半年以上前から待っていた「エイリアン・コヴェナント」ついに公開。
上記の記事で延々書いたとおり、「エイリアン」との付き合いはそこそこ長い僕。
昔はエイリアンのフィギュアが欲しくてたまらなかったんだけれど、30年くらい前はまだそんなに種類がなくて、ケナー社あたりから出ていたものぐらいっしかなかったと思う。まあ、好きな人はあらゆるものをコレクションしているんだろうけど。僕が持っているのは10年くらい前かな、アオシマから出されたこちらのモデル。
がおー!(とか言いません)
さらにはもう少し小さいシリーズ。エイリアン三形態。
もう少し寄りで。
あとは、ノストロモ号乗組員のフィギュアとエイリアン。猫のジョーンズのおまけもあったけど、やっぱりどっかいっちゃった。
さて、コヴェナント、どうだったか。
注意!ここからネタバレありますよ!
映画が始まると同時に流れるジェリーゴールドスミスのエイリアン・メインタイトル!ああ!エイリアンが始まる!
そして、少しずつ描かれるALIENの白文字。これは明らかに1作目を意識したオープニングだ。
ただ、冒頭のシーンは少し遡ったところから始まる。前作プロメテウスで結構な悪どいことをやったアンドロイド、デイヴィッドの起動シーンから始まるのだ。あっ、ちゃんとガイ・リッチーが出てる。ノオミ・ラパス出てないのにな。
で、今回おそらく色々なメタファーを通じて世界観を深めようとする意図が感じられます。例えばデイヴィッドは羊飼いから王となったダビデ像を見て自分を命名する。当然、それは明らかにストーリーに反映されている。
他にもワーグナーとかクラシックの意味ありげな曲やバイロンの詩の引用など、分析好きにはホラ、これでもかとでも言うようにペダンティズムあふれる脚本。
ま、そんなの知らなくたって別にいいと思うけど、藤原摂関家の政治や王朝文化を知らずに京都を旅するよりは知っていたほうが楽しいよね。
前半30分あたりまで、既視感バリバリの展開。つまりコールドスリープで目覚めて、謎の信号をキャッチして、惑星に着いたらそこはエイリアンのいる惑星でしたっていう。わざとやってんのか?今回のヒロインのキャサリン・ウォーターストン、長髪を下ろせば美人のはずなのになんか短髪でオバさんみたい・・・。僕「スティーブ・ジョブス」も「ファンタスティック・ビースト」も観ていなかったのでこの女優さんを知らなかった。しまいにはなんか森三中の大島美幸度が高くないか?と独りで勝手に思っていたもんだ。
さて前半はそうやって静かに物語は進んでいくんだけど、変な胞子を踏んで吸い込んだ人が寄生されるに至って、突然どどどどどどとツーバス全開状態。一気に二人が気味の悪い新エイリアン(ネオモーフつうんだと)を産んで戦闘状態に。撃っても中々死なない。そこに突然現れた謎の男が信号弾を撃ち、「こちらへ!」と合図する。
その先には黒い無数の死体が累々と重なる広場があり、その中心の建物にコヴェナント号の乗組員は避難する。謎の男はご存知アンドロイドのディビッドであり、実は彼がばらまいた細菌兵器で人類の祖先(?)であるエンジニアたちを全滅させたのだった。そしてデイビッドは10年間研究に没頭しついに完全体のエイリアンを作り出したのだ・・・。
なにそれ。卵、クイーンが産むのじゃなかったのかよ!ということはリドリーの中では「エイリアン2」以降はナシになってるのかね。だってエッグチェンバーを作ったのがデイビッドなんだから!
となるといろいろな疑問が・・・1作目で宇宙船の底にあったあの卵もデイビッド作なのか?でもエンジニアは死滅したのにどうしてそれを運べたの?クイーンエイリアンもデイビッド作?
どうしても意味がわからないのでYOUTUBEでいろいろ見ていたら、既に海外ではブルーレイが発売されており、その中の未公開映像で色々と補完しました。そうしないとストーリーが解らないというのはなんという不親切。
あと、このシリーズの特徴なのか、前作で重要な役柄だったキャラをあっさりと殺しちゃうよね。「3」では大変な思いをして救い大団円だった「2」のかわいいニュートと大活躍のヒックス伍長は不時着の衝撃で死亡。ヒックスに至っては頭部が破壊されたスケッチまで設定書にあった・・・。そうして今回のノオミ・ラパス演じるエリザベス・ショーはなんとデイビッドの人体実験の犠牲に!ヒドすぎる。
・・・と映画を見ただけではそう思えるのだけれど、前述のようにYOUTUBEで外人たちがエリザベスの死の検証を行っている動画を見た限りではどうもそうではないらしい。
ブルーレイの特典ではきちんとノオミ・ラパス演じるエリザベス・ショー博士が登場し、デイビッドを修理し、星図を確認する場面があった。
きちんとこのくだり、最初に入れてほしいよね。わざと入れてないんだろうけど。
ただ、その後彼女がポッドに入っている場面があり、ひょっとしたら何らかの原因でエリザベスは死んだのかもしれない。まあ、プロメテウスでタコみたいな生き物産んでたしね。
その後、デイビッドはひとりエンジニアの星にたどり着き、彼らを細菌兵器で虐殺。そうしてその後エリザベスの体を解剖するシーンが登場する。おそらく、遺伝子操作でエリザベスを復活させるか、または新たな生命体として再スタートを目指したのか。とにかく気持ちの悪い映像が特典には収められているようだ。
何回かそういうのを見ていると、どうやらエリザベスをクイーン・エイリアンの母体として作り変えようとしていうフシもある。それで、試作品としてのエッグチェンバーを作り、他の人間がやってくるのを待っていたというわけだ。
デイビッドがエリザベスの解剖画のスケッチを見たダニエルズに「あなたにも同じことをする」と言う。つまり、クイーンエイリアンの母体として彼女を利用しようとしていたのか。そう考えればその後の展開もなんとなくつじつまが合う。
まあ後付けで話を作っていくとどうしても整合性は無くなってくるよね。大体エイリアンってプレデターと戦っちゃって、明らかにこの話のよりも前の時代にクイーンエイリアンが南極で大暴れしてるんだからどうしようもない。当然、それは無関係なんだろうけどさ。
さてエッグチェンバーが開いてお待ちかねのフェイスハガーも登場。
昔こいつの実物大のフィギュアを手に入れようとしていた僕はどうかしていた。
そうして1作目とは違ってチェストバスターの形態を経ずして、あっという間にゼノモーフ(成体)の形になる。うーん・・・別物なのか?しかもあっという間にデカくなって逃げようとする宇宙船にすがりつく。ちなみにここで善のアンドロイドウォルターと悪のアンドロイドデイビッド(マイケルファスベンダー二役)が格闘するんだけど、最後の決着を見せないままシーンはチェンジ。
その後、ウォルターが走ってきて宇宙船に乗り込むんだけど、「どうせこいつデイビッドだろうなー」と予想がついてしまう。
そうして満を持して登場する、CGのビッグチャップ!(=成体エイリアン。ゼノモーフよりも僕はこっちの呼び名の方がしっくりくる)
は確かにあのエイリアンそのもの(背中の四本のパイプもちゃんとついていた)なんだけど、逆に着ぐるみやライブアクションモデルの方が生物感があった気がするなあ。とはいえ、このシーンは手に汗握る出来だ。緊張感はかなりある。
そうしてなんとかエイリアンを退治してコヴェナント号に戻ると、実はやっぱりエイリアンが別の乗組員に寄生していてすぐに大きくなって乗組員を襲いまくり。
このあたりのテンポが速いのでなんか有り難みがない。1作目は本当にここぞというところで出てきたから怖かったんだけど、やっぱり平成の最新作ともなるとそうもいかないよね。ぴょんぴょんと活きのいいエイリアンが機敏に動く。
あっ!僕がずうっと感じていた違和感はこれか!
動きが速すぎるのだ。人が入っていない分、CGは自由に動く。
機敏なエイリアンといのは「エイリアン2」ですでにキャメロンがウォリアー・エイリアンとして確立してしまったので以降、3のフィンチャーのドッグエイリアンといい、ジャンピエールジュネのクローンエイリアンといい、どいつも素早く動く。でも1作目のあのもっさりした感じがやっぱり不気味さを増していたのではないのか?技術不足が逆に効果を上げていることもある。ザック・スナイダーの走るゾンビは怖かったけど、やっぱりゾンビはロメロの、のろまな感じが怖いのだ。
そうそう、今回のコヴェナント、なんとエイリアンの主観ショットがあったのだ!網目を通したような映像で表現されていたけど、あんなふうに見えてるの?つうか、エイリアン目がないんですけど・・・。
さて、予想通り最後の最後でアンドロイドはデイビッドだということが明かされる。知ってたよ!観ていた半分位の人が解ってたんじゃない?
とどのつまり、デイビッドの暴走で全ては始まったということになる。それでいいの?アンドロイドは創造ができないという枷を外すためにエイリアンを作り上げたデイビッドのエゴ(そんな概念は彼にはないのだろうが)のためにこのあとの話は続くのか?彼の目的は何だ?エイリアンだらけの惑星を作ることなのか。そしてその惑星に完璧な生命体(=エイリアン)の創造神として君臨する・・・ダビデ王のように?
結局のところ、主役は一見キャサリン演じるダニエルズだが、実際はどうやらデイビッドのようだ。
映画自体のクオリティは高いと思うけれど、なんというか、スレイヤーの新作を聴いて「ああ、やっぱり安定のスレイヤーだな」と安心するように「やっぱリドリーだな」みたいな感じ。わかりにくい喩えですいませんねえ。
そうして既にリドリー(もうすぐ80歳!)はさらなる続編を画策しているらしい。
まだ作るのか!観るけどさ!
毎日駄文を書き散らし、いい気になってライティングのアルバイトに応募したら辞退されてショボン。