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少しは知っているということで感じる違和感と「ピラミッドの謎」というレトロゲー

 例えばあるバンドがいて、あまり知られていないそのバンドを初期の頃からずうっと応援するファンがいたとする。そのうちにそのバンドは人気が出てきてついにはメジャーとなる。その時昔からのファンの心理とすれば新たにファンになった人たちを「ニワカめ」と思うだろう。バンドからみれば同じファンなのだから同列だろうが、この私のほうが先に知っていた、応援していた、だから私は偉い、という心理は人として避けられない。昔を知らないくせに、とか、自分の方が思い入れがあるからという心情は誰しもあるだろう。

 

なんで突然こんなことを言うかっていうと、YOUTUBEって、一度見た動画そのものとか、関連しているものが出てくるじゃない。僕も一時期、タイの訳のわからないバラエティを見ていたら、それに関連したタイ語の動画や韓国、果てはどこの国かも定かではないアジアの動画ばかりが表示されその都度×を押すということがあった。

それで、最近キンドルYOUTUBEを見ると必ず星野源が出てくるわけですよ。ああ、また妻が見てたんだな。ウチではお互い音楽の好みが全然違うので別にそれについて言うことはないが、当然星野源サケロックというバンドをやっていてあの在日ファンクのハマケンがそこでトロンボーンをやっていたなんて知らないで見てるんだろうな、とは思うわけです。流行りってそんなもんだから、世間の人もそうだろう。

 


SAKEROCK / 会社員と今の私 MusicVideo

3年くらい前にこのビデオ見て笑ってた。人が車に轢かれるところのくだり、昔の竹中直人のコントみたい。

それにしたって、普通サケロックなんて一ミリも知らないじゃん、きっと。でも娘のクラスメイトは恋ダンスを歌って踊っていて、当然娘はそれを見て原曲も知らずにその歌を歌ったりする。はやりの音楽を否定する訳じゃないし、いいものはいいし、価値観の違いは尊重するべきだ。でもやっぱり、デモー、ナンカー、多少はモヤモヤするのです。

ちなみに昨日は風呂上がりに子供がオザケンを歌っていたので(当然妻が聴いていたのを覚えた)、「オザケンは昔、コーネリアスフリッパーズ・ギターをやっていたんだよ。コーネリアス小山田圭吾と言って、最初の頃はロックぽくって、スタイル・カウンシルそのまんまの曲をやったりもしてたんだよ」


Cornelius 「What You Want」

と啓蒙しながらキンドルコーネリアスを聴かせていると「明日早いんだから早く寝かせて!」と怒られた。すいません。

 

そうそう、思い出した。娘がまだ4歳くらいの時に、一緒に布団に入って寝かしつけていたら突然子供が「クボタ・・・」と言い出して僕は爆笑してしまった。どうやら妻が「あれー久保田(利伸)のCDどこやったっけー」とか「久保田の新しいCD買う」とか言っていたのを聞いていたらしい。それで急にそれを思い出して思わず「クボタ・・・」が出たのだろう。あんまり面白かったので僕がずっと笑っていると、それが嬉しいのか娘はまた「くぼた・・・」を発語。しかも僕が笑っているので同時に娘も笑いながらクボタ!を連発。そんな楽しいひと時が続き、何回目かの「クボタ・・・」の時だった。寝ながら笑っていたからか「クボ・・・ごほげへがはっ」と娘は突然むせ始め、そのまま「おえー!」とゲーしてしまった。パパと娘の楽しいひと時台無し!僕は「うわー」と言いながら飛び起きてバスタオルやらウェットティッシュやらを持ち出して後始末。大変だった。

 

子供というのはとにかく面白い。この間、何がきっかけだったかは忘れたけれど、娘と話していると僕が高校生の時やっていたゲームの話になった。30年ほど前、我が家には何とシャープのX1というコンピュータがあった。これは当時で20万ほどした代物で、別段それほど裕福であったと思えないウチではあったが何故か父親が買ってくれたのだ。

ただ根っからの文系である僕がプログラミングなどできるはずもない。高価なコンピュータもただのゲーム機として使用されるのみだった。その頃のゲームはカセットテープにプログラムが入っていて、それをロードすると初めてプレイできたのだった。

ソフトはかなり売られていたのだが、僕が一番最初に買ったソフトはその名も「ピラミッドの謎」。ほとんど誰も知らないこのレトロゲームYOUTUBEにプレイ動画がアップされている。ネット万能時代!

 


ピラミッドの謎 SHARP X1 アドベンチャーゲーム レトロ AVG ADV

どうです、このオープニング画面とテーマソング。めちゃくちゃワクワクする。

ピローピローピローピローリー

ピロリロリー・・・

なんとエキゾチックなテーマ曲。紫の夜空にピラミッドのシルエットとお月様。ショボいグラフィックだが当時は画期的なものに見えたのだ。そしてこれこそ僕が人生初めてプレイしたアドヴェンチャーゲームだ。

この動画を発見したとき、僕は懐かしさのあまり何度も見てしまった。再生回数は1000回程度だが、そのうちの10回は僕でカウントできるだろう。ただ、見栄えがいいのはここまでで、実際のプレイは怒りのデスロードだった。

当時のアドベンチャーはコマンド入力式が主流で、とにかくゲームを進めるのが大変。例えば前へ進むには「GO」と入力し、上なら「UP」、松明をとる、に至っては「TAKE TORCH」である。TORCHなんて単語、知らないでしょ。しかも粗いグラフィックなので松明かどうかの判別に当時、半年くらいかかった!ホント、よく途中で投げ出さなかったよ、僕。やっぱり高いお金を払ったんだから意地でもクリアしてやると思ったんだろうな。ゲーム動画見ると6分くらいで終わってる・・・。

マップも同じような画面が現れるので何度も同じところをぐるぐるぐるぐる・・・あんまりの内容に頭に来て「BAKA」と入力すると「BAKA デハ アリマセン」みたいな返しが出てきて笑ってしまった。別のゲームだったかもしれないけど、当時作る側も想定してたんだろうなー、ユーザーの癇癪を。「なんだよーモー!」などと文句を言いながら半年かかってクリアしたのもいい思い出だ。

さて、数十年を経て、このテーマソングを僕の娘が聴いている。しかも、どうやらこのメロディーが気に入ったらしく、部屋の向こうから「ぴろりろりー」などと鼻歌で歌っているのが聞こえてきて笑わされる。さらには、娘は毎朝ピアノの練習をしているのだがいつ覚えたのかピアノでトンタタトンンタ、という伴奏込みで「ピロリロリー」と弾いているのが聴こえてきて僕は布団の中で朝の7時から爆笑。

そして極めつけは「パパー、これなーんだ」と言いながらリコーダーでピロリロリー!今日本でこの曲にハマっているのはウチの娘ただひとりだと断言できる。

 

さて、あさってで完結。

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