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ナインインチネイルズ 一生聴く 2

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 さて昨日の続き。昨日はトレントの担当した映画のサントラまでを書きましたが、今日はその後に出た大作『ザ・フラジャイル』から。

ザ・フラジャイル

ザ・フラジャイル

 

 

エスの名盤と同様の名前を持つこのアルバム、二枚組のフルボリュームだけれど、その完成度は非常に高い。

 これを買ったのはたしか渋谷のタワーレコードだったと思うんだけど、僕が買った次の人もこれを買っていて、NINの新作ということで文字通り飛ぶように売れていた気がする。

 期待値マックスでCDをかけると「ざざざざ、ざざざざ」とアコースティックギターのシンプルな半上がりのリフが飛び出す。そうして徐々に電子音が重ねられていき、突然太いディストーションギターが轟音で鳴り響く。「うぉお!きたきたきた!」僕は大興奮。一方、バスドラはどん、どん、どん、どん、どん、どん、どん、どん、と変拍子の複雑なリズムの中、地中深く杭を打ち込むように太い音の塊を連打する。 

                   

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「トゥファックアップ、トゥケアエニモー!」のサビが強烈。

セカンドアルバム1曲目の「MR SELFDESTRUCT」の系列に連なる曲だが、とにかくこの一曲で鳥肌がたった。「ナインインチネイルズ、すげえ!」と。ブレイクの合間に入るスネアの絶妙なタカスカ!というフィルインや一旦ブレイクした後の刃物が擦れる音などが轟音ギターの影に隠れ、しかしひっそりと細部に渡って緻密に共鳴している。

 このアルバムは曲数が多いがこの曲が一番お気に入りだ。

 名盤というのは得てして5曲目くらいまでの充実っぷりが甚だしいが、このアルバムもその例に漏れず、信じられないテンションで次から次へと名曲が展開される。

 1曲目の激しい音像のあとに、ゆったりとしたテンポで流れる曲が披露されたあと、トレントレズナーはこの曲をぶち込んでくるのだ。

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 曲もすごけりゃPVも凄い。最後のディストーションのかかったベースのブリブリいうフレーズにピアノが絡んでくる美しさこそNINの真骨頂。なんでこんな曲が作れるのだろうか。

 

 さて、インストなどを織り込んで全体的に派手目の曲が少ない中、この曲『スターファッカーINC』だけが異彩を放っている。上記のビデオとは雰囲気も全く違い、NINのバッドテイストが遺憾なく発揮されている。

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 タイトルからしても当時のトレントのストレスが爆発したような感じだろうか。PVの最後に大オチがあるが、僕が印象的だったのは途中、怪しげなアトラクションでボールをぶつけて胸像を壊すところ。明らかにスマパンビリー・コーガンがモデルの(当時彼が着ていた「ZERO」のプリントされたシャツをご丁寧にも着ている)人形を粉々にするのだ。もちろんトレントはビリーと仲が悪いわけではなく、当時はギターミュージックの可能性についても意見を交わすくらいの間柄だったはずだ。むしろロックスターのアイコンとしてのビリーが登場したと思うのだけれど、まあNINらしいといえばらしいか。そのあともコートニー・ラブを戯画化した人物が出てきたりやりたい放題。

 

 その後ライヴアルバム、『アンド・オール・ザット・クッド・ハヴ・ビーンが出て、もちろん買ったのだが、ライブよりも僕はこの表題曲があまりに美しくて感動した。

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2005年に『WITH TEETH』をNINは発表する。僕は今までとは違う意味で衝撃を受けた。あまりにコマーシャルな内容に少し嫌気がさしたのだ。この曲なんか『ユーリアリーガットミー』じゃないか!パクったのか?わざとか?

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 ちょっと僕の今までのイメージとずれたNINに戸惑った僕はアルバムを買うのを控えてしまった。

 しかし、しばらく経ったあとに、この曲のPVを見た。サウスパークっぽいトレントが宇宙で生活している。ラストに流れる歌は一体なんなのだろう。

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 ああ、やっぱりNINはいいなあ、と思い既にかなり値が下がっていた中古の『WITH TEETH』を購入する。すいません、素晴らしいアルバムでした。聴きこむうちにだんだんとこのアルバムを気に入った僕、満を持して発売されたライヴDVDを予約購入。

ビサイド・ユー・イン・タイム [DVD]

ビサイド・ユー・イン・タイム [DVD]

 

ただ、この時期のメンバー、あんまり好きじゃないんだよな・・・。

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昨日も書いたが特に、このツアーのギタリストのアーロン、やたら暴れているんだけどあんまりカッコいいアクションに思えないし、むしろなんかうざったい(好きな人、すいません、個人の感想です)。何より、以前のメンバーのロビンが素晴らしかったのでやはり「ロビンが良かったなあ」と思ってしまうのだ。まあ、大好きな『SOMEWHAT DAMAGED』のライヴが入っているし、スタジオセッション風景も収められていて、コンテンツとしてはかなり充実してはいます。

 

では、また続きはあとで。

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