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岡崎体育「感情のピクセル」でパロディについてそこはかとなく書きつく

岡崎体育の「感情のピクセル」が話題だ。僕も話題に乗っかってPVを小賢しくも稼ごうという算段を巡らせました。 

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明らかにある種のバンドに対するパロディ。公開一週間での再生回数がすごい。まあ、そもそも彼(と寿司くん)は「MUSIC VIDEO」という作品からしてそのパロディ精神は花開いていたわけだけれども、

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 これはMVという大雑把なくくりに対するパロディであり、「感情のピクセル」はさらにそれを推し進め、特定の分野=Jロック/ポップに対する作品となっている。

パロディだからしてある程度の茶化しは当然あるわけだが、同時にこの手の音楽に対する愛がなければここまでの楽曲は作れないのではないか。ちゃんとブレイクダウンがあって、スピードパートがあって、メロウパートがきちんと入っている。ある意味テンプレとも言えるかもね・・・。でも、こういうジャンルが好きな人たちにとってはなんだか小馬鹿にされたように感じることもあるだろう。パロディ、難しいね。でもここまでやったとするならば、今度は例えばJラップのパロディとかやりかねないよね。いや、やってほしい。

でもこういうのって今に始まったことではない。僕がこのMVを見て真っ先に思い出したのはBAKUFU-SLUMPの「たいやきやいた」である。時代性の違いはあるけれども。このころの爆風、パワフルすぎてもうめちゃくちゃだ。本当はこの曲PVあるはずなんだけど、何らかの事情でYOUTUBEにはありません。ですからライヴバージョン。

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おっさんじゃなきゃ知らない曲だ。もろメタル(つうかラウドネスサンプラザ中野のシャツ、二井原実イズムがすごい)のパロディとして作られた曲だ。僕は好きだよ。昔バンドでやったしね。

あとは先駆者としての電気グルーヴ。曲じゃないけど。 

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もはやピエール瀧電気グルーヴと知らない世代が多くなっているという事実。ちなみ小4の僕の娘は「人間大統領」を何度も見ては笑っている。 

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ちょっと毛色は違うが、スーサイダルの「POP SONGS」。

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こちらは敵意があからさまだ。「アイヘイトポップソング!」だもんね。笑ったのはふとコメ欄を見たら「マイクミューアはペプシの飲みすぎだ」と書いてあったこと。外人の太り方はすごいもんね。一時期のデフトーンズのチノもひどかった。僕あの時期の彼らのPV見るのが辛かったもの。

 

 パロディとオマージュの線引きって曖昧だ。

 物事とは多面的だから正面から見えているものを、横から見ると全く違うものになっているときがある。ピタゴラスイッチなんかをたまに見るとそういうのをやっていて視点をずらすことの大切さに気づくことがある(おおげさ)。

 

 自分でものすごく良いと思っていたことが人の指摘によって、え、ひょっとしてこれカッコ悪いの!と突然恥ずかしくなること、あるでしょ。

 たとえば僕は大学一年生の頃、メタラーとして髪を無造作にのばし、やや天パーがかった前髪を無理やりクシでとかし(それがまたカッコ悪かった)「お、結構いいじゃん」などと思いながら毎日大学の講義などを受けていたのだが、夏休みになって久しぶりに高校の同級生との飲み会に行ったとき、女子に「うわー」という悲鳴とともに迎えられ、ムッとしたが、同時にヘコんだ。

 また、その冬、黒のロングトレンチコートを買って「お、結構いいじゃん」と毎日学校へ通っていたが、冬に帰省したとき父親が僕の長髪、ロングトレンチコート姿を見て開口一番「お前は浮浪者か!」と言ったのには少しムッとしたが、確かに今思えばそのとおりである。

 にしても浮浪者って。今時そんな言葉知らない人のほうが多い。

 

 そうそう、もう一つ思い出したが、10年以上前、SWの何作目かがTV放映されることになって、そのことを会社で興奮気味に僕が話していたらある年上の女性社員が「あんなもの、どこが面白いの」と言ったのに対して「ぬぁーにぃー!」と感じた気持ちを忘れられない。

 岡崎体育のPVに不快感を抱く人はこれに近い感覚なのでは?誰だって自分がカッコいいと思っていたものを茶化されれば気分は悪い。違いますか、そうですか。すいませんねえ。

 

おまけエピソード。

先日、会社の先輩が何故か二穴のベルトにチノパンでやってきた。

これよりももっと安っぽいやつ 

 

 僕の会社は割とドレスコードがゆるいのだが、ワイシャツネクタイなのに、ベルトアンドチノパンはものすごい違和感とインパクトがあった。中学生か!

 僕はそのスタイルを見たとたん、「よくそれで来ようと思いましたね!」と思わず興奮気味に言ってしまった。その先輩曰く「冒険してみた」だそうだが、もはやそれはアマゾンの奥地で原住民のイゾラドを発見するレベルの冒険である。

 他の同僚にも同様に突っ込まれていたが、そこで初めて先輩はそのスタイルが冒険を通り越して遭難レベルだということに気づいたらしい。当然、その日以来先輩は二穴ベルトをしてこないが、僕は密かにさらなる彼の秘境への冒険を期待している。

 

ヘビーメタル

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カッコいい子供のTシャツがない!じゃ自分で作るか!

 こないだはGUで子供のロックT買ったけど、ちょっと前はそういうのが売っていなかった。だから僕は娘の小さい頃に自作のTシャツを着せてました。
 アイロンペーパーに好きな映画やバンドのジャケットを印刷すると世界に一枚しかないTシャツが出来上がるよ。 

 ボディとなるTはほとんど古着で100円~300円程度。アイロンプリントペーパーも700円くらい。 
一枚目はこれ

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ダイナソーJRの最高傑作(と思う)「GREEN MIND」のジャケットをプリント。煙草をくわえた女の子が良い。しかし、間違えて反転で印刷してしまったため、本来のジャケットとは左右が逆になってしまったが、これはこれで良いと思う。
二枚目はオールタイムベストテンに入る映画「FIGHT CLUB」のポスターをプリント。

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タイラーダーデンが「オレを殴ってくれ」と言っている場面。COOL! 
そして最後の一枚はこれ

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悪魔のいけにえ」Tシャツ。かっちょいい!この絵柄は昔この映画のビデオゲームがあったらしく、そのパッケージらしい。この映画はもっと過激なポスターが色々あるのだが、さすがに当時は幼稚園児、それはどうかと思ったのでどこかユーモラスな感じのするこの絵柄に決定。それでもやっぱレザーフェイスは毒々しいかな?早速面白がって着せてみたよ。

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このTシャツなんかやだな、って顔をしてます。なにやってんだろねお父さん。

そんなお父さんが書いたニッチな小説

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僕の80S ソフトセル

 クリス・コーネル氏がお亡くなりになったそうです。52歳。そんなに僕と変わらない・・・。R.I.P.

一番好きだったジーザスクライストポーズ。ユニクロでTシャツ作ってください。

 

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さて、毎日更新してますが、結構ね、書くことあるというか。書いたこともたくさんあるというか。その昔、MIXIでほんの数人の友人を相手につらつらと書いてた記事があって、せっかくだからこちらでもっと多くの人に触れてもらおうという趣旨で「僕の80S」カテゴリを創設しました。その名のとおり、僕が高校~大学にかけて聴いていた洋楽を中心に書いてます。 

 ソフトセルのこと、ご存知ですか。やたらとたくさん書いている。すいませんねえ。

 

 高校に入ると何人かの友人が洋楽の趣味を持っており、ジャパンなどを聴く友人もいた。その中の一人にD君がいて、ある日彼が「ソフトセル最高だぜ」というのでテープに録ってもらった。それはセカンドアルバムの「別れの美学」であった。

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とにかく今まで聴いてきた音楽とは全く別の種類の音楽であった。聴きやすくポップなのだがそれでいて退廃的。しかしなにより心をとらわれたのはヴォーカルのマークアーモンドの声だった。自己陶酔型の一度聴いたら忘れられない独特の声だ。ソフトセルの魅力はこの声によるところが大きい。もちろん楽曲も素晴らしく、全曲捨てどころがない。しばらくは一日一回以上聴く日が続いた。一曲目の「フォーエバーザセイム」の歌詞が知りたくてそのころ英会話で通っていた先生に頼んでヒアリングしてもらい、それを覚えた。本当は全曲ヒアリングしてもらいたかったのだが、ソフトセルの歌詞は倒錯的なものもあり、注意深く曲を選ばないと人格を疑われそうだったので無難そうな一曲目を選んだのだが。
 そもそもソフトセルはファーストアルバムの「エロティックキャバレー」

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の「汚れなき愛」が大ヒットとなり長期間チャートに残った故、ギネスブックにも登録されたバンドだった。だから英会話の先生もいちおうは知っており、その退廃的イメージで見ていたようだ。そのファーストは「別れの美学」と比べると音のチープさは否めない。しかし曲や歌詞が素晴らしかった。大体一曲目のタイトルが「フラストレーション」である。レコードの針をおろすなりマークの「ふらっ ふらっ ふらっ ふらすとっ れいっ しょーん!」という声でスタート。飛ばしすぎ。

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歌詞の内容も自分はあまりに平凡なので死にたい、みたいな内容で、曲の後半では「I WANNA DIE!DIE!DIE!DIE!」とDIEの大連呼であり、すごすぎる。

 ソフトセルを聴いて、自分の知らない音楽はまだまだたくさんあるということを知った。それから今に至るまで、常に聴いたことのない音楽を求めるようになった。
 さてソフトセルにものすごくハマって、ほぼ毎日「別れの美学」を聴いていたのだが、さすがに一枚のアルバムを何度も聴くと飽きる。で、他の曲も聴きたくなってくるのだが、いかんせん情報が少ない。覚えているのはミュージックライフに「ナンバース」(別れの美学の3曲目)のシングル発売にあたりレコード会社が「こりゃ地味な曲だ、「汚れなき愛」のシングルをおまけでつけましょ!」としたところ、「おれたちのキャリアを傷つけた!」と会社に二人が乗り込んで大暴れしたという内容が載っていた程度だった。それ以外にはレコード発売とかの情報は全くなかった。
 そこで世田谷の祖父の家に年に何回か訪れる機会を利用して、渋谷の今はなき246沿いのディスクユニオンに貯めたお年玉を握りしめてレコードを買いに行った。そこはまさに宝の山だった。今まで見たこともないようなレコードがたくさんある!すげー!と、一人興奮する僕。その時は確か6~7枚、金の足りる限り買った。その中の一枚になんとソフトセルのサードアルバム「THIS LAST NIGHT IN SODOM」があったのだ。

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内容も素晴らしかった。「別れの美学」とはまた違ったものだが、サウンドはさらに進化し、ドラムマシンの音も限りなく生音に近くなっていた。ちなみに1STのドラムの音はリズムボックスといった感じだったが、セカンドになると音がしっかりして、タムをずらすような(フラム効果という)フィルインがあり、印象がまったく違う。ひょっとしたら3RDは生のドラムが使われている曲(ダウンインザサブウェイあたりか)もある。またまたハマって、しまいにはこのアルバムのタイトルの「ソドム」をよく知るために旧約聖書(ソドムはあまりに堕落した都市だったため神の怒りに触れ、ゴモラとともに滅ぶ)を勢い余って読破したりした。興味を持った方はちらっとでも聴いてくださいな。

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高校の頃仲が良かったM君もソフトセルが好きで、彼となんとかバンドができないかといろいろと画策した。彼の家にはピアノがあり、いくらかその心得もあったので、ベース、キーボードで何かできないかと思ったのだ。彼がどこからかドラムマシンを借りてきたが、じゃあ、二人とマシンで何をするかという知恵は高校生の頭では浮かばなかった。仕方がないので家にあるエレクトーンとラジカセを使って多重録音することにした。多重録音といってもラジカセに一度録音した音を今度はステレオで鳴らして再びラジカセで録音するというつたない方法だったが。とりあえず、3rdの一曲目の

「MR.selfdestruction」が音数も少なくコピーできそうだったのでまず最初にエレクトーンのリズムボックスにあわせて自分がベースを弾き、M君がキーボードのパートを弾いた。その音にさらに自分がヴォーカルを担当しもう一度別のキーボードのパートを同時に弾いた。おそらく3~4時間くらいかかったと思うが、思いの外良い出来だったので、二人で何度も何度も聞いては楽しんだ。 
 ただその時のテープはどこかに紛失してしまった。どこに行ったのか。あえて聴きたい。


 さて高校二年生の秋に奈良京都へ修学旅行へ行った時、夜に自由時間があるじゃない。そこで皆は新京極を練り歩き、おみやげを買ったり、他校の生徒に絡まれたりするわけだが、僕は新京極にディスクユニオンを発見!即入店!そして見つけたのが「ソウルインサイド」(3rd収録の曲)の12インチシングル。

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これは雑誌のレビューで評価が高かったのでどうしても聴いてみたいと思っていたのだがなんとこんなところで会えるとは。レビューには「ソウルインサイド」の間奏がアルバムとは違い長いパーカッションの乱舞がある、と書いてあったので楽しみだった。しかし今思い返してみるとその修学旅行のおみやげ、他にろくなものを買わなかった。確か般若の瀬戸物でできたお面と、七味唐辛子と、良く観光地で売っているちょうちんと、あとはレコードと。でもやはり12インチは嬉しかった。
さて、家に帰って旅装を解くのもほどほどに早速レコードを聴く。いきなりマークアーモンドの「うぉー、インサーイド、インサーイド」という叫びから徐々に曲は始まる。かっこいい!そんでいよいよ一通り曲が終わったと思ったら途中からお待ちかねのパーカッションの乱舞!・・・とおもったのだがなんか地味にどんどこどんどこ低い音が聞こえるだけでイメージとはかけ離れていた。乱舞と言うからにはドラムマシンのプログラムの限界までドカスカいっているかと思ったのになあ。まあそれを差し引いても曲のアレンジは良かった。しかしそれ以上に収穫だったのはその後に収録されていた「ナンバース」のロングバージョンだった。

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もともとこれは「別れの美学」の収録で例の地味なシングルとして問題になった曲である。確かに地味な曲であるがじわじわとその良さが伝わってくるのだ。まったりとした感じが何ともいえない雰囲気を持っている曲で今もって好きな曲の一つである。

 

僕の80S ソフトセル おしまい。

 

でもメタルも好き。

 

古典がすきなんですよ

 中学生で竹取物語や、平家物語を無理やり暗唱させられたでしょう。

 あれ、覚えるのが苦手な人にとっては地獄だよね。古典意味分かんねー!と世界の中心で叫びたくなった人はいったい何人いたのだろう。

 教科書に載る古典は確かに、興味をそそられるものは少ないかもしれない。でも、興味をもって探せば、いくらでも面白いものがある。昔の人だって、真面目な人ばかりじゃないでしょ。

 僕が最初に古典の面白さに気づいたのはZ会が出版している『古文上達 読解と演習45 基礎編 仲光雄著』の最初のページの問題を読んだ時だ。

 掲載されていたのは『宇治拾遺物語 巻第5 仮名暦あつらへたる事』だ。これがまたなんでこんな話を冒頭に持ってきたんだろうというくらい面白い。

 

 ある宮仕えの新参の女房が、ある若い僧に仮名暦(かなごよみ)を書いてくれと頼む。仮名暦とは日めくりカレンダーみたいなもので、その日にするべきことが一言書いてあるのだ。安請け合いした僧は、最初の方は陰陽道などに従って吉凶のある日などを記載していたのだが、だんだん面倒になったのか「今日は食べてはいけない日」とか「よく食べる日」などと書いてある。

 女房は風変わりな暦であると思いながらも、まさかそんなでたらめだとは思いもしないので書いてあるとおりに過ごしていたのだが、ある日「はこすべからず=大便をしてはいけない」という文言が登場する。なんだそれ。適当すぎるでしょ。でも女房は何かワケがあるのだろうと我慢して過ごしていたが、その後も毎日「はこすべからず」「はこすべからず」と延々と書いてあるので二三日は我慢していたものの、いい加減もうムリ!となって左右の手でお尻をかかえて「いかにせんいかにせん(=どうしようどうしよう)」と悶絶して前後不覚になったとか。

 

 よくこんなのを問題集の冒頭に持ってきたもんだ。著者の問題文に対する慧眼には感服しきりである。

 また今昔物語などの説話を読んでみると下ネタなんかもたくさんあって、しかもかなり面白かったりする。本来こういうものを教科書に載せれば生徒の食いつきもいいんじゃないかなあ。

 

そんで昔書いた記事もいい加減ネタがなくなって古文の記事をいくつか書いてたよ。なんとか面白そうに書いたつもりだんだけど、どれほどの人が読んだやら。

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古典になりえない話ですが。

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ゆめはゆめでも、悪夢みたいなのもある、「音楽ファンタジー ゆめ」

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 数年前、子供がまだ小さかった頃に、妻が昔よく見ていたというNHKの音楽番組「音楽ファンタジー ゆめ」のビデオを集めていた。自分の体験を子供にも追体験させたかったらしい。僕は一度も見たことがなかった。

 DVDでは入手困難であったので主にVHSを探し、アマゾンやオークションで買い集めた。中にはそこそこプレミアがついているものもあって、なんでこんなにするの?と思いつつ、子供が結構見ているのでポツポツと入手しては、ハードディスクにダビングし、子供にせがまれると再生していた。

 「みんなのうた」のようなもんかな・・・と最初は思っていた。基本的にはクラシックの名曲を現代風にアレンジして、それを当時としては最新のCGイメージビデオに乗せて流す形だった。

 ほとんどは毒にも薬にもならない、子供向けの他愛ないものがあった中で、僕はひそかにとんでもない作品があるのに気づき始めた。

 まずはこのラデツキー行進曲

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有名な曲でよく吹奏楽楽団でも演奏される。僕も高校生の時は吹奏楽部だったからよく演奏したものだ。それはそうとして、気づきました?なんかヘンな人が写っているでしょ・・・。動いているこの人はもっとすごい。

 

 始まって一分くらい、いきなりの顔。しかも不気味に無表情。そして当時のCG技術の限界。地面から湧き出るシルバーの得体の知れない生き物。そいつらがモーフィングのように表情を変えて踊りだす。

あまりのシュールさに、気持ち悪さが勝る。当時の子供はどういう印象を受けたのだろうか。精一杯のCGを何度も使いまわしているので映像化された悪夢を無理やり見せられているような錯覚に陥る。最後はシルバーモンスターがバトルを始め、一方がボコボコに叩かれて終わる。なんだこれ!

 これはこれですごいのだが、このナンバー6の巻にはさらに強烈なクライマックスが待っている。それがこれだ。

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もう、絵ヅラからして狂気が感じられる。お母さんの顔が、何故か不気味に削り出されているではないか。なんだよ、この横線・・・。しかし、実際の映像は想像をはるかに越え、ブッ飛んでいた。 

 旅行好きの家族が世界中に飛んで、何故か手弁当を食べるのだが、お父さんいつもおにぎりを高速で目に当ててるだけ。家では狂ったようなスピードの貧乏ゆすり。しまいには地球は行き尽くして月にいっちゃう。一瞬映るロケットの中では家族は首だけの存在に成り果てている。そして当然月でも高速おにぎり目アタック!

 初めてこれを見たときは子供と大爆笑。

 お風呂で娘に「これなーんだ」と目におにぎりを当てる動作をして「ピアノ協奏曲!」と言わせる不毛な遊びが流行ったもんだ。

監督はウゴウゴルーガとか、スーパーミルクチャンとか、電気グルーヴとの仕事などで有名な田中秀幸氏。よくこんなの採用されたな。氏の作品はやはりほかの作品とは一線を画すものが多く、「パリのアメリカ人」もこれまた狂気をはらんでいる。 。

 藤子不二雄が書いたような黄色いキャラが、落とし穴に落ちて出口のないサイケデリックイエローモンスターワールドをさまよう。これ、もう、トリップムービーである。最後はようやくもとの場所に帰れたのに、踏んづけられて終わり。なんじゃそれ!

でもこのビデオたちのおかげで娘はたくさんのクラシックの名曲を覚えることができました。よかったねえ。

 

今日は僕、お休み。

天気が良いのでコペンでオープンカードライブとも思ったけど、掃除機が壊れたとか言われていろいろいじくっていたら時間がなくなっちゃった。ただのスイッチの接触不良だったのだがなぜか成り行きでそのまま掃除機をかけるハメに。仕方がないので、スタバに行って読みさしの『ニューロマンサー』を読了。車がガンガン通る場所に面した外のテラスで一人優雅な休日の午前中を過ごす。次の書評はこれに決まり。

 

 カクヨム編集部のピックアップおすすめでせっかく取り上げられたけど、PVひとつも増えず。一度完結した作品が日の目を見るのは難しいねえ。

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コーネリアス新曲 いいすね

 夜の七時くらいだろうか。僕は家族を乗せた車を走らせ、家路を急いでいた。

 やけに夜空が綺麗で、星が異様に目に付いた。こんな星空見たことがない。なぜだろう。地上の明かりが少ないからなのか。もう少しで我が家が見えるところに来たとき、空の向こうでハリボテのような東京タワーがそびえ立ち、その向こうで巨大な爆発が起こっていた。しかしその爆発に炎は見られず、不気味な灰色の煙だけがこちらへ迫ってくる。

 「東京に爆弾が落ちた!」

 東京の明かりがすべて消えたからあんなに星空が綺麗だったのだ。

 僕は無我夢中になってその煙から逃れようと車を猛スピードでバックさせ、せめて建物の陰に隠れようとした時に、あ、これは夢だと気がついた。

 横になっていた。心臓の動悸が激しい。

 

 昨日子供を連れてプラネタリウムに行ったから星空の夢を見たのだろう。爆発は言わずと知れた最近の国際情勢からくる得体の知れない不安からに違いない。

 僕はこんなふうに時々夜中の2時頃、とんでもない夢で目を覚ますことがある。いくつかはパターン化されていて、一番多いのはゾンビに襲われる、という非常に後味の悪い夢だ。そんな映画ばっか見てるからでしょ!ちなみに2番目はエイリアンに襲われるタイプ。これ、もう高校生くらいから見続けている。どの悪夢でも目覚めたあとの動悸の激しさは異常。勘弁して!

 

 コーネリアス、新曲出てた。アルバムのアナウンスもあった。METAFIVEばっかやってるのかな、と思ったら本職もちゃんとやってたんだね。

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すごい境地に達してるな。ポリリズムがすごい。複雑な数学の計算式が曲になったみたいだ。

オザケンも最近復活したけど、僕は断然小山田派だ。フリッパーズギター、今ジャケットを見ても、聴いてもおしゃれだね。

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「ヘッド博士の世界塔」どっかいっちゃった。最も有名なのはやっぱこれかなあ。

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 狂おしいほどおしゃれだ。どんなふうに育つとこうなるのだろう。

 コーネリアス、若いリスナーはどれほどいるのだろうか。やっぱり僕のような40代の人間が中心に聴いてるのかな。ティーンエイジャーがコーネリアスの新曲を喜んで聴くとはあんまり思えないもんね。

 まだこの頃↓の方が受けがいいかもね。純粋にロックしてた頃。このアルバムを聴くと、20代、若くてエネルギーに溢れていた自分の思い出がよみがえり、なんとなくやるせない。

 1ST。僕なぜか持ってるのはこれ。

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このあとの69/96もすごかったなあ。

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となりはリミックス版の「地球あやうし!」。結構なメンツが参加。暴力温泉芸者までいた。「こ~ねり~あすぅ~」みたいな声がおもしろすぎた。

69/96の頃はスペースシャワーTVでしょっちゅう「MOON WALK」が流れていたっけ。声のフランジャーがカッコ良かった。

 このころ、小山田氏はしょっちゅうエイプを着ていたので欲しかったが、高い。フリマでなんとか安く買ってたっけ。裏原宿なんて言葉も懐かしい。今エイプ着られないなー。

それにしてもこのアルバム、メタル度が高い。

 69/96の「LAST NIGHT INAFRICA」なんてほとんどAC/DCの「BACK IN THE BLACK」だし。この曲、コーネリアスはライブでなぜかドラムを叩きながら歌っていたっけ。

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そんでその後、ファンタズマでしょ。

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リミックスも買った。あんまり聴いてない。ちなみにファンタズマ初回盤はなぜかヘッドホン付き。

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一回も使ったことないけど、さっき見たらスポンジ部分が加水分解で台無し。このアルバムあたりからエレクトロニクス多様。「NEW MUSIC MACHINE」が一番好きだった。「2010年にーなんかぜんぶーぶっこーわーれたー」ってとこ特に好き。

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このあともコーネリアスずっと聴いてるんだけど「POINT」以降はレンタル・・・。

近作は音のコラージュ感、詰め込み感が凄すぎて、声までもが素材として使われてる。でも新曲は逆に音を絞り込んで、声も生音感が出てるね。アルバムも凄そう。

 

やっぱメタルは通るべき。

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