日々これでもかというくらいの勢いで様々な映画やその他の映像作品が追加され、他の動画配信サービスとの差別化を図るアマゾンプライムビデオ。
まさかパシフィックやバンドオブブラザースが見られるとは思わなんだ。
ドラマ版「プライベート・ライアン」。とにかく凄い。これをテレビでやったのか?
バンド・オブ・ブラザース/ザ・パシフィック ブルーレイ セット(初回限定生産/10枚組) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2014/11/05
- メディア: Blu-ray
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他にも数多くの良質の作品がラインナップされているが、その一方でさすがアマゾン、ニッチな分野への配慮も怠らない。
たとえば、サメ映画。
サメ映画業界は『ジョーズ』以来、独自の進化を遂げている。
あらゆる(ダメダメな)アイディアが投入され、それを見ることによって
「ああ、人生少し無駄にした!」
と思わせる作品が百花繚乱。そしてその一部がプライムビデオとして鑑賞できるのだ。本来ならテレ東の「サメ映画特集」で録画して観るか、レンタル店で玉砕覚悟で借りるはずのこれらのZZZ級映画が日の目を見るというのは、日本が平和であることの何よりの証拠だ。
さて最初は『ジュラシック・シャーク』。
ここからプライムへ飛べます
当然こんな絵ヅラはありません。
テキトーに飛ばして見ましたが、それでも拷問のような時間が過ぎていきました。
とある石油会社が無理な掘削をした結果、古代のサメ、メガロドンが湖に登場。
それにしてもこの石油会社でのシーン、全てどこかのビルの階段のみ!
登場人物たちは割と重要な会社の業務内容を話しているのに全部階段、もしくは廊下でしか会話をしない。あまりの予算の無さが思いやられて微笑ましい。
さて湖には冷酷非情な女頭領が率いる盗賊団が盗んだ絵を沈めにやってくる。しかしそこにゲームのCG以下のサメ登場。そしてこのあたり飛ばしたからよくわかりませんが、湖で泳いでいた女の子二人がその絵を回収するように命じられる。
ビビる女の子たちはダイナマイトを持った手下に向かって石を投げつけると、なんと手下が爆発!そして都合よく彼女たちの前に落ちてきた拳銃で女頭領と対峙。
拳銃回収をもう一人の子分に命令する女頭領。そして、のこのこ拳銃を奪いに来たもうひとりの子分(陸を歩けばいいのに、何故かわざわざ湖の中に入って女の子に近づく)は案の定サメに食われる。
それにしてもこの部分の描写はあんまりだ。サメに食われるシーンが一切無くて、なんというのかな、音と映像のコラージュみたいで一瞬前衛芸術を見ているのかという錯覚に陥る。とにかくなんだこのヒドイ映画は!という感想しかない。
しかしそれを見ていた劇中の女の子は
「そんな・・・ヒドイ」
とそっくりそのままこの映画の全てを集約しているセリフを吐く。吹き替えをやった声優さんも絶対に酷いと思って仕事をこなしたに違いない。
極めつけはこの直後、女の子が一発もピストルを撃っていないのに、女頭領が
「バカだね、弾を無駄にして」
というセリフを吐くところだ。
いつの間にか観賞者の知らないところで全弾打ち尽くしたことになっている!なんだこれ!編集どうなってるの?シュールすぎ。もしかしたら弾を撃つシーンは予算がなくて撮れなかったのかもしれない。
そして、絶体絶命のピンチに突如水中からサメが現れ、女の子たちの頭上を飛び越して女頭領の足だけ残して食ってしまう。
ええ!?水中から陸に向かってジャンプしたのにどうやって水中に戻ったの?空中でUターンしたのか?
しかしそんな観賞者の疑問などお構いなしに女の子は突如サメを殺すことを決意し、うまいことダイナマイトで吹き飛ばします。おしまい。
次、『ロスト・ジョーズ』
再びメガロドン登場。日本語版タイトルは『ロスト・ジョーズ』だが、英語版タイトルの「RAIDERS OF LOST SHARK」(レイダースの原題「RAIDERS OF LOST ARK」のもじり。本来はシャークの部分がアーク)が出た時点で失笑。
あれ、それにしてもこの中々タイトルがでない感じとか、湖の感じとか、さっき見たジュラシック・シャークに激似なんだけど・・・と思ったらなんと続編らしい!
うぉお!久しぶりだぜこの感じ!どうでもい所で、どうでもいいことがつながっている!僕は昔多くのゴミ映画を見たけれどもあの時に感じた気持ちが少し蘇りました。
サメのCGは前作の使い回しと、アップにしたパペット。何がすごいってサメが空を飛ぶという。もう世の中が信じられない。で、どっかの大学のとてもそうは見えない女性の教授が友人と2人でサメをダイナマイトでやっつけます。
おそらく映画専門学校の生徒が作る映画のほうが百倍マシな内容。これに出資した人、また出演して、撮影して・・・というスタッフは完成品を見てどう思ったのだろうか。きっと「最高!」と思ったに違いない。
『フランケンジョーズ』
物語冒頭、白黒画面の海に、ドイツ1942というテロップが出る。そしてそこに浮かび上がる潜水艦がどう見ても『絵』で、自分の目を疑う。これ、パソコン一台で出来る映像でしょ。出てきたハゲの強そうな男がその海のそばで実験している博士らしき人とその助手に
「お前たちは死体蘇生の実験をしている。ナチスに協力しろ」
というが博士は拒否。あっさりと博士は殺され、そこにあったビーカー漬けの脳みそと心臓を蓋もせずにカバンに入れる。蓋しないとこぼれちゃうよ!
そうして舞台は現代に移り、「SHARKENSTEIN」という十秒くらいで考えたタイトルが出ます。
そうして唐突にツギハギだらけのでっかいCGのサメが海を泳ぎ回り、これまた信じられないようなチープさ!そのサメはまずは釣り人をジャンプして食ってしまう。あまりにヒドイその絵に爆笑。
残されたのは釣り人の両足。こういう描写ってさっきの『ロスト・ジョーズ』でもあったけど、一種の記号と化しているな。
そのサメはナチを崇拝するクラウスなるマッドサイエンティストが操作していた。クラウスは自由自在にサメを操って人を食わせていたのだ。
クラウスは掘っ立て小屋で狂気の実験をしていたが、たまたまそこに迷い込んだアホな大学生三人組が脅されて研究に協力させられる。たとえば科学者の脳みそをサメに移植したりする実験とかをゴム手袋で手伝う。なんだこれ?変なの!
実験は成功したのだが人間の脳を埋め込まれたサメはクラウスの言う事を聞かない。というか、前のサメの状態なら言うこと聞いていたんだからそれでよかったんじゃないの?で、思ったとおりクラウスはサメに食われる。この食われる絵もかなりシュール。世界で一番安い金額で請け負われたCGとしか思えないレベル。
なんとか逃げ出した三人組、途中一人食われたところで港の警備員に救出されるがそのボートに追いすがるフランケンジョーズ。その姿は常にツギハギの背びれのアップ!
ようやく桟橋にたどり着いた三人だがサメは桟橋に這い上がってきた!
「大丈夫!サメは陸では生きられない」
と警備員が言うと、何故か急に雷が。三人が映っているときは空は晴れているのに、サメのときは大雨で雷がピカピカ!もうなんでもアリです。
そうしてサメは雷のエネルギーを得て突如腕を生やし最早サメだかなんだかわからないモノに。でもそれがとんでもなくヒドイ造形のぬいぐるみ。
焦った警備員は何故桟橋にそれがあるのか理解不能だが、突然松明を取り出して火をつける。その火まで何故かCG。それぐらい本物使おうよ。
「フランケンシュタインは火を怖がるはずだ!」
と根拠のない自信で炎を振り回すとなぜかフランケンシャーク、雷により進化したので陸上へと逃げる。何それ!それを知った地元民は武器を手に取りフランケン退治に出発。
人の脳を持ったフランケンシャーク、おばさんとかを襲いながら、地元民に追い詰められ逃げるその姿はもはやサメというより、サイだか象のようだ。でもその動きたるやCGではなくパペット合成。この作品、2016年だそうです。
最後は警備員とサメが炎のCG合成の前でじゃれあって、爆発のイメージ映像を重ねた家のシーンで終わる。
これを映画というのだろうか?あと、全員が演技ヘタ!
『デビルシャーク』(原題SHARK EXOCIST)
冒頭、13人の子供を虐待死させたという修道女リンダ・ブレア(注:リンダ・ブレアは本家エクソシストに登場した悪魔付きの少女を演じた女優名)が湖畔でも殺人を犯し、そのしたいを海に沈め悪魔に生贄として捧げる。それを受けた悪魔は目の光るサメを遣わす。これまで見た作品の中ではマシに見えるから不思議。
音楽が一応エクソシストのテーマ曲「チューブラ・ベルズ」を意識しているらしく、わずかな志の高さは感じる。その音楽を背景に、まず三人組の女の子たちが登場。キャスティングに関しては今まで見た中ではかなりマシ。最初のジュラシックジョーズなんて登場人物何故か全員肥満。
で、まず一人の女の子がデビルシャークに襲われるんだけど、この手の映画の通常営業で直接食われる描写とかはなし。あくまで例のイメージ映像です。
そうして友達に救われるんだけど、その友達が「ひどい傷!」とか言っているので足でも食いちぎられているのかと思ったら10センチほどのカスリ傷!これサメ映画でしょ!?もっと派手にするべきなんじゃないの。
その後超常現象捜査官というナンシー・チェイスなる人物が湖畔で祈祷すると、突然トランス状態になって
「この湖は俺のものだ!すべての物を喰らい尽くす」
的なことを白目を剥いて叫びだす。この演技を見ていてなんか悲しい。
ただ、このあたりから上記のサメ映画とは趣を異にする展開となる。最初にサメに襲われたアリという女の子にサメの悪魔が取り憑いており、アリの歯はサメのようになって人を襲う!そこに弟をなくした神父登場。えーっと・・・そうか、本物の『エクソシスト』に出てくるカラス神父は母親を亡くして信仰が揺らいでいたからそれをパクったんだろうな。
さて、アリを縛り上げて悪魔祓いが始まる。同席したアリの友人が神父の十字架を見て
「十字架小さくない?」
と言っていたのには少し笑ってしまった。
どうやらサメ映画にかこつけてエクソシストをやりたいらしい。ちゃんと緑色の吐瀉物を吐いたりしますから。きったな!
で、悪魔は神父に乗り移ってしまい、女の子を噛んだりして嫌がられます。すると唐突に空が光りだしてサメが降ってきて暗転!なんのこっちゃ!
そうして次の場面、何故か筋肉質の女性が湖で寝転んでいる。そこに現れたサングラスのおじさん。何かと思ったら寝ているその女性スマホで盗撮!そして無言で去っていく・・・。この場面、何の意味があるのだろう。
そこに突然冒頭の修道女リンダ・ブレアが現れ、筋肉女性をメッタ刺し!ナイフを舐めて悦に入っているリンダ。その直後、背後の湖から誰か知らない女の人が現れリンダを襲い、湖に引きずり込む。??????????どういうこと?意味不明すぎる。
しかしこの映画はさらに混迷の度を深める。
悪魔が落ちたアリと思しき女の子が湖畔でくつろいでいるとエミリーという友人が現れ「許して」というセリフとともに海に飛び込み、いきなりデビルシャークに豹変。大口を開けてこちらに向かってきたところでエンドロール。
ところが!まだ映画は終わらず、今度は水族館でサメのぬいぐるみを持った女性が水槽に向かって呻き始め、こちらを向いた瞬間に口からオレンジ色の液体を垂らして再びエンドロール!何なんだよ!
ところが!このあとダメ押しでもう一度女の人が水族館の前で白目を向いて、やはり口から何かを垂らしているシーンが出てきてようやくこの悪夢のような映画は終わる。
世界には何万という映画がそれぞれの事情で作られているが、その殆どは人目に触れることなく消えていくのだろう。そういうゴミみたいな映画を4本も立て続けに見てGWの貴重な時間を過ごしている僕は何なのだろうか。もうしばらくサメ映画はいいや。
サメ映画の記事に5000字って