音楽と本

僕のカルチャーセレクトショップ

映画「メッセージ」観ました。 地味系感動SF(主に娘持ちに対して)でした

ちょいちょい触れているが僕には中1と小4の娘がいる。どちらも可愛いんだけど、小4の方は色々と創作意欲とか音楽センスとかがかなり僕の方のDNAを受け継いでいるらしく、あれこれとチャレンジしている。時には夜僕が帰ってきて(家のものはみんな寝ている)僕のタンスをふと見ると、このような絵がはさんであったりする。

f:id:otominarukami:20170523205135j:plain

ルドンの絵みたいだと褒めるときょとんとしていた。

まあそれは親ばかなんですが、娘はどうしようもなく可愛いわけだ。その娘が一緒にメタリカとかスーサイドサイレンスとか岡崎体育とかを平然と受け入れいているのだからなおさらだ。

それできのう何の気無しに映画情報系のサイトを見ていたらいつの間にか「メッセージ」が公開されているのに気がついた。

www.youtube.com

ブレードランナー2049」を任されたドゥニ・ビルヌーヴが監督した作品。去年あたりに予告編を初めて見て、ぜひこれは見なければ!と思っていたのですぐ今日見に行ったよ。

 近くのモールに入っているシネコンに行くとちょうどメンズデイで、観客は主におっさん。ぼくもおっさん。平日の午前中だけど100人くらいのキャパで20人くらいいたから結構入っているんじゃないのかな?

 スパイダーマンとかローガンとかパワーレンジャーとかのハードコアな予告編を色々見せられてもうお腹いっぱいになる。まあ、松竹系ではないので歌舞伎役者が出てきて訳わからないデッド邦画の宣伝を見せられるよりはマシだった。

 

     注意!ここからネタバレありますよ!

 

 冒頭、主人公の言語学者ルイーズは娘と幸せに暮らしているが、どうやらシングルマザーのようである。一瞬結婚指輪もしているようだが、それは思わせぶりに映される。もう、僕こういうシーンでじいんときてしまう。娘関係はダメだってば!

そしてかわいそうなことに娘が何らかの病気(おそらくガン)で死んでしまう。

 そして場面は何事もなかったようにルイーズが大学で言語学の授業を始めるところへと変わり、その授業開始後巨大なバカウケ型の宇宙船(どんなコラボだ↓)

www.oricon.co.jp

の到来を告げる緊急ニュースが世界中を駆け巡り、授業どころではなくなってしまう。

 で、ルイーズはその専門性を買われてエイリアンの言語を解読するようにフォレスト・ウィテカー演じる大佐にスカウトされ、宇宙船に突入する。フォレスト・ウィテカーが画面に出ると僕はどうしても彼の目の大きさのアンバランスさが気になるんですがどうでもいいよね、そんなこと。

 いつものとおり事前情報や原作は一切知らないのでそこでいきなり宇宙人が出てくるとは思ってもみなかった。エイリアンの造形ってもう出尽くしているから、作る方も大変だよね。どんなのが出てくるのか、と思っていたら、でっかいタコみたいなのが出てきた。まるでH.G.ウェルズの宇宙戦争の挿絵の宇宙人に原点回帰! 

 まあ、ちょっとちがうか。もうすこしマングローブ感があったかな。でもインパクトはありませんでした。ただ、宇宙船内部へと入っていくまでの過程をかなり緊張感たっぷりに描いていたので退屈はしない。ヘプタポッドと名付けられた彼らと必死にコミュニケーションしようとするルイーズと数学者のジェレミー・レナー演じるイアン。音声でのコミュニケーションは無意味と考え文字での疎通にスイッチすると成功!彼らから円形の様々なメッセージを受け取り、解読開始。

 しかし、このあたりで僕はふと思った。

 ・・・地味だ。

 これ絶対金返せって言うやつでてくるだろうな。とにかく淡々と物語が進んでいくのである。まあ、途中トチ狂った兵士がテロを起こしたりもするんだけど、そんなに派手に動くわけでもない。ただそれをきっかけにストーリーは展開するんだけど、このあたりからルイーズは色々なイメージがフラッシュバックするようになる。どうやらそれは彼らの言語を理解することにより、彼らの思考法を会得し始めたことに関わりがあるらしい。つまり他言語を理解することにより、新たな思考法を獲得する、という会話の伏線通り彼女はヘプタポッドの考えを理解してゆくのだ。そしてとうとう、時制のない言語を使う彼らが時間を超越した存在だということを知る。そのため彼女もまた時間を超越し未来が見えるようになる。

 

 ここらあたりで頻繁にフラッシュバックされる娘とのシーンや会話の意味が明らかになってくる。つまり観客が最初に見せられていたのは未来のシーンで実は娘はこれから生まれるのである。そしてその死を知っているにもかかわらずルイーズはその未来を受け入れる。クリストファー・ノーランの「メメント」とか「インセプション」「インターステラー」のように、何度か見るとなるほどと思うように作られている。そういう複雑な構成を好む観客にとってはよい作品だ。

 ただ、こういう時間軸が入り混じる映画って一方で「わけわからない」という観客を作り出し、それが批判の種になる可能性もある。実際、かなり否定的な意見も目に付くし。まあ、それもわかる気がする。久々にこういう地味なハードSFを見たという思いはあるもんね。僕としては正直、すげえ面白かった!とはいえないかなあ。でもブレードランナーは予告編がすごかったから、頼むよ!

 

 さて、僕はむしろ、ルイーズがその未来予知能力を使って中国の将軍を思いとどまらせたあと、(珍しく最近の映画市場を無視して中国が悪役っぽいなあとおもったら、最後は英断を下した偉人みたいな感じで将軍が出てきた。こういう原作なのかな?不勉強ですいません)イアンとの生活が描かれた場面が刺さってしまった。「ダディー!」と嬉しそうに話す娘。ここで僕の現在の生活とシンクロして一瞬ウルッとしてしまった。だって娘もまだ「パパ大好きー!」とか言ってくれているんで。けれど、映画館で泣くおっさんはナシでしょ。こらえましたよ。

 それにしてもこれは娘持ちならみんなそう思うんじゃないか?きっと子供が出来る前のぼくなら「なんでぇ」くらいの感想を持つに違いない。その点、僕も色々ヘンなことも書いてますけど、弱いんだなあ。

 

 観ようかどうか迷っている人は、レンタルでもいいかも・・・。でもくれぐれも地味だということをお忘れなく。

 

 映画を見終わったあと、子供の服を物色していた僕は、あるショップの店員にびびる。その女の子は髪をピンクに染めていたのだが、まあそれはいいとして、なんと眉毛までピンク色に染めていた!言葉ではうまく伝わらないんだけど、違和感がスゲエ。