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スマッシング・パンプキンズ/ADORE~マシーナの頃

「パイシーズ・イスカリオット」のことを書いていたら

 

otominarukami.hatenablog.com

 

 リマスターを含むボックスセットの存在を知ってしまい、アマゾンでこのお気に入りのアルバムを再購入してしまった。そうして、昨日家に届きました。

 

                      結構厚みのある箱

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中身は、CD2枚、DVD1枚、カセットテープ一本といい雰囲気の写真(男の子はひょっとしてビリーか?)詳細なライナー。

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 ディスク1はリマスター盤。1曲目の「SOOTHE」はギター一本なのでちとわかりにくいけれど、二曲目の「FRAIL & BEDAZZLED」は低音が広がり、全体として重厚さが増した印象。聴き比べてはいないけれど、リマスター感はある。で、結局久しぶりに通して聴いた。やっぱり、このアルバムいいね。

 2枚目はアウトテイク集。そもそもこのアルバムがアウトテイク集なんだからそのアウトテイクってなんだという気もするけれど、こちらはアコースティック曲が中心で静かな印象。でもさすがに佳曲ぞろい。

 3枚目のディスクはデビュー前後のスタジオライヴと初期のライヴを収録。全然知らない初期の曲を演奏していて、その曲がほとんどニューウエーブ調なのに驚いた。ディストーションがかかってギンギンになる曲はない。ビリーが若くてかっこよく、イハは変なリーゼントの髪型だった。僕はまだまだこのバンドについて知らないことが多いのだと思ったよ。

 このDVDの最後に収録されていたのが「HELLO KITTY KAT」のライヴ。これが一番の拾い物だった!本来は「サイアミーズ」アルバムに収録されるはずだったらしいのだが、どうやら曲調が「GEEK USA」とかぶる感じだからだろう、「パイシーズ」に収録されている曲。バリバリのパンプキン節ロックでむちゃくちゃカッコいい。

 

                   こちらは別バージョン

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 で、このカセットはなんだ?

              中身は真っ赤なテープです。

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 その疑問はDVDの冒頭を見て氷解。なんとデビュー当時のデモテープの復刻だった!彼らが当時色々なレーベルに送っていたテープだった。すでにこのジャケットから例の少女趣味的で、アールヌーボー調なスマパンの雰囲気が出ている。内容はDVDに収録されているものが半分くらい。まだニューウェーブ感が強い曲調だけど、ちょっとしてギターのフレーズにスマパンらしさが垣間見られ興味深い。まあ、コレクターズ・アイテムですね。あと、ジャケット写真の人物はイハだと思っていたらそうではなく、ビリーの奥さんだって。

 それにしても、このボックスセットシリース、調べたら1STの「GISH」と「サイアミーズ」も同様にあるではないか。なぜか「メロンコリー」はなく、「ADORE」もリリースされている。「サイアミーズ」欲しいな。

 以上、ボックスセット寸評でした。

 

 さて、「メロンコリー」アルバムでバンドの勢いが最高潮に達した時、ドラマーのジミーのドラッグ問題でキーボーディストが死亡。ジミーは解雇されてしまう。

 これはバンドにとってかなりの痛手だった。だって、スマパンのあの独特のリズム感は、ジミーのドラム無しでは成り立たないから。サポートドラムのマット・ウォーカーはテクニシャンなんだけれど、無味無臭といった感じ。MTVでオーケストラをバックに「TONIGHT、TONIGHT」を演奏していたのを見た僕は、かなりの物足りなさを感じた。実際メンバーも「マットは正確すぎて逆にやりづらい」といった発言をしていた。

 そうしてジミー不在で制作された「ADORE」はファンの期待とは違う方向に完成し、セールス的にも不発に終わる。

 

Adore

Adore

 

 

 このころプロディジーをはじめとするデジ・ロック(死語)がシーンを席巻していたというのもあるのだろう、打ち込みがメインの地味なアルバムだった。僕も一応買ったはいいがほとんど聴いていない。

 

         この頃になるとビリーのヴィジュアルが異様になっている 

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 ・・・やっぱりこれ、ビリーのソロでもいいよね。吸血鬼ノスフェラトゥか。

 だからこのアルバム、多くの人と同じように思い入れはほとんどない。

 

 このままでは終われないと思ったのだろう、ビリーはもう一度チェンバレンを呼び戻して『マシーナ』を制作する。

 

マシーナ/ザ・マシーン・オブ・ゴッド

マシーナ/ザ・マシーン・オブ・ゴッド

 

 

 ただ、アルバム完成と同時にベースのダーシーは脱退。元ホールのメリッサをベースに迎え「エバーラスティングゲイジ」で再びギターロックに回帰。

 

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 ディストーションのかかったベース、低いチューニング、とパワフルでカッコいい曲ではあり、曲終わりの盛り上がり(ギターやアンプ、ドラムを破壊)もすごいんだけれど、もはやあの頃の勢いとは別のものだ。

 

                この曲も大仰でなんだか演劇を見ているようだ。

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 そこらへんの若者だった昔に比べると、ナルシス感がすごい。このアルバムのPVで一番心に迫るのは、むしろ彼らメインではない「Try、Try、Try」の方だ。

 

 こんなにやるせないPVはそうはない。ラストに僅かな救い。「レクイエム・フォー・ドリーム」じゃないんだから!

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 確かどこかでこのアルバムは解散を念頭に作ったということをビリーが言っていた(うろおぼえ)。そのとおり、オリジナル・メンバーでのアルバムはこれが最後となった。スマパンは日本でも武道館でコンサートを開くほどの人気を獲得していたけれど。

 

 その後のチェンバレンと結成したZWANもいいバンドだった。結局1枚で終了。

 

            トリプルギターでベースはまたしても女子。

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 正直、そんなに聴き込んでません。結構いいんだけどね。

Mary Star of the Sea

Mary Star of the Sea

 

 

 今もビリーが頑張ってスマパンを続けている一方、当時の注目はない。もちろん人気は根強いが、一線で活躍し続けることって大変なことなんだなあ。

 

    スマパンについての僕の思いでこれにて終ー了ー。書き尽くしました。

 

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