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90年代以降のロックを振り返る試み 3 スラッシュメタル スレイヤー

 メタリカメガデスとくれば当然そのあとにはスレイヤー/アンスラックス。この4バンドは日本だとスラッシュ4天王と呼ばれ、海外だと自らBIG4と名乗りライブツアーまでやっている。今ではどのバンドもかなりのビッグネームであるけれど、(そういえば最近メガデスとアンスラは一緒に来日してた。行けなかったけど)まだ20年以上前、僕が聴き始めた当時は異端も異端だった。まずはスレイヤーから。

 

 とにかくスピードとパワーを追求していたバンドが好きだった僕は、スレイヤーの「ケミカルウォーフェアー」

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が一番速い(今聞くと全然なのだが)という噂を聴き、スレイヤー恐るべし、と勝手にわけのわからぬ畏怖を抱いていたものだった。

 そういえば友人たちの間でこの「ケミカルウォーフェアー」という曲名を言う時には必ず「スレイヤーのケミカルウォッシュジーンズがさあ」と言ったり、スレイヤーのライブビデオみんなで鑑賞中この曲が流れたときに、みんなでサビの部分を一斉に「ケーミーカールウォッシュジーンズ!」と叫んだりしていた。懐かしき学生時代。

 そのケミカルウォッシュジーンズを聴く前にまず買ったのは永遠の名盤「レイン・イン・ブラッド」。 

レイン・イン・ブラッド

レイン・イン・ブラッド

 

  生涯のベスト10に入るアルバム。もはや古典ですね。全曲ファストナンバー。デイブロンバードがずうっとドラムをツテツテいわせている。若い人が聴くと逆に古臭く感じられるぐらい昔のアルバムになってしまったが、僕は今でも定期的にこれを聴いては元気をもらう。

 特に最初の三曲の流れは完璧。ピースバイピースの速さに当時はビビったもんだ。もちろんコピーバンドもやりました。僕がベースで嘘の英語を早口で歌ったっけ。ただ、要所要所の大事な単語、例えば「DIE NICE!」とか「You have no choice of life of death」とか「Do you wanna die!」みたいなところはしっかり覚えて歌った。

 そうそう、「エンジェルオブデス」をやったんだけど

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ドラマーが最後のツーバス連打を叩けないのでフロアタムで「どぅるるるるるるるる」とやっていたのが少し残念だった。

 それで僕の持っているスレイヤー関連。

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1STのショウノーマーシーが行方不明(;_;)

スレイヤー好きなんだな、僕。CD出るたびに買い続ける数少ないバンド。他にそういうバンドって、カンニバルコープスとデフトーンズくらいになってしまった。

カバー曲の「インナガダダヴィダ」が入っている映画「レスザンゼロ」のサントラや、アイスTとの共演「ディスオーダー」が入っているジャッジメントナイトのサントラ(このサントラは名盤。参加メンバーがそうそうたる)

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も出るたび購入した。この曲はバンドでもやったなあ。

 ライブも行きました。確か4THの「SOUTH OF HEAVEN」のときのツアー。オープニングでいきなりのレイニング・ブラッドの「だだだん!」を、デイブロンバードが立ったままフロアタムを全力で叩いたのを見たときの鳥肌!両腕を上げて「うぉおおおー!」と絶叫した。

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 このスレイヤー(ジェフハンネマン・RIP)にしか作れないリフ!

 僕の小4の娘が幼稚園くらいの時に最初に覚えたスレイヤーの曲がこれ。彼女は今でもたまに僕がギターでこの曲を弾くとすぐに「スレイヤー!」と反応する。

 僕はあんまりこの曲が好きだったのでそこそこ(ほんとにそこそこ)カクヨムで読まれた僕の小説『ヘビーメタルと文芸少女』という作品の中の「第6話」でこの曲を弾く場面を一度は書いたのだけど、なんだかしつこくなるので割愛した。

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せっかくなのでその場面をここに披露いたします。興味のない方はすすっとスルーしてください。

 主人公のユリカが楽器屋でギターを弾きまくる場面の直前です。

 

 

あのギターの試奏したいんですけど。」

そう言われた茶髪の店員は、女子高生がこれを?という表情を隠そうともせずにベラ・ルゴシを壁から外した。

こちらへどうぞー」

と投げやりな態度で3人を試奏ブースへと先導する。

「一度チューニングしますんで。」

と店員は手馴れた手つきで音を合わせ始めた。そして、シールドを取り出して

「マーシャルでいいっすよね。」

と勝手にアンプを決定し、ジャックを差し込みボリュームを上げた。

ざん、ざん、とミシミソシミのEマイナーコードを叩いて、すぐに適当なペンタトニックのソロをこれ見よがしに弾いた。店員の態度はともかく、かなり太くて良い音だ。

「はいどうぞー」

と自分のテクを女子高生に見せつけて自尊心を多少満たされた店員は、先ほどよりは愛想よくマヤへギターを手渡した。

「ねえ、ちょっと流れで弾いてもいいかな?」

マヤはいたずらっぽい目でユリカに同意を求める。もとよりユリカに断る理由はない。むしろマヤがギターを弾くところを間近で見られるのが嬉しかったので

「どうぞ、どうぞ、お願いします」

と一も二もなく返答した。

ベラを抱えたマヤは椅子に座ってズンズンズンズンとEコードを確かめると、ユリカの方へ向き直り、ニヤニヤしながら突然

「だだだん!・・・だだだん!・・・」

と声に出した。

ユリカとソメノはそれがすぐに何かを理解したが、茶髪店員はすぐに弾かないマヤを訝しげに見ている。

だだだん、と口に出した5回目に合わせてマヤの手からスレイヤーの「レイニング・ブラッド」の禍々しいリフがこぼれ出した。

 

ダダダ! タラリラーラリラーラリラー

ダダダ! タラリラーラリラーラリラー

 

ユリカは合わせてケリー・キングのパートを弾きたいくらいに高揚した。マヤは正確なピッキングと運指で、レイニング・ブラッドの高速かつ複雑なリフに移り、一通り弾き終わると今度は続けざまに様々なリフを思うままに奏でた。

店員はあっけにとられた様子で見ていたが、それを尻目にマヤはユリカにギターを手渡した。

「いい音。これいいギターだよ、さあ、どうぞ。」

 

 とまあ、こんな感じでした。すいませんねえ。

 それにしてもギターのハンネマンがあの世へ行き、その後にエクソダスのゲイリーホルとが入るとは。まあ、昔からの盟友で自然な流れだろう。さすがにこの間出した「リペントレス」(このアルバムのジャケットがデカすぎて僕のCDラックに入らない)

リペントレス(スペシャル・エディション)(初回限定盤)(DVD付)

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 では作曲に携わっていないが、もし彼の作った曲が次作に入るとしたらいったいどういう化学変化が生まれるのだろうか。

 あと、このアルバム絡みのプロモが過激すぎる。ここに載せませんが、孤独の殺し屋シリーズみたいになっていて(ダニー・トレホが出てくる!)ものすごく残虐に人が殺される。ここまでやっていいの?というくらいのスプラッタ&暴力描写。しかしだからこそブレないスレイヤー。