二十代の頃、悪魔学に少々興味があった。
別に本気で信じてサバトを開いたり、魔法陣を描いたりするわけじゃないですよ。きっかけは澁澤龍彦氏の『黒魔術の手帖』だった。
黒魔術の手帖 (河出文庫 し 1-5 澁澤龍彦コレクション)
- 作者: 澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1983/12/01
- メディア: 文庫
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澁澤氏との出会いはこの本が最初だ。そうしてこの後僕の人生が少し左右されるくらい影響を受けた。今でも敬愛しています。
澁澤龍彦展にこの間行った話
この本を読んで以来、人間の尽きせぬ想像力というものに興味を惹かれたのだ。よくこんなにも様々な世界を人は描けるのだなあと。そうして澁澤氏の著作以外にも神田の古本屋街で悪魔関係の書籍を見つけるとお金もないのに、モノによっては数千円を出して何冊も買い集めた。その一部がこちら。悪魔学だけではなく、なかなか物騒なものもありますけど。
僕は理性的な人間ですよ!!純粋にアカデミックな興味で集めた。実はそんなに読み込んではいない。
『死刑全書』なんて子供が嫌がって本棚に裏っ返して収めてある。まあ、まともな神経なら見るものではないですね。実際そんなに見てない。若気の至り。とにかく、かくも人間というものは恐ろしい一面があるのだなということです。ちなみにどれも一冊2000円以上はしていた。よく買ったな。
その中で特に高額の書籍がまずこちらのその名も『魔法 その歴史と正体』だ。
裏表紙に載っていた定価。5150円って。まだ消費税5%。高い!
とはいえ実際あんまり分厚くて全部読む気にならない。持っているだけで当時は満足していた。ぱらぱらと拾い読みをする程度。でも時おり挿入される図版は興味深く、様々な悪魔の絵が紹介されている。
そ
ベヘモス(デスメタルバンドにベヒモスというのがいる)マルコギアス、ビュエル、等、聞いたことがある名前からベルゼブブとか色々ヘンな名前までついており、更には役割や性格設定などもされている。人間の想像力、すごい。
さて、その中でかなり間抜けな図版があります。悪魔とは関係なく、観相学について書かれた章で、額に現れた印によってその人間の運命がわかるというものです。
図版をそのまま載せると宜しくないだろうから、僕が模写したもので解説しますね。
まずはこちら。
戦いに成功する男子の額 虚弱な男子の額
だいぶ未来が限定されている観相学だ。そもそもこんな額のヤツいる?でも、これなんかまだ普通です。あとに載っているのはもっとマニアックな運命。では次どうぞ。
喧嘩好きで人殺しの男子の額 温和で成功する男子の額
なにそれ。ていうかほぼ一緒じゃん。三本線が下にあるか上にあるかで随分と評価が違うじゃないかい。ていうか、こんな書いたような額のヤツいる?いる?
でもですね、そんな常識は通用しないのですよ。次。
惨死の運命にある男子の額 聖職を予言する高貴な男子の額
「惨死の運命」って。嫌すぎるでしょ。あと聖職の額って上の二つとどう区別するの?僕の絵が下手なのではなくて、本当にこういう図なのです!当時の人間は本当に信じていたのか?そもそもこんな額のヤツいる?次で最後。
頭部を傷つけられる運命の男子の額 変死する男子の額
描いたの?ねえ、これもう描いたでしょ。「頭部を傷つけられる」って、そもそもがもう傷ついてるし。こんな額のヤツがいたらゲラゲラ笑う。
でも今の感覚ならばそう思うかもしれないけれど、中世の人間はこの図を見て戦慄していたかもしれないよね。
久々にパラパラとこの本を読んでみると、中世の魔女狩りとか、結構恐ろしい事柄が詳しく記されていた。特殊な能力を持つ人間が迫害されるというそのテーマって、つい先日鑑賞した『パランノーマン ブライス=ホロー』で描かれていたのと全く同じだった。
「KUBO クボ」を見たあと、やっと観られた。面白い!
この映画の書籍もフィギュアも全然売ってない。
ちなみにこんなに絵を描きました。何やってるんだろうね。
少し表記が変わった?