「音楽と本」などというタイトルを冠したものの、さて何から書いたものかと考えた挙句、いきなりこのタイトルが浮かんでしまった。
先日ついにニューアルバム「Hardwired: To Self-Destruct」が発売されたモンスターヘビーメタルバンド、メタリカ。
これほどのキャリアと人気を誇るバンドであるので賛否両論はあるだろうが、30年来のファンの僕は素直に素晴らしい作品だと思った。特に先行PVの「Hardwired」が良かったのはもちろん、最後を飾る「SPIT OUT THE BONE」に至っては思わず口から「おォーメタリカカッコイイー!」と言う言葉が出るほどだった。
さて知命にもう手が届こうとする僕がメタリカに出会ったのはかれこれ30年ほど前、大学に入学した頃だった。
初めて友人に「アイアン・メイデンより速いバンドがある」と勧められたアルバムが「マスター・オブ・パペッツ」だった。一曲目の「バッテリー」からして衝撃的だった。クラシックギターの優しい音色に突然かぶさる大音量の重厚なメタルギターに驚き、すぐさま凄まじいスピードで疾走するその曲で、僕のその後の人生はいくらか変わったのかもしれない。
それ以来四六時中メタリカを聴きまくり、来日すればライヴに行った。川崎の市民ホールみたいな狭い場所で「ジャスティス」のライヴを観た。そして、その後代々木オリンピックプールや東京ドームのライブも観た。
そして当時(1989年ころ)としては珍しく大学のバンドサークルでメタリカのコピーバンドをやった。僕はギターを弾きながらジェームスの気分で頭を振ったものだ。ちなみに最初にやった曲は「コール・オブ・クトゥルフ」という2NDに入っている最後のインストの曲と、1STの「ウィップラッシュ」だった。
普通は「バッテリー」とか「マスターオブパペッツ」をやるところだろうが、僕はやっぱ最初はマイナーな曲からでしょ!とわけのわからない使命感にとらわれていたのだ。
ちなみにそのバンドの初代ドラマーはあまり上手ではなく、一応最後まで演奏はできたものの、随所にリズムの硬さが感じられ非常にやりにくかった。
特に「ウィップラッシュ」のキメの部分でドラムが「ドッタンドッタンドッタンドッタン」とスネアとフロアタムを同時に叩く時があった。その様子がまるで鳥のようで、こいつこのまま空飛ぶんじゃないのか?と思いはじめてしまい、笑ってしばらくは歌えなかったことを覚えている。