観てきましたよ、『犬ヶ島』。公開4日目の月曜日の午前中第一回、観客は僕を含めておじさんが3人!
行きつけのシネコンのラインナップの片隅に掲載されていたこの映画の写真を見ただけで「これ絶対面白いやつじゃん!」と僕のアンテナが反応。
あとで知ったんだけど監督ウェス・アンダーソンだったのか。僕はそんなにウェスの映画を見たことがないのだけれど(ロイヤル・テネンバウムスだけ観た)、計算され尽くした画面構成や構図、ストーリーテリングなどがかなり評判の監督。数年前に「ファンタスティックMrフォックス」を観たいな、なんて思ってそのまま忘れていたっけ。
アマゾンで199円で観られるからあとで絶対見よう
人形アニメの制作会社と言えば最近ではライカ(人形アニメ制作会社の名前)一択だと思っていたけれど、そことはまた違う作風の奇妙な味わいが予告編からも伝わってくるじゃないか。
ライカを知ったきっかけの「コラライン」。大傑作
ライカの現時点での最新作
「KUBO」といい、この「犬ヶ島」といい、人形アニメはなぜ日本を目指す?偶然?それはいいとして『犬ヶ島』というタイトルは秀逸だ。「ドッグ・アイランド」とかやりそうなところをあえてこの邦題。ただこの邦題のおかげで食いつきもイマイチかもしれないよね。
こちらがKUBOの話
映画がはじまり、冒頭の3人の少年が太鼓をドンドンと叩くオープニングを見た瞬間「これは絶対に傑作だ!」と思わされる。人形アニメって、大抵はコスチュームを着ているんだけどこの3人はマワシのみ。肌の質感などの表現が素晴らしい。
さて、この映画の世界では「小林一族」という勢力がが日本を支配してきた歴史が有り、猫派の小林一族は犬を毛嫌いしていた。ある時代、犬を全て掃討しようとしていた当主に一族の中の少年侍が犬のために反旗を翻す。そして当主を殺し、犬を守ったという伝説がある。
少年のおかげで犬たちは絶滅を免れたけれども、一族は犬に対する憎しみを捨ててはいなかった。そして現代。
ウニ県メガ崎市の権力者小林市長は、合法的に犬を迫害していた。ドッグ病という病気をはじめとする各種の病気を蔓延させないために犬をゴミ処理の為の島=犬ヶ島に隔離し始めたのだ。そして追放犬第一号として小林家の護衛犬スポッツを犬が島へ送り込む。しかしそのスポッツは小林市長の養子、小林アタリ少年の愛犬で、アタリ少年は単身飛行機で危険を冒して島へと乗り込む。
一方島では、大量の犬たちが生き延びるために必死だった。力の強い犬たちはグループを作り協力して餌をとっていた。ここで登場するのがチーフという野良犬を中心とする元飼い犬5匹のグループだ。僕は吹き替えで見たのでそれを聞くことができなかったけれど、犬たちの声を演じるメンバーがすごい。エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム!
この犬たちはそれぞれ個性的な性格と背景を持っているのだけれど、僕は結局チーフ以外は名前を覚えきれず、またそれぞれの犬の性格を掴みきれないまま映画を見終えてしまった。でも大丈夫!この映画の主人公はアタリ少年ではなく、チーフなのだから!
チーフは野良犬であるが故、人間を信用せず、言うことも聞かない。他の4匹はスポッツを探しに来たアタリ少年に従順に従い(彼らを追放した人間であるにもかかわらず)、スポッツ捜索に協力するのに、チーフだけは反抗的な態度をとるのだ。しかしグループの多数決と、美人犬ナツメグ(英語版の声はスカーレット・ヨハンソン!)にも説得され仕方なくスポッツ探しに同行する。
その真っ黒なルックスだけれども僕は見た目からしてこのチーフがスポッツなんじゃないの?記憶なくしてるんじゃないの?と思ったがそうではなかった。まあ、それなりのつながりはあるんですけどね。
徐々に心を開き、成長していくチーフ。特に後半のスポッツとアタリ少年とチーフの場面で、イヤフォンのやり取りをするシーンは泣きそうになったぜ!
政治的な背景がうっすらと匂わされ、抗議する高校生たちが過激な環境団体もしくは市民団体に見えたりもする。わざとか?
またラストの小林市長の心変わりが???という部分もあるし(なんと俳句が重要なターニングポイント)、伏線がくどいくらい貼られているから、最後のどんでん返しもまあわかるんだけど、その部分はちょっと引っかかったかな・・・。
ストーリーに関してはあまりここでくだくだしくは書きませんがやはりこの手の映画の技術的な部分というのはすごいよね。
ライカの映画って、結構デフォルメされているものが多いので、それとは違う人形のテイストが妙に新鮮だった。
そうそう、小林市長の腹心で執事のMrドウモーというキャラクターがいるんだけど、その顔がどうもどこかで見たことあるなあ、と一生懸命考えていたら、「人間椅子」のベースの鈴木研一氏だった!
このメイク、そのまま。ひょっとしてモデル?
家に帰ってパンフレット(820円もする)をテーブルの上に置いておいたら、小5の娘がえらく興味を示したのでもう一度週末に彼女と観に行くことにしました。同年代の子達はコナンを見に行くらしいけどね。あと、車で聴かされているのはデリンジャー・エスケイプ・プランという娘よ、個性的であれ!
- アーティスト: サントラ,Seiichi Ida,Tasuku Sano,ビル・フィネガン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2018/05/23
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物語は素晴らしい