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90年代以降のロックを振り返る試み 4 スラッシュメタル アンスラックス/SOD

   突然のカミングアウトだが、僕はスコットイアンに似ている。

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 まあ、別にハゲているわけでもないし、ファラオみたいなヒゲをはやしているわけでもないんだけど、眉毛の感じとか、目の感じとかが自分でもそっくりだと思う。特に、若い頃のイアンね。だって初めてアンスラの写真見たとき「あれ、俺このバンドにいたっけ?」と思ったくらいだもんね。だから、たまに僕のカオナシ写真を載せていますが、そこに彼のイメージを重ねてくれれば大体あってます。

 そうしてまずは僕の持ってるアンスラCD。

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1STの「フィストフルオブメタル」はレコードで持ってたんだけど、例のごとくどっかに行ってしまった。彼らとの最初の出会いは以前にも書いたんだけどその昔日曜深夜のメタラーのお楽しみ「PURE ROCK」だった。そこで流されたマッドハウスに度肝を抜かれたというわけだ。

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なんだこのギターの音は!極限までのザクザク!こんなの聴いたことない!ビデオもマッドハウスというくらいだからかなりトチ狂っている。

すぐに2NDアルバムの「スプレディング・ディジーズ」を買う。わお!スゲエかっこいいじゃないか!

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特にやられたのは最後に収録されている「ガンホー」だ。

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1:58あたりから曲が始まるんだけど、とにかく速い!デスメタルの速さではなく、スラッシュメタルの速さ!特に、スコットの超高速16分音符の刻みとチャーリー・ベナンテのツーバス踏みっぱなしに感動した。たしか彼の使っているフットペダルって木製だったような話が当時あったがどうなんだろう。

 メタリカの「ダメージインク」をも凌ぐスピードに圧倒された。そうしてなんとかギターをコピーしようと試みたのだが、あまりに速すぎて途中で腕が疲れて弾けなくなるくらいのクランチリフの洪水。一体いくつ16分音符を刻んでいるのだろうか。昔この曲のタブ譜を見たときずうっと6弦E音が000000という数字で並んでいるのに笑ってしまった。

 アンスラックスメタリカメガデス・スレイヤーと比べると少々毛色が違っていた。そもそもステージ衣装のバミューダショーツというところから当時物議をかもしていた。あれがメタルかと!

 でも彼らにしてみればスタイルなんか関係ないだろうし(ただし、写真によってはライダース革ジャンに迷彩ズボンという出で立ちもあり微笑ましい)、その音楽性も出身地のニューヨークという土地柄かハードコア寄りの部分があって、さらにはユーモアのセンスがプラスアルファされておりそれが彼らの独特の魅力となっていた。

 このあと名曲ぞろいの「アマングザリヴィング」

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が発売され人気が爆発する。さらにギターの音は凶悪さを増し、これぞスラッシュメタル!という典型のひとつとなる。

 あとー、アンスラって大体一曲目、タンタンタンタン!っていう頭打ちの曲だよね(つぶやきシロー風に)。

 で、彼らはその後アイムザマンというラップよりのおふざけ曲をリリース。

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メタルとラップの融合は彼らが先駆で間違いない。スコットはずうっとパブリックエネミーのTシャツを着ているし。そうして彼らのラップ好きが高じてついにはそのパブリックエネミーと共演。

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これは今聴いても素晴らしい。リンプやキッドロックはこういうのを聴いて育ち、自分たちの音楽に取り込んだに違いない。で、僕はこのあたりからパブリック・エネミーにもハマって彼らのアルバム「ブラック・プラネット」をヘヴィローテションで聴いていた時期があった。バーン・ハリウッド・バーン!ドンビリーブザハイプ!

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懐かしいなー。パブリックエネミーはスレイヤーのサンプリングとかしていてメタルとの親和性も高かった。他のアルバムも揃えたし、NWAとか聴いたり、そこからビースティ・ボーイズ方面へもつながっていった。でもそれはまたあとで。

 

 来日公演、行ったよ。たしかパーシスタンスオブタイムのツアーだったかな。この頃になると、スコットのギターの音がもう行き着くところまで行っていて、ギター一本でもしょぼいメタルバンドに拮抗するんじゃないかと思える程のパワフルさ。

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 スゲエ音。メタリカメガデスがだんだん軽いトーン(一般的には重いが)になっていく中で、スコットはスラッシュメタルのギターの音の追求に自覚的だった。

 順調にその後もアルバムをリリースしていた彼らだったが、あるとき、突然ボーカルのジョーイ・ベラドナが解雇される(どうでもいい話だけど、大学時代、バンド仲間で飲んでいて、トイレに行くときにいちいち「尿意ベラドナ」といって席を立つのが決まりだったのだがあれはなんだったのか)。で、その後任に元アーマードセイントのジョンブッシュが抜擢される。しかしリードギターのダニー、なぜかスイスで時計職人になるために抜けてしまい、アンスラ四人組となってしまう。サウンドもスラッシュメタルから流行の兆しを見せ始めたモダンへヴィネス路線へと変わる。ソロがないアンスラって!

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 このころはスレイヤーもテンポダウン、メタリカも「ロード」「リロード」をだしていて、多くのスラッシュメタルバンドは変革や試行錯誤や迷走の時期に入っていた。

 僕はなんだかこの曲が入ったアルバム「ストンプ442」が若手のニューメタルのマネみたいな感じがして最初は好きになれなかった。

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 それで「もうアンスラ聴かないな」などと思いアルバムが出てもチェックしないまま数年が過ぎたあるとき、たまたまアマゾンで「VOLIME8」アルバムが安く売っていたのでさしたる期待もせずに買ったのだった。そうしたらこれがものすごい傑作じゃないか!

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 僕が間違っていた。彼らは才能の塊だった。思い直してストンプ442も聴いてみるとじわじわとその良さが分かってきて僕の中で再びアンスラ熱が高まり、その後も聴き続けているわけだ。ただ、最新アルバムは買ってません。なんとなくね。

 それはスレイヤーと同じでPVがやたらと残虐だったというのもある。屈強な男がひたすら拷問を受けるという不快感を与えるために作ったとしか思えないようなPVなのだ。僕はスプラッタムーヴィーは大好きなんだけど、それは作り物であり、どこかしらキッチュな雰囲気を漂わせているから好きなのであって、リアルな人体破壊を見たいわけじゃない。そうは言ってもまたあとで買うんだろうな。

 

 さて、アンスラックスといえば忘れていけないのはギターのスコットとドラムのチャーリーが在籍していたS.O.D.の存在だ。こちらで昔書きました。

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 最初はレコードで買いましたよ。そのメガデス関係のものがいくつかあったので載せます。メガデスの「WAKE UP THE DEAD」のカップリングが例のブラックフライデーのライブだったんだけど、ドラムのガルサミュエルソンがどんどん走って最後とんでもない速さになっていた。

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               CDはこちら    

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 SODといえばやっぱりこのライブだろうね。いつ見てもヴォーカルのビリーはよく死ななかったなと思う。March of SODはいつ聴いても心躍る。スコット、カッコいいぜ。当時、僕似たようなカッコでスコットとしてSODバンドのライブやったな。  

      

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 2:10でビリーミラノがこの高さからのミラクルダイヴ!その後、ステージに戻る途中、観客を殴打!もう滅茶苦茶。ここいいた人は歴史の証人だな。

 ディストーションベースがトレードマークののダン・リルカは元アンスラのベーシストで脱退後ヌクリアーアソルトという良質スラッシュバンドを結成したのだが、そのバンドも刺激が得られないということで今度はブルータル・トゥルースを結成。これもいいバンドだよ!  

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 さて、ようやくスラッシュ四天王が終わった。スラッシュメタル、最高ですね。次回予定はジャーマンスラッシュメタルです。

 そうしてこの小説へと辿り着いた僕。

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