この「ヘビーメタルと文芸少女の文法講座」は、このブログの管理人である僕「なるかみ音海」が書いた『ヘビーメタルと文芸少女』という素人小説の主人公である「大石ユリカ」というキャラクターが、僕のものしたもう一つの作品『土管の向こうの街』に出てくる「山内孝之」に文法を教えるという茶番を通じて、言葉の仕組みを語ろうという試みです。 文法が苦手な小学生や中学生、高校生、そして大人たち、集まれ!
登場人物紹介
大石ユリカ
高校1年生のヘビーメタル好きの文芸少女。小学2年生ら父親の影響でメタリカを聴き始め、同時に始めたギターの腕前はプロ級。
この小説で大活躍
山内孝之
小学6年生。中学受験を控え、勉強をしている。文法は苦手。ユリカに家庭教師をしてもらっている。
この小説で大冒険
こちらの記事の続きです
www.otominarukami.tokyo
さて、単語分けはマスターできたとして、今度は文節どうしの関係について勉強するよ。「~語」という文の中での役割を考えるの。ここでは必ず文節単位で考えてね。まずは主語・述語について。
簡単にいえば、主語は「~が」「~は」「~も」のように、「が・は・も」(場合によってはこそ・さえ・までなど)がつく文節がそうなの。それに対して、基本的には文の最後の文節で「どうする」「どんなだ」「なんだ」「ある」「いる」といった主語を受ける部分が述語ね。
簡単にまとめると、主語・述語の関係は
何が どうする(動作)。これには「どうした」も含まれるから気をつけてね。
何が どんなだ(様子・性質)。
何が なんだ(言い換え・イコールになるもの。名前とか、役職とか)。
って感じかな。くれぐれも「を」とか「に」のついている文節を主語にしたらダメだよ。
ユリカ先生、いつものように面白い例文で説明してよ。
別に面白いつもりはないんだけどな。例えば、「何がどうする」ならこうかな。
私は 叫んだ。
爆音が 聞こえる。
バイクが 走り去る。
これはまだほんとに単純なやつだからね。次は「何がどんなだ」にいくね。
オリオン座が きれいだ。
音が 大きい。
ギターが うるさい。
「どうする」と「どんなだ」の違い、わかるかな?じゃ「何がなんだ」にいくよ。
彼女は ギタリストだ。
メタリカが ナンバーワンだ。
私は 中学生だ。
まあ、こんな感じ。これは単純な文だから大丈夫よね。むしろ、文節数が増えると間違えやすいから気をつけてね。でも基本は「~が・は・も」を見れば主語で、最後の文節が述語だっていうことを理解していれば問題ないよ。じゃ少し長めの問題をやってみようか。まずは主語は青、述語は赤で表してみよう。
キラキラと 光る ライトが ライヴ会場を 照らす。
彼女の 速弾きは 観客を 非常に 驚かせた。
ドラゴンの ぬいぐるみの 口から 真っ赤な 炎が
ものすごい 勢いで 吐き出された。
長いけど、簡単だよ。こうでしょ。えっと主語が青で述語が赤だね。
キラキラと 光る ライトが ライヴ会場を 照らす。
彼女の 早弾きは 観客を 非常に 驚かせた。
ドラゴンの ぬいぐるみの 口から 真っ赤な 炎が
ものすごい 勢いで 吐き出された。
はい、よくできました。じゃあさ、この文の主語と述語を2秒で言ってみて。はい。
僕が 買ってもらった 誕生日の プレゼントは 大きな 戦車の プラモデルです。
はいどうぞ!
え、えっと、主語は「僕が」
ブブブブー!
うわ、びっくりした!
やっちゃったね、孝くん。「僕が」が主語なら、述語はなあに?
えっと、「プラモデルです」かな。
えー!じゃ主語と述語つなげてみてよ。
「僕が プラモデルです」
あはは!孝くん、プラモデルなんだ!おもしろーい!
あ、なんだそれ!僕プラモデルじゃないよ!ユリカ先生、ふざけないでよ!
あはは、ゴメンネ。まあ、わざと考える時間をあげなかったから、っていうのもあるんだろうけど。じゃ本当の主語はなーんだ?
そうか、「プレゼントは」じゃん!
そのとおり。「が」がついているからって、すぐに主語だと思ったら間違いのもとだよ。文全体の主語を見つけるには、まずは述語から見つけるようにしようね。じゃ今までのものをふまえて、やや難し目で、少し長めの文から主語・述語を見つけてみよう。必ず先に述語を考えてね!
彼女が目を閉じて弾いているフレーズは、まるで天使の歌声のようだ。
長い長い1学期のあとで、今日から楽しい夏休みがいよいよ始まる。
何人も候補がいる中で、彼こそこのクラスのリーダーにふさわしい人間だ。
じゃ、答え合わせね。青が主語、赤が述語だよ。
彼女が目を閉じて弾いているフレーズは、まるで天使の歌声のようだ。
長い長い1学期のあとで、今日から楽しい夏休みがいよいよ始まる。
何人も候補がいる中で、彼こそこのクラスのリーダーにふさわしい人間だ。
やった!できたよ。「こそ」がついている方が述語に対応しているってちゃんとわかったよ!
素晴らしいよ!よくできました。じゃ、もう一点、主語と述語について注意しておくね。それは「倒置」には気を付けようってこと。
倒置ってなに?
うん、それはね、言葉の順序を入れ替えて、入れ替えた語を強調する技法なの。たとえばこの文ね。
ユリカはすぐに泣く。
これを倒置すると
すぐに泣く、ユリカは。
ってなって、述語が前に来ることによって「すぐ泣く」ことが強調されたでしょ。主語はもちろん「ユリカは」で、述語は「泣く」だよ。
ふーん、ユリカ先生ってすぐ泣くんだ。
う、ううん、昔は確かにすぐ泣いたけど、最近は結構我慢強いんだから!でもこの間テレビでたまたまやってた「ドラえもん のび太と鉄人兵団」の最後の場面だけ見て号泣しちゃった。
そこだけ見て泣くなんて、逆にすごいね。
だってロボットの女の子がかわいそうだったから・・・。そのロボットの名前も知らないんだけどね。あ、ヤバイ、思い出したらまた泣いちゃう!最後に倒置文を練習して終わるよ!
とても暑い季節だ、夏は。
かわいそうだ、彼女はあんなふうに噂をされてしまって。
だれなの、あそこにあるギターを置いた人は。
じゃ解答!青が主語、赤が述語だよ。
とても暑い季節だ、夏は。
かわいそうだ、彼女はあんなふうに噂をされてしまって。
だれなの、あそこにあるギターを置いた人は。
どう?できた?とにかく基本は述語から!次回は修飾語だよ。