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パシフィック・リム アップライジング 観ました エヴァですか?

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大好きなパシフィック・リムの続編がついに公開されたので行ってきました。

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 主演は前作のチャーリー・ハナムに変わってジョン・ボイエガスターウォーズのどことなく頼りないフィン役と比べて、「アタック・ザ・ブロック」の頃のようなワルっぽい雰囲気での登場。

 まあ、見てて思ったのは脚本が穴だらけじゃないですか・・・ということですね。

 

    注意!ここからネタバレしますよ!

 

 

 第一作の「パシフィック・リム」では菊地凛子演じるマコチャーリー・ハナム(この人、キング・アーサーの時もそうだったけど、まさに華無)演じるローリーが、司令官スタッカーの犠牲により「プリカーサー」と呼ばれる異次元を介して怪獣(劇中ではカイジュウだっけ)を「裂け目」から送り込んでくる異世界住人を殲滅した。

 

 しかし人類は「インディペンデンス・デイ・リサージェンス」のように、カイジュウの再来襲に備えてイェーガーと呼ばれる巨大ロボットを世界各地に配備していた。

 そんな中、スタッカーの息子であるジェイク(ボイエガ)は違法パーツなどを集めて闇で売りさばくという捨鉢な生活をしていた。

 

 まずスタッカーに息子がいたという後付けがヒドイ。前作でそんなこと一ミリも示唆されていなかった。スタッカー最後の出撃の時に、マコには挨拶するのになぜ息子には一言も声をかけない?まあそれはいいとしよう。

 

 ジェイクは廃棄イェーガー倉庫へ忍び込み、それがきっかけでイェーガーを自作していたアマーラという少女と出会う。

 アマーラはなんと「スクラッパー」という初期アイアンマンみたいなイェーガーを完成させていたのだけど、どうやってあの歳で?教育もなくどうやってあんなものを?資金は?

 この作品ってキャラクターの背景について「どうやって?なんで?」と思うことが多すぎる。僕普段あんまりそういうの気にしない方なんだけど、この映画に関しては???が多すぎた。マサチューセッツ工科大学を出たってあんなもの作れないでしょ。しかもあとで自分よりも体格が大きい女の子と喧嘩してあっという間に押さえつけて「ストリートで学んだ」とか言ってたけど説得力ゼロ!

 SFだからって、ファンタジーだからって、そのへんはもう少し説得力を持たせてもらいたい。少なくとも前作にはそれがあった。しかし今回はギレルモ・デル・トロが監督をしていないから致し方ないのだろうか。「シェイプ・オブ・ウォーター」で忙しかった?それにしても、もうちょっと脚本いじってよ!

 

 違法イェーガーに乗っていたということでジェイクとアマーラは逮捕されるがマコ(菊地凛子再登場!)の計らいでジェイクは訓練教官、アマーラはイェーガーパイロットの候補生になるならという条件で釈放される。

 イェーガーはすでに第六世代となって装備や性能も向上し、前作で大活躍したイェーガー、ジプシー・デンジャーも新たに建造されていた。

 それにしてもマコは出てくるのに、相棒であり、功労者であったローリーは登場せず!まあいなくても話は進むだろうけど、どうなったかくらいの説明は欲しいよね。

 そして時代はいよいよ無人イェーガーの時代に突入しようとしていた。

 

 中国のシャオ産業という会社が無人イェーガー計画を立て、まさにそれが実用化寸前なのだ。映画の世界も、未来の世界も中国資本が進出。このシャオ産業の社長役が近年ハリウッド大作の中国系女優ならこの人というジン・ティエン

 有能な若き女社長で、なんとなくいけ好かないキャラクターという感じのシャオ社長だが、なんか無理がある・・・。何故こんな若い女性が社長に?そしてここで登場するのが前作でカイジュウ退治に理論面で大貢献した怪獣オタク博士のニュートンチャーリー・デイ)だった。怪獣と脳をドリフト(機械を介して精神交換を行い敵の弱点を探った)させた彼は今やシャオ産業の重役となって無人イェーガー建造の要役となっていたのだ。そして彼はなんと現在も自宅に「アリス」と名付けたカイジュウの脳の一部を保管し、それと精神交換を行っている。

 

 で、オーストラアリアのシドニー無人機の承認会議が行われるのだけれど、突如そこに所属不明のイェーガーが現れ、大暴れする。警護に来ていたジプシー・デンジャーがそいつと対決!派手な戦闘の末、なんとマコが乗るヘリコプターが墜落、マコ死亡!この映画の前半のウリはカイジュウ対決ではなく、イェーガー同士の戦闘場面だろう。結局違法イェーガーには逃げられ、無人機の承認には反対票を投じるつもりのマコが死亡したため無人イェーガー計画は実行に移される。

 続編の宿命とは言え、マコを殺すのはあんまりじゃないか!「エイリアン3」冒頭でヒックス伍長とニュートがあっさり死んでいたぐらいヒドイ。

 

 さて、ここで大量に登場する無人イェーガーの絵を観て僕は思った。

「これは・・・エヴァンゲリオンだ!」

 まんま量産型エヴァのシチュエーションなのだ。ジャパニメーションがハリウッド映画に与えた影響を僕はここで目の当たりにした。確かテレビシリーズの初期の話で自衛隊が開発した無人ロボットが暴走してエヴァ計画が推進されるという話があったけどプロット同じではないか。

 さて、その後もマコが最後に送信したデータからたどり着いた廃工場で(そもそも何故マコがそれに思い当たったのか?意味わからん)再び正体不明のイェーガーと対決するジプシー。ようやく倒した相手の操縦席にはなんとカイジュウの細胞が!これも非常にエヴァンゲリオン的だ。有機体と機械の融合って。ダミープラグですか?

 それにしても、正体不明のイェーガーとはいえ、あんなものを作れる機関や会社って限られてるでしょ!解体の結果どうやらそのイェーガー、シャオ産業のものだとわかる。しかもそれに気づいたのはアマーラ!整備士は全員無能ですか?

 そもそもシャオ社長、自分のところのイェーガーくらいすぐに判別できないのだろうか?

 

 そうして全世界に量産型イェーガーが配備されたとたん、一斉に暴走。怪獣の細胞が機械のカラダを乗っ取る。

「これは・・・エヴァンゲリオンだ!」

 再び思う僕。実は例の怪獣オタク博士ニュートンカイジュウとのドリフト中にプリカーサーに脳を乗っ取られ、操られていたんだって!だから敵役かと思っていたのシャオは実はそうではなく、ニュートンが悪の現況だとわかる。

 普通、こういうのって「ええ!そうだったんだ!」と驚きそうなものなんだけど、それが全くない。どうにも「ふーん」て感じ。まあ、一回閉じたはずの裂け目がまた開くというよりかはマシだろうか。

 そうそう、ニュートンの友人ハーマンが彼に話を聞きにシャオ産業を訪問し、二人がエレベーターで連行されるシーンはまんまブルース・ブラザースですな。ちゃんとBGMに「イパネマの娘」がかかっている。だからって、ここでそのオマージュいる?あと、ハーマンがやたらと強いんですけど。

 

 結局量産型エヴァの暴走で怪獣が3体召喚されてしまう。その3体が目指すのはなんと日本の富士山。富士山は活火山(???)でレアアースが豊富なのでそこにカイジュウの血を流すことで次々と環太平洋造山帯が活発化し、地球は死滅するんだってさ!

 結局残ったイェーガーを少年少女たちが(これもエヴァっぽい)操縦し、東京で決戦となる。つってもこの時代の東京はムチャクチャ発展していて、富士山の裾野まで大都会が広がっている。なんだこの世界観!

 あとはここでお腹いっぱいの破壊と戦闘の連続。それにしても、最早この手の映像は既視感しかない。トランスフォーマーの一場面と差し替えてもきっと区別がつかないだろう。三体のカイジュウと四体のイェーガーは暴れ放題、壊し放題。

 ここで操られているニュートンが登場し、タブレットを操作すると無数の小さなメカが出現しカイジュウに向かっていく、すわレギオンか?これがイェーガーに取り付いたらどうしようもないぞ!と思ったらさにあらず、三体の怪獣をくっつけるためのメカでした。どういう仕組みでつながったかはわからないけれど異常なデカさになったカイジュウはジプシー以外のイェーガーを全て破壊し、富士山の火口を目指す。

 

 万事休すとなったジプシー。そこへ突然現れるスクラッパー。なぜかシャオ社長がスクラッパーを遠隔操作で登場させたのだ。なんで都合よくこの場所に?

 とにかくスクラッパー(一人で一生懸命動かすシャオ社長がなんか間抜け)はジプシーの腕にロケットを溶接する。ジプシーを大気圏外まで持っていき、そのまま再突入の勢いでカイジュウに体当たりするという。

 予想通り火口の寸前でカイジュウは倒され、2人はスクラッパーに乗って脱出、ニュートンスコット・イーストウッドに殴られて拘束され、大団円。

 

 最後はボイエガの

「今度はこっちから行くからな!」

というセリフでジ・エンド。

 

 映像はすごいんだけどやっぱり前作のように常にワクワク・ドキドキに満ちた展開はほぼ無し。なんでだろう。やはりデル・トロがやらなきゃダメだったんだろうな。2時間俗世間のことを忘れるのにはいい映画です。

 

例のテーマ今日は最後に流れます

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