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「エスケイプ・フロム・トゥモロー」今頃観た

  以前から気になっていたこちらを先日プライムビデオで400円払って観ました。

 

 四本指バージョンもあるのだけれど、さすがにそれはまずいだろ

 

 なぜこのような映画に興味を持ったかというと、ディズニーランドに行って思ったことがあったからです。暇な人はこちらの日記で適当に見てください。

 スモールワールドがちょっと怖いという話 

 

          こちらいくつかある予告編の一つ

 

          このオヤジはもっと怖くなると思ったんだけどな

    www.youtube.com

 HPからの引用

いろいろダメダメな平均的中年アメリカ人のジムは二児のパパ。この途方もない未来からの脱出ゲームは、ある朝ジムが突然会社をクビになったときから始まっていた。なにかにつけて口うるさい妻と、言うことを聞かない子供たちを連れて、魔法の城や妖精たち、ホワイト・プリンセスの待つあのステキなテーマパークへやってきたジム。夢と魔法の国での現実逃避を企てるジムがそこで目にするものは、黒いプリンセスが仕掛けるゆがんだ幻想ワールド。楽しいはずの家族旅行はたちまちにして、妄想と奇妙な出来事に溢れたシュールな悪夢へと変貌する…。夢が必ず叶うこの場所は、ジムの偉大なる妄想までをも叶えてしまうのだが…

 

 

 紹介文に書いてあった内容と予告編とを合わせると、主人公の中年男ジムはディズニーワールドで黒いプリンセスの仕掛けた罠に陥り、ディズニーにまつわる様々な悪夢を見せられた上で脱出(=エスケイプ)するのだろう、と僕は予想していました。全然違った!

 まあ予想どおりに話が進むわけはないが、それにしても思った以上にとっちらかっていた。特に黒いプリンセスうんぬんのくだりは、ないにも等しい!

 

 

 ネタバレありますよ!

 

 冒頭ビッグサンダーマウンテンに乗った客の主観での映像に音楽が流れ、俳優や監督のテロップが出る。よくある映画のオープニングだ。ところが音楽が終わる寸前に前方に乗っていた客の首がトンネルの上部に当たってちぎれて飛ぶ、ズバッ!

 このあたり、ジェットコースターの恐怖をうまく描いている。いわゆるディズニーランドでの「都市伝説」を踏まえているらしい。他にも七面鳥の肉は実はエミューだ、などの小ネタも仕込まれている。

 

 休暇を使ってディズニーワールドに妻と息子のエリオット、娘のサラを連れて家族で宿泊していたジムは、朝ホテルにかかってきた電話で仕事の解雇を突然言い渡される。妻に「何の電話?」と聞かれるが彼はせっかくの休暇であるからむにゃむにゃとごまかす。

 途方にくれるジムだが、今日は楽しい休暇なのだから、ディズニーの地に来ているのだからその間だけでも現実を忘れようと、また家族に心配をかけまいといつもどおりに振舞う。

 皆でシャトルに乗ってランドへ向かう途中、ジムは同じ車両で出会ったフランス人の若い女性二人組に目を奪われる。以降、この二人の女の子が彼の行く先々へ現れる。というより、ジムが彼女たちのあとを尾けるのであるが。

 開演と同時に大勢の人々がランドへとなだれ込む。彼はいくつかのアトラクションに乗るのだが(全て無許可撮影なんだって)、イッツアスモールワールドで奇妙な幻覚をみる。人形たちが牙を向き、悪意のある表情を見せる!

 このあたり、僕が以前から思っていたスモールワールドに対する思いと一致してこれはひょっとして面白くなるぞ、と思ったのだが・・・。

 

   

 

 劇中、随所にジムが想像するセクシャルなイメージが織り交ぜられ、中年の妄想が膨らむ。とにかく登場する女性を見るごとに何らかの妄想をするのだ。以降、彼の妄想と現実が入り混じりその区別がつかないストーリーへと変貌していく。

 この現実か妄想か区別がつかないパターンの映画ってよほどうまく作らないと観客は混乱するだけだ。この作品、思わせぶりなシーンやアイコンを登場させるのはいいがそれを伏線としてうまく回収ができてない・・・。しかも登場するキャラをうまく生かせずなんだか中途半端な印象。クローネンバーグの映画なら何でもありなんだけどなあ。

 不吉な印象を与える車椅子の太った男なんか、なかなか気持ち悪くていいのだけれど結局メインのストーリーにも絡んでこない。予告編にあるゴルフボールのような大きな建築物の下でのシーンもあまりに唐突すぎて、しかもその説明は一切ない。まあ、そういった解釈を観客に委ねるつもりなのかもしれないけれども(非常にわかりやすい性的なメタファーはある)それにしてももう少しうまくまとめられなかったのかな。

 

 黒いプリンセス、と書いてある割には実はただの金持ちのオバさんで不思議な力を使ったり、ジムを幻覚に誘うわけでもなし。デビッド・リンチの映画の人々のような怖さもない。

 最後にジムはフランス人の女の子に大量の唾を吐きかけられ、「任務完了」と言い残した彼女を呆然と見つめる。そしてその後ホテルに戻ったジムはひどい下痢と吐血により死亡!「猫インフルエンザ」にかかったんだと。なにそれ。

 確かに序盤に猫インフルエンザというフレーズは出てきたけど、まさかこんな形で伏線回収?彼の死体は綺麗に片付けられ、ディズニーのチカラで何事もなかったように部屋は元通り。すると画面はイケイケのジムが別の素晴らしいワイフや子供達と再びホテルに向かうシーンに変わる。そうしてフランス人の女の子二人が妖精となって登場し、ジ・エンド。

 

 これ面白いのか?評価は賛否両論。

 子連れの立場からするとツリーハウスで娘を見失ったり、最後には園内ではぐれたり、という場面はリアルに怖い。僕も実際娘をツリーハウスで見失いそうになってビビったからね。このあたりは非常によく考えられているけれども、その後唐突にコスプレした男女に股間に電流を流されて気絶するシーンは意味不明。

 様々なサイトで考証されているのでそれを見るのもいいけど、見たところで印象は変わらない・・・。

 

 このアイディアと素材を使ってティム・バートンに撮らせればものすごい傑作なったんじゃないか?是非!とオススメする映画ではありませんでした。「イコライザー」とか見たほうが面白いと思います。

 

 ここへ来てまたPVが伸びてます。9000PV目前。10000行くと何かあるかな?

kakuyomu.jp