティのブーツから監視カメラの製造メーカーについてまで、あらゆることに詳しい)であるところは原作通りといっていいだろう。

 ルーシー・リュー演じるワトソンも彼のエキセントリックな言動や行動に振り回されつつも、彼の能力や仕事の特殊性の魅力に取りつかれ、付添人の期限が終わっても彼の助手として探偵業をするようにまでなる。ドラマの運びがスピーディで、毎回犯人が二転三転するという凝った脚本で飽きが来ない。ドラマが苦手な僕でもするすると観られるのがうれしい。

 宿敵としてモリアーティが示唆されているのは原作どおりだけれど、笑ったのは原作ではホームズの下宿を経営しているハドソン夫人が性転換者として登場するところだ。最初はずいぶんごつい女性だと思ったら、オネエでした。なんだそれ!そのキャラ変更意味あるの?

 とにかくあんまり面白いので時間があれば観てます。ようやくシーズン1の20まで観たのだけれど当分楽しめそう。

 

 

 このブログあんまり更新しなくなったのでPVだだ落ち

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