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スマッシング・パンプキンズ/メロンコリーのころ

 ついに『メロンコリーそして終わりのない悲しみ』がリリースされる。

 

 

 メロンコリーっていうシャレ、微妙。でも中身はスゲエ。

 2枚組のフルボリュームでお腹いっぱい。発売前から前評判がかなり高く、僕はCDを買って家に着き、開封するのももどかしくディスクをセットした。

 ビリー自身が弾いているというピアノの静かな調べから、大作のオープニングにふさわしい「TONIGHT,TONIGHT」で幕を開ける。

 

                コスプレがすごい。

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 素晴らしい曲だ。まさにこのアルバムでスマパンは歴史に名を残した。サイアミーズに比べると、ギターの音が少しこもった感じはあるかな。

 ただ、MTVで豪華なこの曲のビデオを初めて見たとき、「えぇ・・・どうしたビリー!」となってしまった。だって、つるつるのスキンヘッド。

 当時僕は「きっと薄くなってきた頭髪を晒すよりはこちらを選んだのだろうな」と勘ぐった。

 ※これはまさに下衆の勘ぐりで、どうやら近親者がお亡くなりになると、このようにする風習があるとのことです。

 ちなみにリード・トラックは「Bullet with Butterfly Wings」。「世界は吸血鬼」と歌いだす。

 

           リズムは例のすたんとたん!

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 当時の彼らを囲む狂騒が、彼をしてそう歌わしめたらしい。このビデオのときはまだビリーの頭髪は健在。でもやはりじわじわと禿頭(とくとう)の恐怖がキテル気配は否めない。やはりロックスターは常にその動向や容姿を意識されているから、こういう見た目の問題はかなり深刻なのに違いない。

 それはそうと、このビデオなんかすごいよね。流石にお金がかかっている。すごいといえば、当時、ビリーの履いていた銀色のパンツがどうにも気になって仕方がなかった。カッコいいのか・・・?あと「ZERO」と書いてあるロンT。

 一方でサイドギタリストのイハはおしゃれで有名。ついには自らのブランド「ヴェイパー」をスタートさせていた。今現在は「ヴェイパライズ」に変わっている。

 

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  なんとBEAMSでこんなに展開していたんだな。「監修」というところが微妙だね。ヴェイパーの頃はデザインをちゃんとやっていた気がするけど、ブランド名変えてライセンスにしたのかね。かなり細身のイメージで、その昔このブランドの服をどっかの店で発見して試着したらパンパンで着られなかった。でもちょっと見たら今流行りのビッグシルエットじゃん。それでいいのか?

 

 このアルバムは大作にふさわしく、バラエティに富んだ曲がラインナップされていた。シングルとなった前述のバレット~の次がどことなく懐かしい感じのする『1979』。これもこれで、まさにスマパン

   

                  次から次へと曲が出来てたんじゃないかな、この頃。

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 その一方で、「並みのヘヴィーメタルバンドを軽く蹴散らすほどの破壊力」などとどこかの雑誌で形容されていた「XYZ」。

 

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 とまあ、やりたいことをやり尽くした感のあるこのアルバムでスマパンは完全に天下をとった。そして二度目の来日公演に僕は行った。ただ、関東の会場が何故か川崎市のなんとかホールという至極交通不便な場所にある場所で、駅からだいぶ歩いた記憶がある。スマパンがこけらおとしだったんじゃないかな。

 

 メロンコリーがビルボード1位に輝いたとはいえ、まだその頃は日本ではようやく知名度が上がって来たからなのか、そんなに大きなホールではなかった。しかも客も満員というわけでもない。これが本国だったらアリーナクラスだったと思うんだけど、まあ逆にかなりの近さで彼らを見ることができて幸運だったと言えるだろう。

 もう20年以上前のことだからあんまり良くは覚えていないんだけれど、確か一曲目演奏後(その曲目さえ覚えていない)に通訳の女の人がステージに上がり、ライヴの構成について説明した。曰く、このライヴは3部構成で最初は通常のセット、2部目はアコースティックセット、そして最後はロックのセットだということだった。

 オールスタンディングだったので最初のほうこそ僕は前でダイヴしたりしていたが、だんだんと疲れてきて、おとなしめの曲の時は後ろに下がって観ていたっけ。1部が終わり、休憩をはさんで2部になると彼らはパジャマ姿で椅子に座り、アコースティックギターで演奏し始めた。覚えているのはイハがソロを弾いている途中でビリーがニヤニヤしながら、急にわざとコードを転調させて、それに必死についていこうとしてイハが

苦笑いをしていたことだ。この頃の彼らは仲が良さそうだった。

  

 こうしてとんでもないアルバムのあとにはどんなサウンドが来るのか、想像もつかなかった。とにかく、これを超えるとんでもないビッグなアルバムが来るのだろうと多くのファンは期待していたに違いない。

 しかし、予想に反して届けられた新譜はほとんど派手さのない、地味なアルバム『ADORE』だった・・・。

 

メタルもロックですよ

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