さて、昨日の金田一シリーズから始まって昔の日本映画を掘り起こす旅に出たのであります。そうして見たのが『砂の器』。
制作は八つ墓村のスタッフだそうですね。加藤剛氏は昔のハンサム!って印象
恥ずかしながら僕はこの作品を見たことがなかったが、とてつもない傑作だった。アマゾンプライムに入っていなければ一生見ることがなかっただろう。推理ものとしても傑作だし、社会問題を取り扱った作品としても一級品だった。島田陽子があまりに哀れだったが。
思うに、アマゾンプライムで僕みたいにこういう名作を温故知新的に見た人はたくさんいるんだろうな。
もっと面白い昔の日本映画を!と次に見たのが『空海』。
古い作品なので随所に粗が見える部分もあり、また文部省推薦の割に子供に見せるには憚られるような場面がいくつか・・・。
特に前半の富士山が爆発して避難した洞窟で、空海が曼荼羅図を目撃するくだりは異様だ。まるでアングラ演劇を見ているよう。
しかしその後中国にロケに行ったり、思わぬところで有名俳優がバンバン出てくるのでこれが70年代日本映画の黄金期の作品なのだなあと妙な感慨を持ったのであります。平安時代の風俗をよく再現しているし、空海の一生がよくわかります。四国で治水工事を進めるために、不眠不休で護摩を炊き続ける弘法大師の姿に感銘を受けてお遍路に旅立った人もいるのではないか?
そして次に見たのは『柳生一族の陰謀』。
これはたしか小学生くらいの時かな、かなり流行っていた記憶がある。とはいえ観たことはなかった。レヴューを見ると傑作の誉れが高いので早速鑑賞したところトンデモない映画だった。
ストーリーの中心は徳川秀忠公の子息、家光と忠長をめぐるお家騒動なのだが、大河ドラマのような重厚な展開かと思いきや、まず萬屋錦之介の時代錯誤的で歌舞伎のような大仰な台詞回しに圧倒される。萬屋扮する柳生但馬守宗矩率いる柳生一族は武芸に秀でており、その息子である十兵衛(ソニー千葉!)は隠密もこなす。それゆえ派手なアクションや権謀術数が入り乱れ、ごった煮映画の様相を呈する。
かなり若い真田広之や志穂美悦子が登場し、その他の俳優陣も絢爛豪華。最初のテロップで登場する有名な俳優の名前がすごい。
成田三樹夫扮する何故か異様に強い公家の烏丸少将や、大原麗子の出雲阿国などサーヴィスたっぷりのキャラも立っている。しかしなぜ忠長公と出雲阿国がデキてる?まあそういう歴史的考証など無視した深作イズムはクライマックスの丹波哲郎扮する玄信斎と萬屋の荒野での対決で頂点を迎える。
終生のライバルである二人は何故か大きな地蔵が何体もが佇む荒野で対峙する。ものすごい気迫がぶつかり合い、ついに玄信斎の刃が閃く。その白刃は萬屋を一刀両断したかに見えたが(本当に真っ二つになり、血しぶきも上がる)直後、実はそれは石仏で玄信斎は返り討ちに合い、あえなく退場。
僕は失笑し、
「なんじゃそりゃ!んなわけねえ!」
と思わず見ながら、ひとり画面に向かって言ってしまった。
そうして屈指の名場面であるラスト。これから観る方のために詳しくは書きませんが、とにかく萬屋の
「こーれーは夢じゃ!夢じゃ夢じゃ!」
のセリフが頭から離れないほどの大インパクト!とにかくびっくりした!こんな終わり方ってある?!これ何も知らないで劇場に行ったらかなりドキドキしたんじゃないかな!
それにしてもここまで何本か見て思ったのは「昔の日本映画、どの作品にも丹波哲郎出てる説」でした。
僕の小説もよろしくや錦之助