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アンダーワールド 「BEAUCOUP FISH」・「ダブノーベースウィズヘッドマン/dubnobasswithmyheadman」の頃

「ダブノーベースウィズヘッドマン/dubnobasswithmyheadman」というとんでもなく長いタイトルが彼らの1STアルバムだ。

 このアルバムは2NDアルバムのようなきらびやかさや、サウンドの完成度においては及ばないが、曲自体の良さがそれを補ってあまりある。実際2NDよりも捨て曲が少ないと僕は思うのですが、古参のファンの方、どうですか。

 機材が古いからだろう、若干の安っぽさはあるがそれでも初期の名作は光り輝く魅力を放っている。特に後半、6曲目「DIRTY EPIC」から始まる流れは素晴らしい。叙情的なこの曲からいつの間にか「EVERYTHING、EVERYTHING」とカールの声で延々繰り返されるシーケンスフレーズが非常に印象的な「COWGIRL」につながる見事さ!

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 ちなみにこの「COWGIRL」に使用されている「ぶわぶわぶわぶわ」というフレーズは彼らの人気曲「REZ」にも使用されていて、ライヴなんかではよく連続して演奏していたようだ。

 このアルバムの大きな山場のあとに、ベースのフレーズが印象的なその名も「BASS OF RIVER」が静かに流れ、最高にキャッチーな「m.e」へとつながる。

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この最後を飾る曲には日本語が大胆にフィーチャーされていてなんとも変な印象を受ける。アンダーワールドは時折変な日本文化を曲にぶちこんでくることがあるのだ。

いわく

「あなたの夢に私を保てる?」

と女性の声で入ったあとに英語で

can you hold in your dream?

とすかさず入るのだ。日本語が少々とんちんかんなのでどうにもダッセー!と思ってしまうのだが、曲のレベルは初期アンダーワールド屈指の出来だと思います。

 

   さてこのころのテクノはゲームの世界でもブームを巻き起こしていた。かの有名な「WIPE OUT」にはそうそうたるテクノバンドが曲を提供しており、そのサントラは当時を代表するアーティストの博覧会のようだった。このアルバムでしか聴けないアンダーワールドが手がけたケミカルの「LEAVE ALONE」は大傑作!それだけのために当時僕はCDを買った。もちろんゲームも買って散々遊び倒したっけ。

 

 

   こうして1ST、2NDを聴きたおしていると、あるとき偶然地味に発売されていた「MONAR」のシングルを発見する。「うぉ!アンダーワールドの新曲じゃないか!一も二もなく購入し、即刻拝聴。これがまた期待以上の大傑作だった!

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    彼らの曲の中でも僕は1番好きなくらいの名曲。押しの強さはこれが最高ではないか。例の静かに始まるパターンなのだが、どんどん音が重なりついにはディストーションギターにも匹敵する激しいシンセのフレーズの波状攻撃!モーナモーナモーナーモーナ!いやーすごいなアンダーワールド

 

 

  そして次作への期待がどんどん高まり、満を持して発表された「ボクーフィッシュ」。

   出社前にタワレコで発売日と同時に買い、業務終了後、車に乗り込みワクワクしながらCDを挿入。おやなんだか静かな始まりだぞ。思ったよりも耳あたりのよいフュージョンチックなサウンド。これはこれでいい曲だけれどもまた毛色が違うな・・・などと思いながら聴いていくと、徐々に音が重なってくるではないか。そうして例の中盤からの曲の大転換が起こる!

 一度曲がブレイクし、シンセの荘厳な響きだけが圧倒的に迫る。そうしてその直後にどんちゃこちゃかぽこどんちゃかどかすか!と、どうやったらこんな複雑なリズムトラックを思いつくのだ!?というパワフルな展開になだれ込む。初めて聴いた時の感動は今でも思い出す。車の中、ひとり僕は

「すげー!アンダーワールドすゲー!」

と声に出して大興奮していた。

            後半、 ドンツクチャカポコ!ドンツクチャカポコ!

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     このアルバムは他にも例の王道テクノ「キングオブスネイク」や     www.youtube.com

「PEARLS GIRL」の系譜につながる「SOMETHING LIKE A MAMA」

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など中期アンダーワールドの頂点を極めた曲が目白押しだった。ことあるごとにリリースされたシングル、ほぼ全部買ったよ。

         多少抜けてますが            こちらはブートレグ

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 ところが衝撃のニュースが。メンバーのひとり、ダレン・エマーソンが脱退!サウンドに絶妙な味付けをしていた彼が抜けたあと、発売された

 ハンドレッズデイズオフ

 

はもちろん素晴らしいアルバムなんだけど

この曲も大ヒット。ソニーのコマーシャルで使用されてた

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やはり、何かが足りない。線が細くなった・・・と感じたのは僕だけだろうか。その後、オブリヴィオンウィズベルズ、バーキングという二枚のアルバムも僕は買った(当然水準以上の作品)けれど、やはり3人でやっていた頃を思い出してしまい、あまりCDに手が伸びないのだ。

 でも、その2枚、また聴き直したらきっと違う印象のはずだ。久しぶりに聴くかな!

 

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