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パールトロン・眠れない千葉シティ・パール兄弟

 5月に大学時代の友人たちと出かけた時に、その中の一人がパール兄弟のTシャツを着ていた。

 これのTシャツだった。おくれ!

馬のように

馬のように

 

  「あれ?パール兄弟!どうして?」

 「いや、たまにお手伝いするんで」

 彼は大学卒業後、ある大物ミュージシャンの事務所へ入り、その後芸能界にいろいろと携わり現在に至っている。そのつてでパール兄弟のイベントにも参加したらしい。

  最新曲、テイストはそんなに変わってないですね。ただ、再生数の少なさに少ししみじみ

   

 

 パール兄弟っていっても、50代以上の人じゃないともう知らないんじゃないかな。リスナーの高齢化甚だしいね。そして僕もその中の一人だ。

 それはともかくとして、30年くらい前、サエキけんぞう氏が中心となって活躍していたサブカル系(?)バンドだ。

HPがなんか古臭い。あの頃時代の先端を行っていたのになあ

Pearl Brothers Home Page

 

大学生の頃、もうどうやって知ったのか忘れちゃったけれど友人の誰かがパール兄弟の2ndアルバム「PEARLTRON」を僕にダビングしてくれたのだ。

  超名盤。80Sバリバリ         

REARLTRON

REARLTRON

 

 それを僕は結構な頻度で聴いていたのだ。オープニングのオーバーチュア(洪水デート)から、「世界はゴー・ネクスト」そして「ごめんねエイリやん」へのつながりが絶妙だった。

             サエキ氏の作詞センス非常に素晴らしい

   

 僕はそのころ確かまだ大学1年生で初めての一人暮らしや新しい友人、大学の授業、アルバイトとそれまでの浪人時代からは考えられないような生活に切り替わった頃だった。

 なんだかようやく大人になったような気がして同じクラスの友人たちと麻雀し、その席でこのパールロトンをかけながら徹夜したものだった(でも結局ルールがよくわからなくてすぐに脱落、ただ友人の様子を見ているだけでつまらなくなってやめた)。

 その頃の僕はもうジャパメタ漬けで、基本的にはアンセムとかリアクションとかをガンガン聴いていたのだけれど、さすがに麻雀の席でそれを流しても不評なのでこのパール兄弟を流したりしていたのだ。結構音楽を聴かない友人たちにも好評で、同時に洋楽好きの友人とは話が弾み、彼から色々とレコードを売ってもらったりしたっけ。

 

 あのころのクラスの友人たち、今どうしているのだろうか。サークルの仲間たちは今でも会うけれども、クラスの友人はほとんど音信不通。きっととんでもなく偉くなっているヤツとかいるはずだ。

 そうそう、僕は大学を卒業してもバンドを続けていたのでプータローであり、若かったから何も考えていなかったけれど、卒業して数ヵ月後あるとき新宿駅で、たまたまほとんど話したことのない体育会系のクラス友人がきちんとスーツを着て通勤しているところに出会い、我が身のデラシネぶりを振り返って少し落ち込んだことがあります。

 

 パール兄弟の話。

 「ごめんねエイリやん」のあとに、TRON岬」が入っていた。

 もちろん「トロン」とは映画「TRON」から取ったものに間違いはない。

          レガシーではなく、オリジナルの方ですね

   

 

               こちらがそのTRON岬。変な画像エフェクト

   

 歌詞がサイバーパンク風なのが非常に僕の琴線に触れたものだ。まず冒頭の「SFムービーのデート」なんてどう考えても「ブレードランナー」だ。それはあとに出てくる鋼鉄の炎、電飾のタワー、なんかの言葉からも容易に類推できる。そして極めつけはサビの「千葉シティ」の連呼だ。

 「千葉シティ」というネーミングはサイバーパンクSF小説の金字塔「ニューロマンサー」で登場する呼称なのだ。

 昔はさんざこのブログで触れてました


 僕にとってこの曲はそういうイメージが万華鏡のように散りばめられていて独特の世界観を感じることができた曲なのだ。今聴いてもその感覚は鋭く蘇ってくるからすごいよね。

 そうしてテープを裏返してB面の一曲目はうって変わってこんなに軽快な曲。

      ちゃんと当時のバックダンサーの「リーマンズ」が登場する 

  

 このあともクオリティの高い曲が続き、そうしてラストの「ディスコ鎮魂巻」で幕を閉じる。この最後の「ディスコ〜」がメドレー調になっていて、めまぐるしく曲調が変わるのだけれど(さりげなくファーストの曲とかも挟み込まれている)、本当によくできてるんですよ。そうしてフィナーレはオープニングのオーバーチュアのメロディーへと回帰し環が閉じるのです。

                歌詞も素晴らしい

   

 このアルバムは僕の青春期を彩る数多くのアルバムの中の一枚として今でも良く聴くのです。今の耳で聴くと多少古臭さはあるので、ぜひどうぞ、とは言えませんけどね、素晴らしいアルバムです。

 

こういうアルバムって何枚もあるなあ

kakuyomu.jp