宇宙では あなたの悲鳴は誰にも聞こえない
小学校5年生のころだ。父親が年に数える程だが連れて行ってくれる寿司屋があった。そこで僕は値段のことは何にも知らないのでトロばかり頼んでいた。お父さん、すいませんでした。
それは、まあどうでもいいのだが、その寿司屋にある小さなテレビでたまたまこの予告編を目にした。
TVスポットなのでこれよりも短い時間だったはずだが、その強烈なイメージは僕の脳裏にしっかりと焼き付いた。特にフェイスハガーが飛び出す一瞬の不気味さがいくら拭っても消えなかった。
スターウォーズの洗礼を受けていた僕は新たなSF映画の到来を予感したが、このスポットのあまりの恐ろしさにとても劇場へと足を運ぶ気にはならなかった。
6年生になり、僕のクラスに転校生がやってきた。
彼は映画好きでエイリアンも見に行っていた強者だった。当時は極力エイリアンの写真は露出が控えられていて、僕はそれまでエイリアン本体の姿を知らなかったのだ。しかし彼の持ってきた映画「エイリアン」のパンフレットにかろうじて一枚だけエイリアンのあのおぞましくも美しい姿が映っていた。
同時に彼はその当時発売されていたエイリアンのコミックブックも持っており、それを僕は借り受け、貪るように読みふけった。
インターネットは便利なもので、現在でもその一部が以下のサイトで見ることができる。
http://io9.gizmodo.com/5826225/holy-hell-the-1970s-alien-comic-book-was-awes
この時以来、僕はエイリアンのとりことなってしまった。観たこともないのにサウンドトラックを購入。家庭科のランチョンマットに描く絵はノストロモ号。教科書の端っこにはエイリアンやフェイスハガーの落書き。
そこまでハマっていた僕だが、ビデオのない当時、僕は本物の映画「エイリアン」を見ることなく中学生になった。しかし!ついにテレビで放映されることが決定された。
予告で一瞬映るエイリアンのどアップに度肝を抜かれた僕は一方でこんなに恐ろしそうな映画を一人で見られるのかという不安を抱えていた。
そもそも小学校低学年の時にテレビで「宇宙水爆戦」が放映され、あの有名なメタルーナミュータントの足が映されるだけでこたつに潜り込んでしまった僕である。
当時、ウチの親は大体9時には寝てしまったので一緒に見てもらうことができない。仕方なく四歳下の弟に僕の大事なカンペンケースを譲ることで無理やり一緒に見ることを納得させた。どんだけ怖がりなのか。
映像を残すことはできないが、音声ならできる!ということで僕は当時買ってもらったばかりのラジカセをテレビの前にセッティング。二時間分のテープはなく、せいぜい30分ほどしか録れそうもなかったので要所要所でRECボタンを押すことにした。
映画が始まり、食い入るように画面を観る僕。未知の信号をキャッチしてノストロモ号は進路を変える。僕は「あーここで行かなきゃみんな死ななくても済むのに」と映画を全否定しかねない思いで鑑賞する。
ケインがフェイスハガーに飛びつかれるところは息を凝らして観た。もちろん、しっかりと録音をした。でも後で聞くと「ビュワワワ」みたいな音しか聞こえない。当たり前か。そしてケインの腹から飛び出すベビーエイリアン。コミックではえらい勢いで飛び出していたが、映画の方はゆっくりと顔を出していたっけ。ここも録音。「オォーケイン」というセリフは英語のままだったような気がする。
成長したエイリアン(通称ビッグチャップ。最近はゼノモーフという呼称があるが、どうもしっくりこない)は通気口の中を自由に動き回る。そして第二の犠牲者ブレットを襲うシーンは今見ても緊張感たっぷり。当然僕はこの部分を録音し、再生しては何度も目をつぶりこの場面を想像したものだ。
鎖の音、「ねこちゃーん」というブレットの声。そしてエイリアンの不気味な音、直後にブレットの悲鳴。
眠たがる弟を起こしながらもようやく「エイリアン」をついに最後まで見た僕はさらにこの映画にとりつかれることになった。
まずはアラン・ディーン・フォスター作の小説を購入。スターウォーズ原作本同様、今でも持っている。
そしてこれは中学生にもなんとか読める内容だった。「拍車をかける」という表現はこの小説で覚えた。
その数年後。
たしか高校三年生の時だったか、今となっては明らかに違法なのだが、僕は近所のビデオショップで公開直前の「ターミネーター」を借り、衝撃を受けた。
当時はどういう経路だか知らないが、海外のホラーやSF映画がパソコンで字幕を付けた状態で貸し出されていたのだ。僕は新たにラインナップが新たに加わるたびに500円を払って借りたものだ。その中には「チャド」とか「バイオハザード」(もちろんカプコン版ではなく、もっとどうしようもないZ級映画)とかを借りては友人たちと観ていたものだった。
そういう中の1本だったターミネーターはぶっちぎりで面白かった。すぐにジェームスキャメロンという名前を覚えたが、その彼がなんと「エイリアン」の続編を監督するというではないか。
今はなき「スターログ」などですこしずつ情報を得るに従って僕の期待は次第に膨らんでいった。そうして試写会に応募したところ、なんと当選!いちはやくエイリアン2を僕は見ることができたのだった。
第一作とまるで雰囲気は違ったが大満足の出来栄えだった。
冒頭のナルキッソス号が宇宙をさまようその深さにクラクラした。リプリーが装甲車を駆って海兵隊員たちを助けに行くくだりを、まさに息を飲んで見たものだ。
世人の評価通りの感想を僕は持った。そして詳細が知りたくてこの雑誌を買った。
ページを何度も繰っては映画に思いを馳せたものだ。大学生になり、アルバイトでいくらかお金の余裕が出てきた僕はギーガーの画集を買った。たしか池袋のリブロポートだったと思う。
当時はトレヴィルという出版社(現在もあるらしい)からたくさんの魅力的な画集が発売されていた。このネクロノミコンやギーガーズエイリアンなどもそのシリーズだ。
お金がなくて、2までは買えなかった。ギーガーズエイリアンは映画の製作過程が詳細に記録されており、つい読みふけってしまう。
あとはこんなのも後で手に入れた。
ギーガーの仕事を色々と紹介している。裏表紙も素敵だ。
実はギーガー関係ではあと「スピーシーズ」このシリーズで持っていたのだが、アマゾンで売ってしまった。やはりエイリアンに比べると面白みは半減していたので。
そしてエイリアンは次々とシリーズを重ねていく。デビッドフィンチャーの初監督作となったエイリアン3。この映画は紆余曲折がありすぎて大変だったようだ。なんとウィリアムギブスンが脚本を一時期書いていた。
あとで完全版を見てわかったのだが公開版はだいぶカットされており、映画から受ける印象がかなり違う。ただ、CGの黎明期であるがために、すごいと喧伝されたCGエイリアンの姿は違和感があり、なんともすっきりしない印象だ。でもこの本は買った。
ドッグエイリアンは結構好きで、僕はあまりに暇な時期に紙粘土で人形を作ったくらいだ。あれ、どこに行ってしまったのだろう。結構素人が作ったにしてはいい出来だったのになあ。
エイリアン4も当然観たのだがもうあのころの興奮はなかった。もちろん技術的に素晴らしかったのだが。
そうして迎えたブルーレイ発売。SWと同様ビデオが出ては買い、DVDが出ては買い、をしていた僕はやっぱり買ってしまった。
中身を出すとこう。
下のボックスにブルーレイがぎゅうぎゅうに詰まっている。画像はさすがに綺麗だし、ディレクターズカット仕様なのでファンとしては大満足だった。実際一回見てそのあと見てないすけどね。
その後プレデターと戦ったり、だいぶ安売りもされたエイリアンだが数年前に「プロメテウス」が公開されたときは、かなり期待を抱いた。
微妙に思っていたものとは違ったものの、これはこれで僕は好き。それでやっぱりこんな本を買ってしまう。
結構高かったよ、これ。そして!ついに来年来る!「エイリアン・コヴナント」
Alien: Covenant | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX
1作目に雰囲気そっくり。出るのかね、ビッグチャップ。ポスターには出てるな。マイケルファスベンダーは出てるけど、ノオミ・ラパスはいないっぽい。
エイリアンはずうと女性が主人公できてるけど、今回もそうなんですかね。
蛇足ですが、フォッシルからエイリアンウォッチが発売された時も買った。
時計にエイリアンが刻印されていてなかなかかっこよかったんだけど、すぐに電池切れしてそのままどっかいっちゃった。下の写真は時計のケース。こっちのほうが存在感ある。