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ムーミントロールとボックストロールス  THE BOXTROLLS!

 センター試験で出題され、何かと話題になったムーミン

 実は僕、その前にアマゾンプライムビデオでこれを観ていました。

                主題歌がなんとビョーク

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 ムーミンといえば世界で親しまれているファンタジーだけど、正直僕は怖いイメージがある。子供の頃放送されていたアニメをたまたま見たとき、ニョロニョロの大群が押し寄せてくるようなシーンがたしかあった。きっとそのあたりが原因なのかもしれない。あとはスニフの小物感やその他のキャラクターのアクの強さがが子供心に嫌だったのかもしれない。

 

 一冊くらい小学生の時に読んだはずだけどそれも覚えていないし。今現在でもムーミンにそんなに興味があるわけじゃなかったんだけど、この映画がパペットのストップモーションアニメだということと、なによりも「彗星が地球に大接近しムーミン谷を破壊?!」というアルマゲドン的展開に興味をもって観たというわけです。

 

 子供に「おとうさん、どうしてムーミンなんか見てるの?」と言われながらも見続ける僕。そのうちに小4の娘も一緒に鑑賞。

 お話の内容はだいたいこんなん。

 ある日平和なムーミン谷一面に灰が降り注いでいる。その原因は彗星が衝突するということだ!とジャコウネズミさんが言い出す。不安に思ったムーミンはスニフと共に険しい山の上にある天文台へ行き、事の真相を探ろうとする。途中スナフキンに出会い、様々な障害を乗り越え天文台へと着くがどうやら衝突は避けられないとのこと。驚いたムーミンは衝突までに家族のもとへたどり着けるのか?

 

 灰色の庭、赤い空と、とにかく終末感が全編に漂っており、子供がこれを見たらいろいろなことに絶望するのじゃないか。のんびりしたムーミンのイメージとは程遠く、次から次へと彼らを襲う苦難。まあ、娘は面白がってましたけど。あと、その絶望的な内容にもかかわらずBGMが美しいというギャップがまた奇妙な魅力を放っている。

 

 見ていて僕が知らなかったこと。

 「ムーミン」は「ムーミントロール」というのが本名?らしい。

 トロールというのはWIKIで見たみてら北欧の妖精らしいですね。よくロードオブザリングをはじめとするファンタジーやゲームに登場するけど、明確な定義を知らずに生きてました。

 

 さて不思議な符合もあるもので、僕が好きな人形アニメ制作会社「LAIKA」が作った日本未公開、ブルーレイ未発売のこちらの映画もトロールが登場。

 

       THE BOXTROLLS!

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 コララインとボタンの魔女を観て以来、僕はライカ作品には全幅の信頼を寄せている。ライカ作品にはまず間違いがない!

コララインについてはこちら

otominarukami.hatenablog.com

 

そうして最近の作品で言えばなんといっても「KUBO 二本の弦の秘密」だろう。

むちゃくちゃすごかった 

otominarukami.hatenablog.com

 

この他にもう一本。「パラノーマン=ブライス=ホロー」という作品があり、とにかくどの作品を見てもその職人技に驚嘆できるし、ストーリーの練られ方もディズニー並だということがわかる。それぞれの作品が伝えたいテーマがはっきりしているのだ。

 

でも、なぜかこの『ボックストロールス』だけは日本公開はおろか、DVDすら発売されていないのだ。

仕方がないのでアマゾンで並行輸入。1000円くらいで買えるし、英語の字幕もついているのでまあ、なんとかストーリーを理解できます。

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BOXTROLLS

BOXTROLLS

 

 

  お話は、チーズブリッジという街が舞台。そこには夜な夜な箱を身につけたボックストロールたちが出没し、ガラクタをあさりまくる。住民はトロールが子供をさらい、食べてしまうと信じており、夜中は必ず鍵をかけて誰も外出しない。実際10年前に一人の男の赤ん坊がさらわれ、同時に父親も失踪してしまったのだ!

 その人っこひとりいない夜の街を、猛スピードの車で駆け抜けるのがスナッチャーという害虫駆除を生業とする赤い帽子の男。

 

 彼は3人の手下を従えてトロールたちを捕まえるのだ。

 なぜ彼がそんなことをしているかというと、チーズブリッジには白い帽子をかぶった貴族たちがおり、チーズギルドを構成している。スナッチャーはチーズアレルギーにもかかわらず(チーズを食べるとカラダがひどく腫れ上がる)貴族になってチーズ品評会に参加することに執着している。

 その条件としてギルドのリーダーであるポートリー・リンド卿はボックストロールの完全殲滅を要求したのだ。このリンド卿がまたチーズにしか興味を示さず、娘のウィニーはそれにいつも不満を覚えている。

 そのウィニーはある夜トロールと一緒にいる人間の男の子を見かける。その男の子=エッグこそが10年前にさらわれた子供だったのだ。

 この話は箱をかぶっているトロールたちがたくさん登場するのだけれど、それぞれの名前がそのかぶっている箱に対応している。魚の箱をかぶったエッグの親代わりのトロールは「フィッシュ」、仲の良い友達のトロールは靴の箱なので「シュー」という具合だ。もちろんエッグは卵の箱を着ている。

 

 とにかくこの作品もライカの超絶技巧がいかんなく発揮されており、一度見始めるとどうにも止まらないくらいに目を奪われてしまう。

   こちらの動画のように気の遠くなるような作業の末にあの素晴らしい動きが完成される

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 特に後半に出てくるスナッチャーが操る超巨大マシーン(昔ワイルドワイルドウェストでケネス・ブラナーが乗っていたようなマシンだ)は縦横無尽の暴れっぷりでスチームパンク好きには堪らない。

 

 一方で群集心理の恐ろしさも描写していて、トロールたちを悪だと信じていた人々が魔女裁判のように「トロールを殺せ」と叫ぶシーンは空恐ろしい。これ、「パラノーマン」でも同じようなシーンがあった。幽霊を見ることができる少年パラノーマンを人々はつるし上げようとする(実際その数百年前には魔女とされた女の子が殺されたという過去が描写される)のだ。斜め読みをしてみると作品の隠れテーマとして暴徒化した人々の描写がライカ作品には通底しているようだ。

 

 とはいえもちろん安心の大団円を迎える結末に満足できるので、興味を持った方はぜひご購入をおすすめしますよ。アメリカから来るまでに3週間くらいはかかるけど。

 そうそう、このブルーレイにはささやかなおまけがついていました。

          このような素敵なポストカードが封入されている

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 ウィニーとエッグのポストカード、拡大。裏にはそれぞれのキャラクターのプロフィールが記されている。

         どちらも10歳くらいの年齢になっている。エッグは虫とか食べます

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        こちらはトロールたち。オイルカンは微妙に影が薄い

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      最後はライカ作品ブルーレイそろい踏みでお別れしましょう

                  そのうちクボも買います

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