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僕の80S ザ・ポリス シンクロニシティー

 1990年前後、僕は中学~高校生だったそのころ、地方のテレビ局で放映されている洋楽番組を漏らさずチェックしていた。

 とにかく当時は情報が少なくてその手の番組を見つけると小躍りして録画予約をしたものだ。まだVHSビデオデッキの時代、3倍モード(この意味がわかるのはそれなりにおじさん)の粗い画面でいろいろなバンドのPVを見ていたものですよ。

 

 そのうちの一つにポリスがいた。僕が彼らを初めて見たのはレゲエのエッセンスバリバリの「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」のヴィデオでだった。

                 サターンⅤロケットの前で演奏!

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 ポリスはその頃にはすでに押しも押されぬスーパースターだったけれど、当時の僕は主にイギリスのニューウェーブを中心に聴いており、ポリスのようなメインストリームのバンドの情報には疎いティーンだったのだ。

 

 なぜかというとできるだけマイナーなバンドを聴くほうがカッコいいのだ、という訳のわからない厨二病的発想でわざとそういうバンドを聴かずに、ソフトセルやキュアーに始まり、果てはスロッピング・グリッスルとかその流れでサイキックTVとかへんてこりんなバンドを漁っていたという事情もあった。

 

 だから「ウォーキング~」を初めて聴いたときはベースラインが変わった曲だなあ(僕はその頃ベースギターを始めたばかりで、ベースラインを中心に聴くというベーシストあるある状態)というい感想程度しか持たなかった。ポリスに関してはその他「高校教師」

                     なんだこの衣装

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        とか「ドゥドゥドゥ・ダァダァダァ」

           日本語バージョンは「おれのことばさー」

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 などの曲を知っている程度で、レコードを買うほどのアーティストとしては認識していなかったのだ。確かその当時ポリスは「ゴースト・イン・ザ・マシーン」あたりの時代だろう。

エレクトロニクスを駆使し始めた頃 

ゴースト・イン・ザ・マシーン

ゴースト・イン・ザ・マシーン

 

 

 こんな名盤が出されているとは露知らずぼくは日々を過ごしていたのだが、あるとき新曲の「見つめていたい」がこれでもかというくらいほぼ全ての洋楽番組でかかりまくり、僕も「なんかポリスいいな」と思い始めたのだ。

        歌詞の内容がストーカーぽい、などとあらぬ疑いをかけられている

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 そうしてあまりに新譜の出来が素晴らしいと洋楽メディアで盛り上がっているので僕はついに彼らのアルバム「シンクロニシティー」を購入したのだ。

永遠の名盤

シンクロニシティー

シンクロニシティー

 

 

     A面に針を落とした瞬間、流れ出すあのシーケンサーのフレーズ!

                 何度聴いても飽きない

     

 なんだこのカッコよさは!ポリスってこんなバンドなの?思っていたイメージと全然違うじゃん!怒涛の勢いでシンクロ二シティ1が終わると、途端に原始的なフルートのフレーズから始まる「ウォーキングインユアフットステップス」という牧歌的な雰囲気の曲へと変わる。そしてアルペジオが美しい「ミス・グラデンコ」が続き、まさかのアンディ・サマーズの狂気を孕んだVoがおどろおどろしい三拍子の「マザー」!なんだこれ!

                     なんだこれ!

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 そしてA面の最後は不穏な雰囲気を持ったシンクロニシティーⅡ」で幕を閉じる。

           もう何度も見たこのビデオ。スティングのアヒル口

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 なんかすごいアルバムを手に入れたぞ!と思いながらB面にレコードを裏返すとあの「見つめていたい」が静かに優しく流れ出す。

このアルバムの何がすごいかって、A面とB面の雰囲気が全く違うのです。こういう意図的な演出はCDの時代になってからは無効になったけれど、当時としてはかなりリスナーに対して有効だった。アルバムの持つオーラみたいなものをそういう部分から感じ取ることもできたのです。

 そのB面の2曲目は「アラウンド・フィンガー」。曲自体は地味なのに、名曲。

          歌詞の最後で「I」と「you」が入れ替わるのがトリッキー

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 当時スティングのかけていたサングラスがむちゃくちゃ欲しかった。今は買わなくてよかったと思ってます。

 このアルバムのB面の曲って基本的に地味な印象なのです。だからこそ逆にいつまでも飽きがこないのですね。聴けば聴くほど味が出てくる、いわゆる「スルメ盤」と呼ばれるタイプのアルバム。

そうして3曲目にトドメとばかりに「キング・オブ・ペイン」

              ビデオの本人たちは写真のみ

    

 地味なのにだんだんと盛り上がり、いつの間にか心の奥底に入り込んでくる曲。僕はポリスの全レパートリーの中で、この曲が一番好きだ。今でもこの曲をそらで歌うことができる。

 デーザリルブラックスポットオンザサーンツゥデー・・・

 イッツザセイムオールドシングアズイエストゥデー・・

 きっと僕が今あなたの目の前にいたとしたら、この曲を終わりまでアカペラで披露し、非常にうざったい奴だという印象をあなたに一生残すことでしょう。

 

 そして最後を飾るのがティー・イン・ザ・サハラ」。アンディサマーズのディレイワークが究極の形を示したこの曲、目を閉じれば本当にサハラ砂漠でお茶を飲んでいる気分になったから不思議だ。

               みんな同じように感じるのだろうね

    

 僕が言うまでもななくこのアルバムは全世界で大ヒットし、ポリスの人気は絶頂だった。しかし同時にスティングはポリスでできることは全てやりつくしたのか、これ以降ポリスのアルバムを作らずにソロへと転向してします。

 

 その後のソロ活動は「セット・ゼム・フリー」に始まり、「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」でさらにブレイク。「イングリッシュマン~」なんか、僕の妻さえ知っていたから(もちろん彼女はポリスは知らない)よほどヒットしたのだろう。確かにいい曲ですもんね。

 

            途中でジャズ調になるところとかはっとさせられる

     

 さて僕は大学へ入り、バンドサークルへ参加したのだがその中で様々な人と音楽に出会った。そして同級生のあいだでポリスは一定の人気を誇っており、そのつてで過去の作品も一気に聴くようになったのだった。

 

時々無性に聴きたくなるのです

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