この「ヘビーメタルと文芸少女の文法講座」は、このブログの管理人である僕「なるかみ音海」が書いた『ヘビーメタルと文芸少女』という素人小説の主人公である「大石ユリカ」というキャラクターが、僕のものしたもう一つの作品『土管の向こうの街』に出てくる「山内孝之」に文法を教えるという茶番を通じて、言葉の仕組みを語ろうという試みです。 文法が苦手な小学生や中学生、高校生、そして大人たち、集まれ!
登場人物紹介
大石ユリカ
高校2年生のヘビーメタル好きの文芸少女。小学2年生ら父親の影響でメタリカを聴き始め、同時に始めたギターの腕前はプロ級。
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山内孝之
小学6年生。中学受験を控え、勉強をしている。文法は苦手。ユリカに家庭教師をしてもらっている。
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修飾語のかかる相手はどこ?
前回は主語・述語をやったけど、
今日は修飾語について勉強しよう。修飾語っていうのはね、あとに出てくる語(文節)にかかって、意味を詳しくする文節のことだよ。
かかってって?
うん、かかるっていうのを別の言い方で表せば、直接つながるってことかな。例えば
わたしは メガデスを 聴く。
っていう文があったとして、主語は「わたしは」で述語は「聴く」だっていうのはわかるよね。
うん。それはいいけど、メガデスって何?
えー!メガデスを知らないの!
普通、知らないよ。
しょうがないなあ。こういうバンドだよ。
今日もなんだかスゴイのぶち込んできたな。
そんなことないよ。これ、もう30年くらい前の曲なんだよ。私たちが生まれる前からこういうことやってるんだよね。途中の全く別の曲になる展開がわたし大好き。ヴォーカル・ギターのデイヴ・ムスティンのソロも個性的でいいよね!この人、もともとメタリカにいたんだけど、大酒飲みでクビになっちゃったの。その代わりにカークが入ったって訳。
またどうでもいい知識が増えてしまった・・・。ねえ、ユリカ先生、修飾語の話はどうしちゃったのさ?
あっ、ごめんごめん。メタルと本の話になると、わたし夢中になっちゃうんだ。
もう一度さっきの文を見てみようか。
わたしは メガデスを 聴く。
主語は「わたしは」で述語は「聴く」だったよね。それでー、残りの「メガデスを」の部分が「聴く」を詳しく説明してるでしょ。つまり、「何を」とか「どんなだ」みたいなことをあらわす部分が修飾語なの。文の中の役割で見るとこういうことね。
主語 修飾語 述語
わたしは メガデスを 聴く。
わかりました。
これは一番簡単なヤツだから、もう少し修飾語の数を増やしてみようか。修飾語全てに線を引いてね。
A フレーズが 難しくて 速く 弾けない。
B わたしは きのう 激しく 頭を 振りすぎた。
簡単だよ。
A フレーズが 難しくて 速く 弾けない。
B わたしは きのう 激しく 頭を 振りすぎた。
よくできました。確かに孝くんが言ったとおり、簡単すぎるね。
一応解説しておくと、Aの文の修飾語「難しくて」「速く」は両方「弾けない」にかかるし、Bの「きのう」「激しく」「振りすぎた」も全部「振りすぎた」にかかっていくよ。修飾語が増えると、かかる相手を間違えやすいから気を付けよう。例えば、こういうのはどうかな。
派手に 今日の ライヴは みんなで 盛り上がった。
の「派手に」はどの言葉を修飾する?
うーん、「みんなで」かな?
ブブブブブ!
わ、またびっくりさせられた!
日本語ってかなり自由度の高い構造だから、かかる相手は結構後に来ることがあるの。
じゃ、この「派手に」がどこにかかるかを確かめる方法は何かというと、ただ単純に後ろに下げてけばいいだけ。たとえばこうは言えるよね。
今日の ライヴは 派手に みんなで 盛り上がった。
うん。
ということは、まだかかる相手が後ろにあるっていうことなの。でももっと下げられるでしょ。こういうふうに。
今日の ライヴは みんなで 派手に 盛り上がった。
あ、ホントだ。
とにかく、「どこにかかりますか」という問題が出たときは、後ろに下げてみて、意味が通じなくなったらその先には相手はいないってことを頭に入れておいてね。じゃ、練習してみようよ。傍線の赤の修飾語はどこにかかるかな?
ざあざあと 雨が 激しく 降る。
ライヴ会場で デフトーンズの カッコイイ Tシャツが 売られていた。
まぶしい 強烈な 白い 光が 彼女の 目の 前に 現れた。
後ろにずらして意味が通じる相手がかかる相手だね。こうでしょ。念の為に修飾語を入れ替えて答えるよ。かかる相手を青で表すね。
雨が 激しく ざあざあと 降る。
デフトーンズの カッコイイ Tシャツが ライヴ会場で 売られていた。
強烈な 白い まぶしい 光が 彼女の 目の 前に 現れた。
はい、よくできました。修飾語についてはもう少し勉強してから次に行こう。じゃ今日は変わった人たちを紹介してお別れします。通称「森メタル」で有名なコルピクラニよ。日本で何故か人気があるの。
いろんな人が世の中にはいるなあ。