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コング、怪獣総進撃だった

見てきたよ、コング。僕の住む地域にはシネコンが5つほどあるのだが、一番近いのはMOVIXだ。それで、入場前にロビーで待っていると、すぐそばのモニターで「君の膵臓を食べたい」の予告を延々と流している。この作品について僕はほとんど興味がないのでどうでもいいのだが、自然と耳に入ってくる女の子の「君にとこうしていると・・・」とか「君に・・・」というセリフがムチャクチャ気になってしまった。以前にも僕はJPOPの歌詞で女性が「きみ」を使うことの違和感について書いたがことは音楽だけでなく小説や映画にまで広がってきてるんだなあと思った。しかし、実際に、今の女の子たちは、男子に向かって「君」って言っているのか?

それはそれとして、最近はMOVIXばかり行っているので必然的に予告編の前に流れる「松竹シネマセレクション」なる映像を見せられる。歌舞伎俳優が出てきて松竹のラインナップを紹介するのだが、その無理やり言わせられた感がすごい。だって、「究極の愛されストーリー」とか「3分に一度は胸キュン」みたいなセリフを真顔で言うんだもん。これ絶対仕事と割り切ってるよなあ、といつも思ってしまう。

 

さて、コングの話。注意!ネタバレありますよ!

 

 

 

 

映画を見た直後の率直な感想を一言で書きます。

 

だめだこりゃ!

 

僕が映画を見終わったあとに真っ先に頭の中に浮かんだ言葉はこれだった。お好きな方、すいません。個人の感想です。じゃ、どうしてだめだこりゃなのか。

そもそも僕はコング映画に対してそれほど思い入れはなく、この髑髏島もアマゾンプライムで数年後に見るか、くらいに思っていた。しかし、たまたま見た予告編

 

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この「ヒト」のところで「チーン」となる音が妙に面白くて笑ってしまったので行くことを決意。どうせ暇だしね。

 

コングやるならどうしたってピーター・ジャクソン版との比較が考えられる。こちらのコング、ストーリーはジャクソン版と違い、ニューヨークは登場せず、すべてが髑髏島で展開される。怪獣映画に徹するという点では正解だ。

しかし、ジャクソン版にあった叙情性一切ナシ!だから逆に誰が主人公なのかが解らなくて感情移入できず、ただただ大迫力の怪獣バトルを延々見せ続けられる。

時代はベトナム戦争集結直後に設定。一応、イギリスの特殊部隊隊員だったというジェームス(トム・ヒドルストン)が主人公か。ロキのヒトね。ただ、僕は二日前に「ミッドナイト・イン・パリ」をたまたま見ており、そこでトムがスコット・フィッツジェラルド役で出ていたので妙な感じがしてしまった。

このトム演じるジェームスは凄腕の傭兵なのだが、どうにも影が薄く、むしろサミュエル・L・ジャクソン演じるブレストンの方がインパクト大。このブレストンが暴走しまくり、コングに殺された部下の復讐を誓い、さらに部下を危険にさらすというのを鑑みず、ひたすら武器のあるヘリの場所へと危険な髑髏島を進む。一番の憎まれ役となった彼、最後には「マザーファッ・・・」とか言いながらコングにグーで殴られておしまい。

また、ヒロインとしてブリー・ラーソンが従軍カメラマン役として登場。彼女、「スコット・ピルグリム」のエンヴィー役で出ていたんだな。全然気づかず。

コング映画といえば、美女がつきもので、原住民に捕まって生贄にされてコングがその美女をお気に入りになっちゃって、そのために命をかけるというのが定石だ。しかし今回の原住民さんはやけに穏やかで優しい。冒頭に出てくる戦闘機乗りのジョン・C・ライリー演じるハンク・マーロウを長年養ってやっている。そのハンクが言うにはコングはこの島の守り神で恐ろしい「スカル・クローラー」なるトカゲ怪獣と戦っているらしい。このスカル・クローラーの名前をつけるくだりは面白かった。「この名前、今考えた!」って。ということで、生贄にはされず、当然美女はコングに捕まらない。途中、取ってつけたようなコングとの交流はあるが、それがクライマックスでコングが危険を冒して彼女を助ける動機付けとしては弱すぎる。

他にもあの大きさであんなに素早く動けるはずないよなあ、やっぱり「タイタンの逆襲」に出てきたクロノスくらいのノロさが相応だよなあとか、地球空洞説(懐かしい)唱える学者とか、中国資本的に出てくる女優とかそういうのがいろいろととっちらかってストーリーとしてはかなりしょうもない。

そういう部分が色々と頭の中で渦巻いた結果、「だめだこりゃ」となった。

 そもそもストーリーの整合性とか、キャラとかそういうのを考えてはいけない映画だったのだ。この映画は怪獣バトルを観るためだけに行くべきだ。僕は一切事前情報を入れずに観たので前述の感想を持ってしまったのだ。だから、怪獣映画好きにとってはこの上ない良作に違いないだろう。

よく考えれば、コングが大ダコと戦うシーンは「キングコング対ゴジラ」そのものだ。「このシーン、絶対意識してるよなー」と思ったが、やはり、オマージュだったようだ。オマージュといえば、クモ怪獣に襲われる時の最初の犠牲者が串刺しになるが、どう見ても「食人族」。

 そしてタコ、クモと出てきた時点で僕は「怪獣総進撃」!と、理解した。この辺の一連のゴジラシリーズの感じ。

 

 

 

 最後にスカルクローラーの口を真っ二つに裂くのかな、と期待していたが、胃袋を引っ張り出してやっつけるって。よく美女潰れなかったよ。最後戦いを終えたコング、救助にやってきたヘリを憎しみの目で見つめておしまい。

技術的にすごいことをしているのだろうが、いかんせん僕はハラハラできませんでした。同じハリウッド系の怪獣バトル映画ならやっぱり僕は「パシフィック・リム」の方が好きだなあと思った。

さて、来週は爆死と言われているスカヨハ攻殻を観る予定。

 

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