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僕のカルチャーセレクトショップ

大宮公園小動物園なう

 大宮公園をそぞろ歩く僕です。

                 池、鳥。のんびり

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 この公園は歴史があるからか、このように風情ある売店が今でも現役で稼動していました。でも一人なので入る勇気ない。

  この時期でも「氷」。なんだか日常系アニメに出てきそう。日常系アニメをよく知らないけれど

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 ふとこのような看板に巡りあう。大宮公園小動物園だって。一期一会、きっともう来る機会も無いので行くしかねえ!

          熊とか、ハイエナ?入園無料だって!太っ腹

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    路を進むと、なにやらいい予感しかしない建造物が見えてくる。

            あれが動物園?ひょっとして遊園地も併設?

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 遊園地ではなかったけれど、唐突に現れる飛行遊具。うわあ、乗るしかないでしょ!大人一人という恥を忍んでも。

                  わくわくするね

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 動いている様子は無いが、きっと客のリクエストで動かすシステムとみた。孫を連れたおじいさんとその母親くらいしか人影がない。乗るチャンス!僕のためだけに動かしてくれるだろうか?

          スポーツの要素まったくなし。早く乗りたいよ!

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         なんだよもー!

                 本日休止

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 ウィークデイの客の量と、人件費その他もろもろの経費を比較した結果なのだろう。じゃ仕方がない、これでも乗るか。

            サトちゃんのライドってたまに見かけるよね

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           なんだよもー!

                   大人不可

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 大人になっても乗れるこういうライドをいつか見つけたい。きっと乗ってもつまらないだろうけれど。気を取り直して小動物園に向かうよ。

           平日の昼間から酒を飲む気分といっしょ

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 ツイッターでもやっているのかと思いきや、特にそういうわけでもないらしい。

              大宮公園小動物園なう!

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 まあ色々小動物がいました。猿とか、ヤギとか、オウムとか。

         この猿はしきりに手のひらを気にしていた

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      カラスのお化けみたいな絵がいいね。とんびでなくても食い物をさらうのだな

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 このような顔出し看板は誰もが通常絶対やるのだけれど、いかんせん一人なのでどうにもならない。セルフで撮ってもいいんだけれど、小さい子どもを連れた若い夫婦などがちらほらいて、とてもその傍らでタイマーをセッティングして撮るほどのリスクは冒せない。

               手作り感がすごい

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 この看板の対面はハイエナとツキノワグマの檻でした。

               ハイエナって結構でけえ

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 ツキノワグマ、でかい。こんなんに山で出会ったらどうすりゃいいのさ。死んだフリは無効だっていうしね。そういえば昔何かの本で、とにかく熊に向かって話しかける、みたいなことが書いてあった気もするけれど真偽は不明。

              首のわっかがあんまりわかりませんが     

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          こんなのあったら絶対開けるっしょ。

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         そうして期待を上回らないことに納得する。

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 これらの看板はいつ描かれたのだろうか。描いた人、まだ働いているのだろうか。そんなどうでもいい思いがふとよぎりました。

                    熊の亡霊

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まだ続きはあるよ!また明日!

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大宮公園ひとり歩き

 日曜日の出勤が度重なるので、平日が休みになった。家でのんびりしていてもいいのだけれど、たまには書を捨て街へ出ようと思い、さてどうしようかなと考えた結果、平日の博物館に久しぶりに出かけることにしたよ。

 

 家からわりと近い距離にある大宮公園に、埼玉歴史と民俗の博物館というところがあって、そこで「子ども/おもちゃの博覧会」をやっているので行ってきました。

                 案の定、平日午前中ガラすき

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おもちゃ展は撮影禁止だったので写真はありませんが、色々楽しめました。詳しいことはこちらで。

www.saitama-rekimin.spec.ed.jp

 一番すごいと思ったのは、江戸時代のペーパークラフト。上のリンクに写真があるんだけど、「舌切り雀桃太郎一代記」というとんでもないハイブリッドなストーリーがジオラマになっていた。今売ってたら絶対買う。

 そのほかに常設展も充実してました。例えばこんなのとか。

            古代の魚とり。遠近法が少々おかしいのが味わい深い

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         遠くのボートが異常に小さいのだが、採った獲物は結構でかい

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いくつかのエリアは写真撮影OKだったんだけど、まあそれなり。下の階にはかなり広いスペースで石碑ゾーンが設けられている。

              この空間を独り占め(※一人で撮ってます)

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 やはり同行者がいないと写真も撮りづらいね。つっても人物(つうか僕だけど)の映り込みがないと写真としての面白みにも欠ける。だから今回は人目を忍んでのセルフタイマー自撮りレポートという、いささか恥ずかしいものとなっております。

 50を超えて、いったい休日に僕は何をしているのだろう。転職して五ヶ月目、その会社の同僚がこの間「僕は38になった」などと言っていたが、僕は彼よりも14も年上なのか!と密かにショックを受けました。僕38の時何していたろう・・・あ、長女が生まれたばかりの頃か、と今更ながらに時の流れを実感。そしてその14年間になんと様々なことが起きたことか。50年生きると色々あるんだねえ。

 

 妙なノスタルジーにひたっている場合か。

 しょうもないおっさんの一人休日を全世界に向けて発信しなければ。

 

 実際ここから、一段としょうもなくなりますよ。だって、素敵な場所があったんだもん。

              忽然とあわられたニセの昭和空間

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          この中途ハンパな感じがなんともいえないでしょ

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 なんというか、寄せ集めた感じが微妙な不調和を感じさせるのだ。こういうのって徹底的にやらないと不自然になるだけという例。お台場とか、江戸東京たてもの園みたいにしろとは言わないけれど、不完全燃焼。

 これ一応駄菓子屋を再現しようとしているのだけれど、タダのプレハブ。

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           中の展示もなんだか中途半端でさ。

                ベニヤの匂いが鼻をつく

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       僕にとっての昭和とはいったいなんだったのだろうと沈思黙考

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 ひとまずインチキ駄菓子屋の前で、脳内デスメタルに合わせ激しいヘッドバンギングを試みました。

          曲はカンニバルコープスの「アイウィルキルユー」

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      さあ、これを再生し、この写真の僕とシンクロしよう!

     

            

        

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    さて、ゲーしてひとまず落ち着いたので、井戸で口でもゆすぐかね。

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             なにそれ!なにそれ!

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    仕方がないので、展示してあるスバルに乗って帰ろうと思ったよ。

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    ただ残念ながらこのスバル、エンジンがついてない!帰れない!

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      じゃいい!もう飛んで帰る!

 

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着地後、足を強打

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何故僕は服を買う?

 服をね、沢山持っているんですよ僕。たとえばカーディガンなんか以下の記事で書いたように30枚近くあったりする。

 売ったり買ったり


他にも帽子、ジャケット、スーツ、セーター、デニムパンツ、時計といったたぐいのものを数だけは沢山持っているのです。いったいこんなに買ってどうするというのか。来月なんて日曜日五週連続出勤という地獄が待ち構えており、おしゃれをして出かけるチャンスなど無いというのに。しかしそれでも何故か買ってしまう。ある種の買い物依存症であることは間違いないだろう。しかし依存症としての自覚はあるので、無軌道に買わず、支払いの限界の範囲内で調整しながら買うのですよ。十数年昔なら一月数万円遣うこともあったけれど、現在の収支状況はそれを許さないので必然的にUSEDという選択肢しかない。そうして今日も届きました、ゾゾから。

               今バスキア展の箱でくるんだね

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 じゃ今回も僕の買ったUSED服を見てください。毒にも薬にもならない記事ですね。最初はお気に入りのブランド、ギルドプライムのセーター。

             状態はA。ほとんど着ていない美品

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 緑の鮮やかさと首と袖のトリムの色使いがすばらしい。胸にデカデカと「GUILD」とブランド名が入っているけれどどうせほとんど誰も知らないでしょ。「GAP」はちと遠慮したいが。これは2300円ですね。元値は17000円くらい?もう新品買うの馬鹿らしくなる。

 

 次はこれもZOZOのお気に入りブランドに登録しているサイコバニーのシャツ。

                 クレリックシャツ大好き

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胸にはサイコバニーの刺繍が。お笑いの「わらふじなるお」の人がサイコバニー着てたのを何かで見たな

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 サイコバニーって結構元値が張るんですよ。このシャツも18000円くらいで売ってるんだけどゾゾユーズドなら1800円だぜ!まあ、袖口がすこし汚れてたけどね・・・でもそんなの関係ねえ!どうせ誰も気付かないよ。欲を言えばこれLサイズで身幅はいいとして首周りが気持ち大きかったのだ少々残念。

 

 こちらはH&Mのセーターとシャツ。

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どちらも734円。安い!状態もAで問題なし。ただ、セーターは僕が手洗いして干しました。H&Mはファストファッションブランドなので元値が安く、結果ZOZOUSEDでは「安い」順に検索するとよく筆頭に来るのです。でも安い割りにデザインや品質はいいと思うな。この間日本撤退したFOREVER21とかZARAよりは僕は好きです。

 

 不況続きで服飾業界もなかなか大変なようで、この間は子供服のマザーウェイが倒産してゾゾで投げ売りをしてた。僕はハイエナのようにそのセールに飛びつき、娘のために300円台の服をいくつも買ったっけ。服がなかなか売れないからか、以前のようにゾゾユーズドの競争率も下がった気がするのですが気のせいでしょうか。世知辛いねえ。

 

 僕はここ数年はほぼ古着メインで服飾生活をすごしているので、実店舗にもたまに足を運ぶんだけど、地方の古着屋はセカンドストリートみたいなブランドものを取り扱っているところが最近はメインで営業しているよね。その一方でノーブランド古着をメインに取り扱っているキングファミリーみたいな店もある。

 この系列は僕の目指すところとすこし違うので滅多に行かないんだけれど、今日たまたま通りかかったので「そうだ、ネクタイ安いかも」と思いふらっと寄りました。

 

 セカンドストリートなどとは違い、雰囲気がどことなくドンキの匂いがするこの店、店員が全員どう見ても60代を超えたおばちゃんばかり。でも元気!そしてハロウィーンで全員変な帽子とかカチューシャとかしていて異様な雰囲気。しかも「おしゃれ」よりも「値段」を重視する客層中心のため独特の空気感が漂う。

 そういえば昔のブックオフも古着を取り扱う店舗はこの感じがあったんだけれど、最近はブランド物を取り扱うようになったからか、今はだいぶ洗練された感じがするんですよ。ありていに言えばものすごい場末感が充満しているのだ。今日は日曜日だからか、やたらと繁盛していて次から次へとダンボールに古着を詰めて売りに来たマイルドヤンキー家族の姿も見られる。この店ってブランド査定せずに1グラムいくらとかで買い取るんだよね。だから当然商品はそれなりのクオリティだが、その分値段が破格。

 このよどんだ空気の店でネクタイを探す僕、発見したのは一つのダンボール箱。そこには山盛りのネクタイが絡み合う蛇のようにぶち込まれており、なんとその箱の上にテキトウに書かれたポップには手書きでネクタイ100円という文字が躍っているではないか。やしい!さすがキングファミリーだぜ!しかし!それで喜んでいる僕はキングファミリーの真の実力を侮っていた。

 というのは実はですね、よく見たらなんと「3本100円!」だった!

 うお、これは掘り出し物を見つけるしかねえ!と果敢に段ボール箱のネクタイに挑む僕。しかしダンボールにぶち込まれた数百本のネクタイは絡み合ってもはや分離不可能な状態だ。そしてほとんどがゴミレベルの柄と品質!ちくしょう、ここから玉を見つけ出してやるぜ!僕はネクタイの塊を何度もひっくり返しては使用に耐えうるものを血眼になって探したよ。そうして「3本百円なら6本買っても200円だ、よし6本選ぶぞ」という無茶な決意を固めネクタイボールと格闘したのだが、どう考えてもデッドな柄、知らないブランド、意味不明の素材のものばかり。

 いったいこれらのネクタイを締めていた人はどんな人たちだったのだろう・・・そしてどんな仕事をしていたのだろう・・・きっとそれぞれのドラマが一本一本に込められているに違いないという、この場で感じる必要の無いセンチメンタルな思いにひたりながらもかろうじて6本を選びました。

 しかし、その6本の戦利品を並べて冷静に見ると急速に

「これ本当に俺締めるか?激安マジックにかかってはないか?」

という思いが沸き起こる。よく見りゃ何故かエジプトのヒエログリフが描かれた柄のものとか、ビサルノ(マルイのオリジナルブランド)のネクタイをベージュのヘンな柄にもかかわらず知っているブランドだからという理由だけで選んでいるではないか。

 そこで僕は結局3本に絞り込んで、100円で買いました。それがこちら。

              こちら一本が約33円です

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 家に帰って娘に「三本百円でネクタイ買ったよー!」と自慢し、今日の日曜日は終りました。

 

キングファミリーのHPの新着情報が閉店のお知らせで悲しい 

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僕はハードオフジャンクCDディガー

  財産がそれほど無いので知恵で生活を潤わせようと僕は色々なことを試していますが、最近はその活動の一環としてハードオフの活用を自己に奨励しているのです。先月あたりはネクタイを中心とした服飾関係に血道をあげていたのだけれど、今月はジャンクCDにターゲットをシフト!ハードオフのジャンクCDコーナー、なんと一律100円!

             下の三枚はジャンクではないですが

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 音楽がダウンロード販売主流となった今、僕は前時代的CD人間としてかたくなに、ディスクという物理的形態にこだわっているのだ、レコード世代の人がそこにこだわるように。ブックオフも安いものは280円からあるけれど、ハードオフなら100円!タマ数は多くはないけれど、意外な鉱脈が埋もれていることがあるのです。そういうお宝を探すとき、あたかもヘッセの「少年の日の思い出」の少年が感じた如く、あのなんともいえない、むさぼるようなうっとりとした感じに襲われるのです。安上がりだね、こんなことでアドレナリン分泌させてるんだからさ。
 さて少々しみったれた話になってしまいましたが、年を重ねてやや色あせた僕の熱情のほとばしりの結果をいつものように世界に向けて発信!

 

左からは大槻ケンヂが一時期やっていた「特撮」の「ヌイグルマー」。          

               値札をはがすの面倒

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「特撮」は筋肉少女帯に垣間見えたスラッシュメタル成分をさらにぐつぐつと煮詰めた挙句、三柴江戸蔵のピアノをスパイスとして加えたハードコアなサウンドを展開していた。歌詞は、相変わらずの大槻ワールドです。

            数年前にしょこたん主演で映画化!

    「ヌイグルマー」という架空のヒーローのコンセプトアルバムで、一曲目からエンジン全開のメタルサウンドで素晴らしいのだが、なんとこのCD途中から音飛びがひどい!盤面を見るとえらい傷ついているではないか!ジャンクCDつったってこんな状態のものは初めて。いや、盤面チェックは必要ですね。「特撮」バージョンの「マタンゴ」が最後に収録されていてそれすごく楽しみだったのに聴けず!しかたない、こういうこともあるよね。
              いやすごいね、かっこいいね

    

 

  左側はデュランデュランのライヴCD。僕を本格的に洋楽に目覚めさせたこのバンド、中学生の頃は毎日聴いて、歌詞を覚えたっけ。そして中坊の僕はいったい何を勘違いしたのだか、風呂で彼らの曲を大声で歌い(自然にリバーブがかかるので)、あまつさえそれを録音して自分で聴いて「俺歌結構うまいじゃん」などとうそぶいていた。結局そのテープはどこかへ行ってしまったのだが、逆に今、それものすごく聴きたい。

          結構年いってるけれどまだやってて往年の人気保ってる

    CDの内容自体はさほどの演奏技術をもたない(ジョン・テイラーのベースは別格)彼らのライヴが堪能できます。ただ僕は昔あんまり聴きすぎたのでさほどの感動もなく、しまいには飽きて途中でやめた。
 

        次はこちら、UKギターロック系。オアシスにトラヴィス

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 なんとオアシス発見。僕初期はよく聴いていたのだけれど、4枚目以降はほとんど知らない。そんで久しぶりに彼らのアルバムを聴いたら一曲目からのインストが強烈にクール!オアシス、つうかリアムこんな曲作るんだ!そうしてあとは怒涛の名曲の連続。やっぱりスーパーバンドは違うよね。いまさらこのアルバムを聴いてこんなこと言っているのもなんだけど、ジャンクCD一期一会!100円で買わなきゃ絶対このアルバムを知らずに一生を終えていたな。 トラヴィスのアルバムは抒情的なアコースティックサウンドが主体のバンドだった。もっと普通のUKギターロックを想像していたのだけれど思いのほか透明感のある曲群が日々ささくれている心に染みわたったよ。

 

             次は3枚まとめていきます。

                どんなとりあわせだ

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 左上「ニューイディアソサエティ」つうバンド。よくわからないけれど、「激情ハードコアのDNA云々」と帯に書かれていたのでその筋のサウンドを期待して買い。サウンドはDNAは多少感じられたものの、なんというかスカスカでキュアーのポルノグラフィーの頃の雰囲気を現代に持ち込んだという印象。ベースが8分音符でブンブン引っ張りピアノやら申し訳程度のディストーションギターが時折鳴り響く。悪くもないがよくもなく、このバンド人気でないだろうなという印象。

          この曲はメランコリックなギターフレーズがいいね

     

 右上、ジョニー大蔵大臣率いる「水中、それは苦しい」の昔のアルバム「顔にやさしく」。ジョニー大蔵大臣のアコースティックギターのカッティングテクニックはおそらく世界一!

      医者の卵の殻ことアナーキー吉田(dr)がずっとこっちを見てる!

     安めぐみのテーマ」などの代表曲が収録されているが、音がイマイチでいかにもインディーズの録音という感じ。スネアの音がやたらとカンカン言ってるんだよね。このアルバムレンタルで借りて一時期よく聞いていたっけ。小学生の娘が「鹿の大群VS鹿」という曲をやたらと気に入っていたなあ。この曲の「そばから作ったおいしいうどん!」というフレーズは今聴いても吹き出してしまう。そうそう、僕のいとこがライブハウスでイベントをやったりしているのだけれど、そこによくこのバンドがブッキングされていてものすごく見たいのだけれど決まってそれは土曜日で、仕事的に休めない僕は結局行けずじまいで残念な思いを何度もした。

 下のなんともいえないさわやかなジャケットはコンピレーションなんです。J・CREW(服飾ブランドの名です)と書いてあるので多分そこに関連した企画ものなんでしょう。アンレノックスとかPOEとかすこし捻ったよい感じのチョイスでした。

 

 さてここまでが100円ジャンクCDですが、以下は普通にアマゾンで買ったCD。最近YOUTUBEアンダーワールドのこの曲を聴いたら「うおアンダーワールドがクラブジャズみたいなことやってる!」感動したのです。

              ここ最近聴いた曲の中ではベスト

   イマイチ全容がつかめないのだけれど、なんでも「DRIFT」という名前のコンセプト?の元、コンスタントに曲を発表していたようでその一環らしいです。

現在予約受付中

 ところが肝心のこの曲、ダウンロードのみでCDに収録されてないじゃん!じゃ買わない!安くなったら買う!
 つうことで安くなっていたこちらの二枚を購入。

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バーブラバーブラ
 

 彼らのアルバムの中ではあまり評判のよろしくないこの作品、確かに一曲目は「僕の」アンダーワールド史上最高につまらない曲で幕を開けます。よくこの曲をオープニングに持ってきたな。僕の感覚がだめになったのかね?まあその後の数曲は一定のクオリティを保っていましたが、以前彼らから受けたあの体が勝手に動いてしまうようなレベルのパッションは得られませんでした。とはいえ、こちらのイギーとの共作は素晴らしかった。

                やっぱこのリズムだよな!

    こちらもYOUTUBEで何度も見てはいたのだけれどようやく入手。こういうレベルの作品を作り続けるのって難しいんだろうな。

 

 さて最後はデスメタルバンドABORTEDの新譜。

     分かりますかね、ジャケットがデストロイ加工されてるんですよ

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 これはボックスセット。何が入っているのだろう

なぜか800円と安かったので買いましたよ。ベルギーのベテランデスメタルバンドなんだけれど、毎回安定のブルータルデスサウンドを聴かせてくれる。今回もハズレなし!

                 このPV観てすぐに買った

    一聴したときは、あまりに展開がぶちこまれすぎていてこちらの耳がついていかないくらいのめまぐるしさと熱量で少々疲れたのだけれど、二周目からはだんだんと慣れて心地よさに変わる。最近聴いた(つってもあんまり聴いてない)のデスメタルアルバムの中ではかなりのハイレベル!ぜひどうぞ。

 あとこのアルバムのタイトルが「テラービジョン」なんだけど、どうやら謎の電波をテレビとか映画館で見ると人が狂ってしまうというコンセプトなんだな。そんで中ジャケがえらいことになってる。

         まあ大体どのアルバムもこんな感じなんだけどね

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  スクリーンに「OBEY!」とか「CONSUME]とか出ているのは映画「ゼイリヴ」じゃん!

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こちらが「ゼイリヴ」ジョンカーペンターの傑作。主演はプロレスラーのランディパイパーで、道端で戦ってスープレックスとかやってて笑う。

       サングラスをかけると宇宙人に支配された本当の世界が見える

    

 

 カクヨムがアファリエイト入れるらしいけれど僕にはほとんど恩恵無いだろうな

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アド・アストラうーん

 先週観て来たんですよ、アド・アストラ。

www.youtube.com

 予告編を見る限り、限りなく期待が膨らむじゃないか!

 そしてその膨らんだ期待は観ているうちに、徐々にしぼんでゆく・・・。

 

 予告の最初のシーン、宇宙エレベーターかと思ったら、そうじゃなかった。ただの異常に高い建築物だった。ちなみに宇宙エレベーターとは静止衛星に直接ワイヤーみたいなものでリンクを張り、ロケットで宇宙へ飛び出すリスクをゼロにするアイディア。クラークの小説で描かれてます。

 不朽の名作

 

               注意!lネタバレあり!

 

 ストーリーを簡単に説明すると、海王星から発せられたサージなる強力な電流が地球に影響を及ぼしているので、それを発していると思われる、行方不明とされていたブラピの父親をブラピが訪ねてやめさせるという話。 

 この過程を「月→救難信号を発しているステーション→火星→海王星」の順で見せられる。それぞれの特殊効果は現時点で見られる最新のものでしょう。特に、月のシーンはこれほどまでに美しいものを僕は見たことがない。月面車はアポロ計画のデザインをきちんと踏襲したものとなっており、アポロマニアとしてはたまらないのだが、略奪者とか出てきてうーん。月が無法地帯ってどうよ?どう考えてもどこかの国家が介入してるはずでしょう。なぜ探知できない?まあそういう話なんだろうけど。

          とはいえこのシーンはすごい。月でのリアリティある戦闘

  www.youtube.com

 そのあと、救難信号をうけて寄り道した宇宙ステーションで映画「ライフ」展開か!?これはトンデモSFに急展開か?と思ったら凶暴化したヒヒが出てきてうーん。あんなにヒヒって強いの?二匹の猿に乗組員皆殺しですか?

 

 僕が予告編で勝手に想像していた内容は、知的生命に力を与えられた親父のトミー・リー・ジョーンズが暴走してそれをブラピが食い止めるといったものだった。

 しかし、実際は知的生命は存在せず、ただ無為に数十年を過ごした老人となっていたトミー。(結果的に)数人ぶち殺した挙句ロケットをジャックしたブラピの苦労、水の泡。せっかくはるばる迎えにきても、なんだか納得のいかないまま勝手に親父は死んで、ブラピは嘘みたいな方法で自分のロケットに乗って地球に帰ってうーん。本当に科学考証がなされているのか?目視で海王星のリングを通り抜けて距離感のつかめるはずのないロケットに戻るってうそでしょ。そんで核爆発の衝撃波でスピードを得るとかできるの?宇宙空間で波動って伝わるの?

 

 なんだろう、「2001年宇宙の旅」(実際にHALを止めるシーンのオマージュがある)とか「インターステラー」を期待するとだめだった、という話です。久々にハードSF映画を観ている気にはなったけれども、個々のアクションも派手ではあるのだけれど、結局最期の印象は「うーん地味な話だった」という感じです。

 

うーん

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万城目作品よんでます 2

 万城目作品について語る回の続き。

 

         現在、「パーマネント神喜劇」を読んでます

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 現在のところの最新作長編といえるのが「バベル九朔」だ。


 この作品は万城目氏の作品の中では評価が割れている。いわゆるパラレルワールドものなのだけれど、今までの氏の他作品に比べ相対的にスケール感に乏しく、閉じた世界でストーリーが進むからだろうか。とはいえその閉じた世界の描写はまるで万城目氏が見た夢の中の風景なのではないかと思えるほど奇想天外。
 「バベル九朔」という祖父、九朔満男がが建てた雑居ビルに管理人として住み着き、小説家を目指す主人公(名前は明らかにされない)はかつての万城目氏そのものだろう。明日をも知れぬ不安と闘いつつ、手書きの原稿を書く毎日。しかし彼の前に現れた全身黒づくめのサングラスをかけた女(サングラスを外すと、そこにはカラスの目玉が貼りついている!)が突然バベルへ現れて以来、彼の周りでは奇妙なことが起き始め、ついにはある部屋に飾られた祖父の九朔満男(大九朔と呼ばれる)が描いた絵の前に立ち、扉らしき部分に手を触れたとたん、いきなり知らない湖の中へと投げ出されてしまうのだ。


 その世界は大きな湖を中心として周囲に森や丘が広がり、その丘には古ぼけたコンクリの建物がぽつんと建っている。そうして彼はそこで黒ワンピースを着た少女に出会い、彼女を追って湖からその場所を目指すが、奇妙なことにこの場所は上下の常識が通じない不思議な場所だった。湖からは上方に見えたはずのコンクリの建物(見晴台という看板が掲げられている)に向かい、明らかに道を下っていたのにたどり着くのだ。そしてこの建物こそ本物の「バベル九朔」なのだ。
 「大きな湖」というのはかつて秋田県男鹿半島にあった八郎潟。そしてこの閉じた世界を作った人物はその湖からパワーを得ているのだそうな。これって「偉大なるしゅららぼん」の世界ともリンクしているので、万城目作品の読者ならふむふむ、と思うだろうね。また登場人物の名前には必ず「さんずい」がつくのも定番だ(なぜか叔母はつかないのだが)。雑居ビル「バベル」のそれぞれの店子はそれぞれの階に対応した苗字であるし(例えば4階の店子は四条、三階の店子は蜜村(三つむら)という具合。ちなみに主人公のペンネームは”吾海九朔(ごかいきゅうさく)”。なんだか「めぞん一刻」みたい)。こういうところは分かりやすく名づけられているのだ。


 さてこの異世界のバベル九朔ビルには歴代の店子が全て入っており、上へ上る度に歴史をさかのぼるように作られているらしい。一体ここはどこなのか?さらには黒づくめのカラス女が彼を追い詰める。
 後半はストーリーがぼやけ、世界観が独り歩きして???となる部分もある。そして万城目氏本人の談で「対決がない」ということが言及されていたがそれも評価が割れる一つの要因かもしれない。確かに言われてみれば氏の作品はことごとく対決でクライマックスが盛り上がり、そのまとめ方の鮮やかさが読後感を充実したものにしてくれる。一方この「バベル九朔」は癖の強い世界、「バベル」の構築に力が注がれていてそれを受け入れるほうはなかなか骨が折れるのではないか。


 絵を通して、雑居ビル「バベル」から異世界の「バベル」へと移行するのもよくわからないし、何か知らんがタイムトラベルしているしどうも置いてきぼりを食らった印象を受けるのだ。ちなみに主人公が小説家を目指しながらビルの管理人をするというのは作者の自伝的要素があるという。
 不思議な話だったが、確かに今までのような読後のカタルシスには乏しいというのが正直な感想だった。いや十分面白いんだけど、頭をからっぽにしてエンタメに浸りたいファンにとっては物足りないかもしれない。僕もどっちかというとそういう風に思ったクチで、ネットでインタビューを読んでみると、なんと文庫化に際してかなりの改稿をしたというのだ。100枚削って40枚書き足したんだって。そうすると話はまた違ってくる。それがこちら。

  読みました

  カラス女に追いかけれるくだりまでは、ほぼ一緒なのだけれど、バベル世界へ移行してからの展開では、湖とか、民謡の流れるラジオとか、少女の乗る黄色い車とかが全てカットされていた。作者の言によると、物語はバベルの中だけで進行させるべきだと考えたらしいけれど、僕としてはばっさり切られた場面がシュールな世界観を形成していて好きだったんだけどなあ。なんというか、時間の止まった箱庭のような世界がありありと想像できたんですよ。

 時間と興味のある方は読み比べてみるのも一興です。 

 

 そうそう、読んでいる途中で僕は以前、僕自身が書いた小説『土管の向こうの街』との類似点が結構あったので不思議な気持ちになったものだ。

たまに思い出したように読まれる

 
 違う世界に行き、思いのまま過ごすことができ、年を取らない少女が出てくるというシチュエーションが非常に似通っていて僕の発想もまんざらじゃないなと思ったのです。ただ、僕のは閲覧数のわずかな素人ネット小説だけどね。

 

こちらはいつものやつ

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万城目作品よんでます 1

 以前から何度か言及していますが、万城目学氏の小説は面白い。その面白さゆえにほとんどの作品が映画化されており、プリンセス・トヨトミあたりはタイトルを聞いたことのある方も多いでしょう(まあ、映画のプリンセス~に関しては登場人物の性別変更やらでキャラが全く変わってしまい、なんだそれ?という部分があるけれど)。

 

 そんな万城目作品を僕が初めて読んだのは鹿男あをによしだった。奈良を舞台に万葉時代からの因縁が現代に伝わり、やがては西日本を揺るがす事態にまで発展するというファンタジーで、こちらはドラマ化されて評判を呼んだ。そういえば僕これ未見だったので今度見てみよう。

  

 そしてあまりの面白さに立て続けにデビュー作鴨川ホルモー」、「ホルモー六景」、「偉大なるしゅららぼん」「プリンセス・トヨトミと読み継いで、最近はとっぴんぱらりの風太郎をその分厚さにもかかわらず、あっという間に読み終えてしまった。特にこの「風太郎」は彼の最高傑作の呼び声高く、たしかにそれに相応しいエンターテイメント性を持つ強力な磁場を持った作品だった。とにかく、ページを繰る手が止まらないほど先を読みたくなるのだ。こういう作品に生きているうちに巡り合えると嬉しいね。

 

      

 

         主演はなんと山田孝之。これは上手に映像化されてます

     

         ミスキャストもあるが、おおむね楽しい「しゅららぼん」

     

         小説はほぼ全作品揃えてます。あと「パーマネント神喜劇」だけかな

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 さて、とっぴんぱらりの風太郎ですよ。

 これは読む価値ありますよ

 

 この「風太郎」も万城目氏の作品ではおなじみの大阪・奈良・京都といった関西の都市を舞台として話が進んでゆく。とはいえ現代ではなく戦国が終わり、豊臣から徳川の世に移ろうとする時代で設定されており、一見時代小説の装いを見せるが、そこにはいつもの万城目節が健在している。たとえばひょうたんの精である因心居士という人物をはじめ、蝉、黒弓、ひさご様といった癖の強いキャラが並び、ファンタジックな要素が随所にちりばめられている。ただ、今までの氏の小説が持っていたユーモアやオプティミズムは鳴りをひそめ、むしろ殺戮や血みどろの描写が多くなっている。主人公風太郎が忍びということもあって、人を斬る場面が多いのは当然だが、大坂冬の陣に否応なしに参加した彼が体験する戦の場はまるで戦国版プライベート・ライアン

 多数の足軽たち(その多くは若者であったり、貧しい農民であったりする)が木の葉より軽い命を奪われ、その有様は凄惨を極める。今までのほんわかした作品からは考えられないような殺伐とした場面を万城目氏はその力強い筆致で執拗に書き出し、そこに容赦なく風太郎を放り込む。そして忍びであるがゆえに避けられぬ運命を彼は進んでいくのだ。

 そして後半の怒涛の展開には息を飲むに違いない。だって、誰もかれもがあんな目にあって、しゅららぼん的柔らかさなど皆無だからだ。衝撃のラストで読者は満身創痍の風太郎と一緒に霧の中に佇み、まるでその場にいて事の成り行きを見守っているような気分になるのだ。そして、物語は静かに幕をおろし、「プリンセス・トヨトミ」へと繋がる!これは彼の小説を読んできた者への小さなプレゼントかもしれない。活字を愛する人にぜひお薦めしたい小説です。これだけ分厚くても終わるのが惜しく思う本は久しぶりでした。

 

 そんでもってその勢いのまま「悟浄出立」も読んだ。

 


 途中まで読んで思ったのは、万城目氏なりの「純文学」を目指しているのではないかということだ。エンターテイメント作家としてその地位を極めた万城目氏が中国の古典に依拠して、純文学に挑戦している。「純文学」と、そうでない作品との線引きって曖昧だけれど(中間小説なんて言葉もあるが)、主人公の心理描写が重厚で、描写は細緻を極め、何らかのテーマ性を持ったものを純文学作品だと僕は思うのです。そしてこの短編集はその資格を十分に満たしていると感じるのだ。
 実際、氏の得意とするファンタジックな描写や展開が認められるのは最初の「悟浄出立」だけ。しかもそれは物語の味付け程度で、ほぼ沙悟浄の独白で占められている。この短編集を貫くコンセプトとしては「脇役が主役」という構図だろう。「沙悟浄から見た悟空と八戒」なのだが、当然氏は誰もが高校時代に教科書で学習した「山月記」(虎になった男の悲劇が描かれたやつですよ、覚えている人も多いでしょ)を書いた中島敦の「悟浄出世」ならびに「悟浄歎異」を意識しての執筆だろう。実際「悟浄歎異」に通じる雰囲気がありありと感じられる。中島敦ほどのガチガチの漢文素養系作品ではないが、ひょっとしたら今までの万城目氏の作品との毛色の違いを感じてやめた人もいるのではないか?

 

 趙雲西航」の冒頭はこうだ。引用しますね。

太鼓がドンと鳴り、ぶ厚いかけ声とともに、楼船の側面から百足のように突き出した櫂が一斉に水面を叩いた。流れを掻き分ける櫂を追いかけるように、川面に小さな渦巻きが生まれては、踊る泡を抱きこみ消えていく様を、男は船のへりからじっと見下ろしていたが・・・

 

 この冒頭の部分の見事な描写からも本気度が伝わってくる。
 三国志における趙雲が主人公。彼の目から見た諸葛孔明張飛の姿が彼の心の揺らぎをとおして語られる。

 そして「虞姫寂静」では虞美人の視点からの「四面楚歌」における項羽の姿、並びに彼女自身の心理が描かれている。「抜山蓋世(ばつざんがいせ)」の詩が作られた酒宴での虞美人の舞の迫力とその最期は鬼気迫る。

 また次の「法家孤憤」では秦王暗殺に失敗した「刺客荊軻を同名の平凡な男の視点で語る。どれもこれも高校漢文ではほぼ必ず学習する有名な古典漢文に取材した作品なのであります。僕は思わず「刺客荊軻」を読み返して、なるほどあの部分がこのように臨場感を持って描かれているのかと納得し、読みの楽しみに耽る自分に酔いしれておりました。物語を予備知識なしで読むのも良いけれども、このようなタイプの話は背景や出展を知ったうえで読めば、更に作品の味わいが増す。

 

 ああ、なんだか上手くまとめられませんでしたあ。残りの作品については、眠くてこれ以上書ききれないのでまた次の記事に続きます。

 

もうちっとで14000PVに届くよ

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