音楽と本

僕のカルチャーセレクトショップ

ゆめはゆめでも、悪夢みたいなのもある、「音楽ファンタジー ゆめ」

      f:id:otominarukami:20170516134301j:plain

 

 数年前、子供がまだ小さかった頃に、妻が昔よく見ていたというNHKの音楽番組「音楽ファンタジー ゆめ」のビデオを集めていた。自分の体験を子供にも追体験させたかったらしい。僕は一度も見たことがなかった。

 DVDでは入手困難であったので主にVHSを探し、アマゾンやオークションで買い集めた。中にはそこそこプレミアがついているものもあって、なんでこんなにするの?と思いつつ、子供が結構見ているのでポツポツと入手しては、ハードディスクにダビングし、子供にせがまれると再生していた。

 「みんなのうた」のようなもんかな・・・と最初は思っていた。基本的にはクラシックの名曲を現代風にアレンジして、それを当時としては最新のCGイメージビデオに乗せて流す形だった。

 ほとんどは毒にも薬にもならない、子供向けの他愛ないものがあった中で、僕はひそかにとんでもない作品があるのに気づき始めた。

 まずはこのラデツキー行進曲

f:id:otominarukami:20170516134703j:plain

有名な曲でよく吹奏楽楽団でも演奏される。僕も高校生の時は吹奏楽部だったからよく演奏したものだ。それはそうとして、気づきました?なんかヘンな人が写っているでしょ・・・。動いているこの人はもっとすごい。

 

 始まって一分くらい、いきなりの顔。しかも不気味に無表情。そして当時のCG技術の限界。地面から湧き出るシルバーの得体の知れない生き物。そいつらがモーフィングのように表情を変えて踊りだす。

あまりのシュールさに、気持ち悪さが勝る。当時の子供はどういう印象を受けたのだろうか。精一杯のCGを何度も使いまわしているので映像化された悪夢を無理やり見せられているような錯覚に陥る。最後はシルバーモンスターがバトルを始め、一方がボコボコに叩かれて終わる。なんだこれ!

 これはこれですごいのだが、このナンバー6の巻にはさらに強烈なクライマックスが待っている。それがこれだ。

f:id:otominarukami:20170516135432j:plain

もう、絵ヅラからして狂気が感じられる。お母さんの顔が、何故か不気味に削り出されているではないか。なんだよ、この横線・・・。しかし、実際の映像は想像をはるかに越え、ブッ飛んでいた。 

 旅行好きの家族が世界中に飛んで、何故か手弁当を食べるのだが、お父さんいつもおにぎりを高速で目に当ててるだけ。家では狂ったようなスピードの貧乏ゆすり。しまいには地球は行き尽くして月にいっちゃう。一瞬映るロケットの中では家族は首だけの存在に成り果てている。そして当然月でも高速おにぎり目アタック!

 初めてこれを見たときは子供と大爆笑。

 お風呂で娘に「これなーんだ」と目におにぎりを当てる動作をして「ピアノ協奏曲!」と言わせる不毛な遊びが流行ったもんだ。

監督はウゴウゴルーガとか、スーパーミルクチャンとか、電気グルーヴとの仕事などで有名な田中秀幸氏。よくこんなの採用されたな。氏の作品はやはりほかの作品とは一線を画すものが多く、「パリのアメリカ人」もこれまた狂気をはらんでいる。 。

 藤子不二雄が書いたような黄色いキャラが、落とし穴に落ちて出口のないサイケデリックイエローモンスターワールドをさまよう。これ、もう、トリップムービーである。最後はようやくもとの場所に帰れたのに、踏んづけられて終わり。なんじゃそれ!

でもこのビデオたちのおかげで娘はたくさんのクラシックの名曲を覚えることができました。よかったねえ。

 

今日は僕、お休み。

天気が良いのでコペンでオープンカードライブとも思ったけど、掃除機が壊れたとか言われていろいろいじくっていたら時間がなくなっちゃった。ただのスイッチの接触不良だったのだがなぜか成り行きでそのまま掃除機をかけるハメに。仕方がないので、スタバに行って読みさしの『ニューロマンサー』を読了。車がガンガン通る場所に面した外のテラスで一人優雅な休日の午前中を過ごす。次の書評はこれに決まり。

 

 カクヨム編集部のピックアップおすすめでせっかく取り上げられたけど、PVひとつも増えず。一度完結した作品が日の目を見るのは難しいねえ。

kakuyomu.jp