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アタリ・ティーンエイジ・ライオット! デジタルハードコア1234!

     まず、こちらのバンドのジャケット(裏表)をご覧下さい。

 

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「うわ、ダサあ!」と思えば、正常な感覚です。このバンドの名前は「ULTRA VIOLENCE」。ウィキペディアの日本語版にはもちろん載っていないので、海外版ウィキをグーグル君に翻訳してもらったところ、「超暴力」と表示され、少し笑ってしまいました。同名のメタルバンドがいるのですが全く無関係でしょう。このアルバムの曲はこんな感じ。

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  わあ、シンセの音古ーい。

 それにしても、いったいどういうきっかけでこのCDを買ったのかまったくもって覚えていないのだ。とにかくこのバンド名のインパクトと、当時(一部の人から見て)飛ぶ鳥を落とす勢いであったイヤーエイクレーベルからの発売というだけで買ったのかもしれない。サウンドとしてはインダストリアル。とにかく印象的だったのはブンブンブンブンと鳴り続けるヘンなベース音。そうして単調な曲構成。せっかく買ったのだから無理矢理聴こうとするんだけど、結局聴き通せない。確かもう一枚、ヘリコプターが砂漠を爆撃している絵が描かれているEPも持っていたんだけど、見つからない。見つけたら載せます。

 まあ、系統とすればいわゆる「デジタル・ハードコア」なんだろうけど、最近のアルバム(といっても10年くらい前)になるとトランスとか、ガバとかさらに色々と吸収して更に訳のわからないサウンドになっていた。でも、彼らはこれを1994年に出していて今回の主役のアタリ・ティーンエイジ・ライオットに先んじてこの手のサウンドを鳴らしていたのだ。受けなかったけど。

 

 まあ、これはこれでどうでもいいんだけど、なんといってもこちら。アタリ・ティーンエンジ・ライオット!(以下ATR

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  このバンドもどうやって知ったかよく覚えていないんだけど、雑誌か何かだろうか、このバンドの中心人物アレックエンパイアのインタビューを読んだからだろう。もう20年以上前になるのか・・・政治的主張はともかくとして、彼の標榜するデジタル・ハードコアという新たな音楽の呼称にひかれ、1STアルバムを購入。ブッ飛んだ!

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「うおおおおー!こういう音楽が聴きたかったんだ!」と当時心底から思ったものだ。20年たった今でも中々これを超えるサウンドを鳴らすバンドを、僕は知らない。異様に速いBPMに激しいスレイヤーのリフのようなディストーションギターのサンプリング(後に実際にスレイヤーと共作した)。パブリック・エネミーがスレイヤーの「ANGEL OF DEATH」をサンプリングしたのも衝撃だったが、ATRのそれは軽くそれを凌駕している。とにかくドイツ人気質がなせる濃密な情報量と、嵐のような高速ブレイクビーツ、日本のアニメの影響。この一曲目の「スタート・ザ・ライオット」ではおそらく、海外版の3×3EYSの声をサンプリングしており、アニメチックな「ヤクモー!」という叫び声が曲の終わりに響き渡る。僕はこの「ヤクモ」を「よくもー!」だとしばらく思い込んでいた。

 

  ちなみにこれを娘が小3の時に聴かせたところ「すごいね!かっこいいね」と即順応。しばらく僕と娘の間でATR大流行。その結果、一曲目の終わりに一瞬響く(上のビデオで言えば3:36のところ)「デン!」というノイズ音や「ドッドンタ、ドカタタタン」というブレイクビーツのフレーズがあるのだが、娘は僕が油断している時に突然「でん!」とか「ドッドンタ、ドカタタタン」とかを口で歌って笑わせてくるのだ。

 

 このアルバムの4曲目までの緊張感がものすごい。あえて連続して載せますから、是非大音量で聴いてください。最初の狂ったようなギターのサンプリングからの「バングユアヘッド!」のかっこよさ!「イントゥザデス!ゴー!ゴー!」

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そうして息つく暇もなく「レイバーバッシング!」なんだこの曲は!いつ聴いてもすげえパワーだ。

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1:04あたりの機関銃の音にかぶさって「ウゥウウウー」と鳴るサイレンの音はこれも娘のお気に入りフレーズ。風呂に一緒に入っているときこれを娘が鼻歌で歌っているのを聴いて爆笑。

 でもATRはまだ許してくれない「SPEED」   

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 ここまでの勢いを持ったアルバムはそうそうないだろう。聴くたびに新鮮な驚きに満ちたアルバムだ。 

 

 もし興味を持たれた方は、ATRの歴史についてこちらのサイトが非常に詳しいです。

qetic.jp

 このアルバムにあまりにハマり、期待がパンパンに膨らんだままセカンドアルバムを購入した僕。一曲目がこれ。

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 相変わらずすごい。その後もアルバムを何枚か出したATRだけれども、僕はそれ以外にアレックエンパイアのソロとか、さらにはビョークがミックスをATRに依頼した曲の三枚組EPも買った。いつかビョークのことも書きたいけれど、彼女はこういう新しく、過激なサウンドに対する嗅覚は一級だ。だって、スカンクアナンシーとかカーカスにまでリミックスを依頼しているのだもの。

 

 そうそう、日本の不滅のロックンロールバンド「ギターウルフ」のミックスもATRやってたわ。ライブアルバムにおまけがついていた。

LIVE!!

LIVE!!

 

 ギターのセイジさんは当然ATRのことなど知らず、何かのインタビューで「どうしてATRにリミックスしてもらったんですか」と聞かれ、「向こうが言ってきたから」と答えていた気がする。

 

 再結成後のアルバムはかなり良かったけれど、やはり正直に言えば、僕は1STを超えるアルバムを彼らは作れていないと思っている。でも、また出れば買うんだろうな。

レヴォリューション・アクション!

 

継続は力なり

kakuyomu.jp