中之条ビエンナーレ2021の話の三回目。
足湯に浸かって足元がぽかぽか。
ビエンナーレチケットを買うと、地元の博物館もタダになるというので、つむじから歩いて1分の博物館へと赴く。「ミュゼ」というしゃれた名前が付けられたこの建物は昔の小学校を改築したものらしい。そして正面にはどでかい作品。卵か。
左奥にひっそりと佇む像は若山牧水。白鳥は悲しからずや
うまれた!
しょうもな。そうして何の博物館かもよくわからないまま入ると、入口にはいきなり忍者の道具が誇らしげに飾られている。どういうこと?
なんでも真田忍者との関りがあって云々・・・とのこと。小学生の時、学研漫画の「忍術・手品のひみつ」を愛読していた僕としては多少食指をそそられるが、今日はビエンナーレを見に来たので軽くスルー。だが二階へ進むと予想外のカオスな展示が広がっていた!
急に猪
かめ、でか!
昔からの郷土博物館がコレクションしていたのだろうか、色々なものが所狭しと展示してあり、余りの情報量にこちらが困惑してしまう。ここ、ビエンナーレとは別の機会にくるところでしょ。この建物単体でゆっくり見たら二時間近くかかるんじゃないか。本来の目的とは違うので、ざっと見るにとどめるが、それでも小一時間はかかっただろうか。
やたらとはく製が充実している
中之条の古代から中世、近世、近代のすべてが網羅されている
そういえば、ここに来る道すがら、「日本のポンペイ」という看板があり、娘が
「ポンペイって何」
と聞いてきた。記憶の底からポンペイを呼び出す僕。
「確か古代ローマ時代にベスビオス火山つう山が噴火して、そのふもとにあるポンペイって町が溶岩に飲み込まれたんだよ。そんでこの辺は昔浅間山が大爆発してやっぱり同じようなことがあって、それで日本のポンペイにしたんじゃない。」
「へーなんかやだね」
「あとポンペイっていう映画は観たよ。あーあと確か有名な博物学者がそこで風呂に入って最期の時を待ったはずなんだけど、名前が思い浮かばないよ。あー誰だったけな!」
スマホを持たない僕はググることもできず、帰宅して風呂に入っているときに
「プリニウスだ!ユーレカ!」
と叫びました。
ようやく博物館から次の会場へと向かう。結構な勾配の坂道を車でえっちら上り、着いたところは四年前にも来た、廃校を利用したイサマムラと呼ばれる建物。
入口には木造カマキリが「おう ちかよるな おれは げんきだぜ」と工藤直子の「のはらうた」バリに威嚇。
するどい かまも どきどきするほど ひかってるぜ
さて、下の写真、一見颯爽と歩いている僕ですが、実は喉カラカラ。この建物って自販機一つないので、水筒持参かコンビニでペットボトル等を買っておいた方が良いです。
ちなみに入り口前には有機コーヒー的な売店がありますが、コップ一杯400円
図書館だった部屋には「いらないもの」が大量に集められ、部屋ごと作品のような空間を形成している。
こちらはまるで筒井康隆原作の映画「パプリカ」にでてくる悪夢の中の行進にでてきそうな、大量の雛人形であふれた船。
廊下にはインタラクティブなアートが展開されている。中之条の人々に書いてもらった様々なリレー形式の文言が飾られている。
「ひみつだからね!」って何が?
このようなタイプに色々なことが好き勝手に書いてある中には、ごくまれに吹き出してしまうものがある。
「今日は友達の頭にサッカーボールがあたったのでうれしかったです」
まあ、これだけでもちょっと面白いんだけど、そのあとの
「友達は犬みたいにほえてないた」
が妙に詩的で気に入りました。
各部屋には様々なインスタレーション作品があり、訪れる人は皆楽しそう。
作品の一部となったポンコツおじさん
沢山の作品を堪能した後、外に出て公民館として使われている建物へ行くが、作品はこの布だけ。さて、僕はこの作品を見てある有名なロックバンドのジャケットを思い出し、そのポーズをとっています。なーんだ?
正解:レイジアゲインストザマシーンの「バトルオブロスアンジェルス」でした。
学校を出て、道路を挟んだ小屋に展開されていた作品は、暗室の中で不気味な音や輝きを放っているマシン。
最初は意図がよくわからなかったが、球体のガラス部分をよく見ると中には大量の埃がたまっていた。どうやら静電気を発生させ、球体の中にホコリを集めているらしい。なんで?作品名は「ホコリ・コンピューティング」だった。
しかしそれよりも謎だったのは、室内にある戸棚に何故か大量のトロフィーが飾られていたこと。
これ、作品じゃないよね。さらには娘が別の発見を。
「おとうさん!このふすまの取っ手の穴見て!中にまた大量のトロフィーがあるよ!」
何なに?どういうこと?とりあえずのぞいてみると・・・
ホントだ段ボールに無造作につっこまれてる!
野球大会やらのトロフィーぽかったのだが、行き場がなく、ここに集められたのだろうか。せっかく獲得されたトロフィーも最早無用の長物。いったい誰が、どんな努力をしてこれらの栄冠を手に入れたのだろうか。
明日へ続きます
今日はかなり長めの記事でした