デフトーンズ、出るたび即買いを続けて二十年。
僕が初めてデフトーンズを聴いたのは、今まで何回か紹介している、この「7WODS」のビデオでだ。
なんだ!このかっこよさは!イントロからのワクワク感がすごい。そうしてサビのSUCK!SUCK!SUCK!SUCK!の連呼と中間部のブレイクダウン、すべてが完璧。すぐにでもマネがしたいレベルじゃないか!
かれこれ二十数年前のことだ。僕は調布のアパートに住んでおり、モラトリアム生活を満喫していた。就職もせず、若さという不渡り確実な手形だけを元手に、バンドでメシを食うなどという途方もない夢を僕は見ていた。
まあそれは青春の蹉跌としてほろ苦く僕の心の片隅に巣食っているだけで、皆さんには一ミリも関係ありません。興味もないでしょ。それよりもデフトーンズ!
どうして調布のアパートを思い出したかというと、そのアパートはMTVやテレビ神奈川が視聴可能で、ネットが普及する以前の洋楽の情報源としてかなり重宝していたのだ。
そういう環境で初めてみたビデオが「7WORDS」だった。僕は新宿マルイヤング館の隣にある狭い雑居ビルに入っている、ほぼ毎週通っていたレコファンへと走り、すぐに1STアルバム「アドレナリン」を買った。
ジャケットが・・・。
一曲目からの「BORED」がいきなりのノコギリでギコギコと切り刻むようなステファンの奏でるリフで始まり、重く厚いバンドギターサウンドとヴォーカルのチノの少しディストーションがかったヴォーカルが圧倒的に迫ってきた。
同時期のKORNと同様、速い曲は一切やらずにグルーヴとリフで引っ張っていくスタイルはニューメタルの新時代の到来を告げていた。これにリンプビスキッズが加わって、シーンはとんでもない活況を呈するわけだ。アルバム全体はかなりとっつきにくいかも知れない。でも収録曲の「ENGINE NO9」をスーサイドサイレンスみたいな若いバンドがカヴァーしており、なんだか嬉しくなる。今はなきミッチが歌う。
ただ、このファーストアルバムは完成度においては何かが足りない気がする。KORNが1STで既にそのスタイルを確立していたのに比べてデフトーンズはまだ模索中という印象なのだ。
しかし、2NDの「アラウンドザファー」で大化け!
サウンドはより太くなり、とっつきにくいリフはさらに凶悪になるが、サビで叙情性を表現するというデフトーンズ節がここに確立!一曲目の「マイオウンサマー」を爆音でお聴きいただきたい。SHOVE IT!SHOVE IT!
デフトーンズの凄さはどのアルバムもいわゆる「スルメ盤」であるということだ。彼らのアルバムは一度聴いただけではその全体像や凄さをリスナーは掴めない(少なくとも、僕はそうです)。何度も聴きこむうちに、少しずつその深さが理解でき、その都度新鮮な驚きと感動が得られるのだ。
大抵ロックバンドって時期によってこのアルバムはイマイチ・・・っていうのがあるじゃないですか。KORNだってHEADが抜けてしまってからの失速が甚だしかったし(あくまで個人の感想ですよ。最近再加入してまた良くなっている)、リンプもウェスが抜けてからは酷かった。まあ、リンプは『ゴールデンコブラ』で大復活を遂げたけど。
そういう中でのデフトーンズは一貫してスタイルを崩すことなく、毎回高いクオリティのアルバムを僕らに届けてくれたのだ。
2NDアルバムに戻ると、ブレイクポイントだと思う名曲「BE QUIET AND DRIVE(FAR AWAY)」は文句なしにカッコいい。リフなんて三つくらいしか使っていないのに、うねりのあるグルーヴ感がとてつもない勢いで迫ってくる。
こういう曲をバンドでやりたいなあ。やるにはもういい年だけれど。
つづく
メタル!